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ムスメが不登校になった 8 見たことのない道

自分の枠では絶対思いつかないことに遭遇したとき、
あなたなら、どう思いますか?受け入れますか?

そして、それが自分のことではなく、
あなたの大事なひとのことだったら?

わたしが悩んだ中で気づいたこと、救われたことを伝えたいので
ここに記しておきます。


名古屋駅のホテルのティーラウンジで
1時間予定のところを2時間も話した、教育相談。

先生はこう教えてくださいました。

「お母さん、この子は大丈夫ですよ。
 しっかりされています。
 ご家庭で、ご夫婦がじっくり見守られたことが
 娘さんと話していてよく伝わりました。

 娘さんのこの雰囲気だと、
 おそらく、このへんの中学高校だと、どこも合わない気がします。

 山村留学なども、たぶん違うと思います。

 僕の直感ですが、
 彼女には海外の教育はとても合っている気がしました。」

えっ、海外ですか!?!?

考えたこともない案です。

わたし自身、海外の学校なんて通ったことも、
通おうと思ったことすらありません。

わたしは、小学校、中学校、高校の間は
ずっと淡路島。島から出て生活したことがありません。

神戸や大阪など、島の外へ出てショッピングすることは、
まさに海外旅行に匹敵するイベントでした。

高校卒業後、東京の大学へ進学したのですが、
島の中ではちょっとした変わり者扱い。

「え、なんで東京??」
「東京こわいよー」
「大阪や神戸にたくさん大学あるのに」

そんな価値観ですから、
まさか海外の学校が選択肢に上がるとは想像つきません。

「自分の言いたいことを、適切な言葉で表現する。
 自分の中の善悪の基準をはっきりと持っている。

 ムスメさんは、そういう特性があると思います。
 正義感が強い、というか。

 いまの日本の学校は、教育レベルは非常に高いです。
 なので、日本の教育を受けることは、素晴らしく良いことです。

 ですが、ルールがたくさんあります。
 明文化されたものだけではなく、されていないものも多いです。

 その学校の曖昧さにすっとなじめたら、または
 その曖昧さと上手につきあえたら、全く問題はありません。

 どちらにせよ、多くの子どもは、大人になると
 その曖昧さと上手に付き合うようになるんだと思うんです。

 ただ、そのルールや曖昧さに違和感を持ってしまったとき、
 ムスメさんはきっと「違和感がある」と表現するでしょう。

 ルールが多く曖昧な上に
 異論を言いづらく、同調を重んじる傾向がある日本の社会、
 とくに日本の学校ですから、

 その違和感を受け入れてくれるコミュニティーと
 受け入れるのが難しいコミュニティーがあります。

 もし受け入れられず、その集団から異端扱いされると
 多くの子どもは、その扱いから自力で抜け出すことは、ほぼ不可能です。

 これが、仲間はずれだったり、いじめに発展します」

ああ・・・まさにそうだ、と深くうなづきました。

「彼女にマッチするところへ、行けば良いと思うのです。

 抜け出る道として、僕は、海外の教育カリキュラムは
 彼女に合っていると思いました。

 多民族の子どもたちが通う学校などが良いなと。

 同調圧力が存在しづらい。
 当たり前がいろいろある。

 違和感をはっきり言える子だからこそ
 世の中はこんなに広いんだ、という気づきは

 彼女のこれからの人生に大きな力をくれるはずです」

えらいことになった。
海外へ行くという選択肢を、
13歳の子どもに与えることになるとは。

当のムスメは、なんと顔に血色がみなぎっていました。
先生はこの2時間で、ムスメの心に火をつけたようです。

今までわたしたちが提示したオプションのうち
これがいちばんヒットしたことは、一目瞭然。

そして先生が用意した発火材料はもう1つ。
具体的な学校名を、ムスメに提示してあったのです。

長野・軽井沢にある、全寮制のインターナショナルスクールでした。
まだ創立3年ほどの新しい高校。
日本にある多くのインターナショナルスクールは
日本人がとても多いそうですが、
その学校は、70%がアジアを中心とした海外から来る生徒。
みんな親元を離れて、その学校に入ってきます。

なるほど。。。日本にいて海外留学のような経験を積めるわけだ。

それなら心理的ハードルは少し低い。
わたしはちょっとだけ安心しました。

家へ帰ると、ホームページなどを見て
その学校について調べました。

まず、教育理念がとてもすばらしい。
「未来のチェンジメーカーを目指す」

文科省認定・日本の高等学校を卒業したのと同じ資格がもらえる。
つまり、日本の大学への進学もできる。

通常は軽井沢だが、
週末や長期休暇は家に帰ることもできる。

ムスメにとっても、
わたしにとっても、すごく好感が持てました。

「わたし、この学校に行きたい」

と、ムスメは言いました。

うれしかった。
この子に合う学校が、目の前に1つ見つかった、ということが
本当にうれしかった。

わたしは、ムスメに合う学校がなかったら、
どこも受け入れてくれなかったらどうしよう、
という不安でいっぱいでした。
それは、社会から拒絶されているのと同じ、とさえ思っていました。

今なら笑える話です。
当時のわたしに「あほか!」と怒りたいくらい。

「学校が娘を受け入れてくれるかな」という考えがそもそも違っていて
学校と子どもは、対等の関係。
だから、「お互いに」すこしずつ関係値をつくりあげていくもの。
それをゆっくりと見守ればよい、と、今ならわかります。

ですが当時は何かにすがりたくて、
とにかく不安でした。

それが1つ具体的に見つかったことが、とてもうれしかったです。


しかし、問題もありました。

まず、入試の高すぎる倍率。5倍とも7倍とも言われています。
日本人は日本人枠が小さいので(30%)、さらに倍率は上がるとも。

次に、英語力。
この学校は、入試の段階では明示的な英語力は問われていません。
英語力よりも、情熱を重視する、という方針だそう。
(ね?いいでしょ?)

そうは言っても、授業は全部英語。
先生方も、全員ネイティブ英語。
つまり生徒は相当高い英語レベルが求められますし、
相当レベルの高い子どもたちが、受験すると思われます。

ところが、ムスメは格別英語が得意、というわけでは
ありませんでした。
どちらかというと、好きではない。

しかも、中2の1学期時点で、英語の教育は止まっている。

ううむ。。。途方もない挑戦なんじゃないかこれは。

ムスメも同じくそこは心配していたようでした。
独学でそこまで英語力をアップできるのか。

また、入学まで1年半あります。
入学後は高校課程の学習が始まります。
中学校へ行かないと決めたムスメはその間、
ひとりで中学課程の勉強をこつこつと続けられるのか。

せっかく出会ったご縁なのに
ここで諦めることになるのか。。。

悩みます。

つづく。

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