見出し画像

毎日の選択の質を上げる プロコーチが教えるセルフコーチングの5つのモデルと100の質問 vol.5 俯瞰型セルフコーチング

こんにちは。ホリスティックコーチの佐藤草(さとうそう)です。
先日からセルフコーチングの5つのモデルについてご紹介しています。

<セルフコーチングの5つのモデル>
A. 目標フォーカス型セルフコーチング
B. 欲求フォーカス型セルフコーチング
C. 感覚フォーカス型セルフコーチング
D. プロセスフォーカス型セルフコーチング
E. 俯瞰型セルフコーチング

昨日は4つ目のモデルであるプロセスフォーカス型セルフコーチングについてご紹介しました。

最終日の今日は多様な視点を持つことを後押しする俯瞰型セルフコーチングをご紹介します。

最後にこれまでご紹介したセルフコーチング5つのモデルと100の質問をまとめたのPDFのプレゼントのご案内もあります。

こんな人が書いています。

画像1

1. 俯瞰型セルフコーチングの概要

俯瞰型セルフコーチングは、世界を4つの象限(個と集合、内面と外面のマトリクス)で捉え、多様な視点を持つことを促すセルフコーチングです。

これまでとは違う新たな視点でものごとを考えたいときや、複数の選択肢のつながりを検討したいときなどに活用することができます。

<俯瞰型セルフコーチングの特徴>
・1つの物事を4つの側面から捉えてみる
・計測可能なことだけでなく、計測できないことにも目を向ける
・対立関係にあるものにも新たな見方を加えることができる

<俯瞰型セルフコーチングが有効なとき>
・思考や行動の新しい選択肢が欲しいとき
・ものごとをより多面的に捉えたいとき
・大切にしたいことがトレードオフの関係で困っているとき
・自分の思考そのものを客観的に捉えたいとき

2. 俯瞰型セルフコーチングの構造

俯瞰型セルフコーチングでは、世界を個と集合、内側と外側の二つの軸を使って計4つの象限で捉えます。

これはアメリカの思想家ケン・ウィルバーがインテグラル理論の中で提案しているものです。

画像2

<俯瞰型セルフコーチングの流れ>
①今自分が思考している領域を明らかにする
②現在とは違う領域で捉えてみる
③二項対立で捉えていることを明らかにする
④対立すると考えているものをどちらも含む選択肢を検討する

3. 俯瞰型セルフコーチングの質問

①今自分が思考している領域を明らかにする
・今自分は4象限のどの領域に注目しているだろう?
・それは目に見えること(外面)、目に見えないこと(内面)?
・それを個人の問題と捉えている?共同体の問題だと捉えている?
・それを構造や行動の問題と捉えている?関係性や感情の問題と捉えている?
・いつも自分が着目するのはどの領域だろう?

②現在とは違う領域で捉えてみる
・違う領域の課題として捉えるとどうだろう?
・(計測できないものに対して)計測する指標を当てはめるとするとどうだろう?
・(計測できるものに対して)計測できないどんなものとつながっているだろう?
・(個人の課題に対して)共同体の問題だと捉えるとどうなるだろう?
・(共同体の課題に対して)個人の課題だと捉えるとどうなるだろう?
・今見落としているのはどの領域だろう?

③二項対立や因果関係で捉えていることを明らかにする
・トレードオフになることとして捉えていることは何だろう?
・因果関係だと思っていることは何だろう?
・相関関係だと思っていることは何だろう?
・一番関係が強いと思っていることは何だろう?
・関係がないと思っていることは何だろう?

④対立や因果関係を超えた選択肢を検討する
・どちらも満たすとすると、どんな方法があるだろう
・自分の中にどんな前提があるだろう?
・もし、他に要因があるとするとどうだろう?
・関係がないと思っていることは何だろう?
・全てに関連している重要なことは何だろう

<俯瞰型セルフコーチングのポイント>
・考えていることが4象限のどこにあたるか分類する癖をつける
・1つのものごとを4象限で捉える癖をつける
・「もっと他の見方もできるかもしれない」と常に他の可能性を考える

4. 俯瞰型セルフコーチングの限界

<俯瞰型セルフコーチングの限界>
①物事を俯瞰する分、自分の感情とは切り離されることがある
②様々な選択肢が出てくるが、優先順位づけが難しい場合がある
③認知のバイアスによって、優先順位等が歪められる場合がある
③内面的な領域を捉えるのが苦手な場合がある

①物事を俯瞰する分、自分の感情とは切り離されることがある
世界を4象限で捉えると、今までとは違った視点からものごとを捉え、新しい選択肢を出すことができます。一方で、それはあくまでものごとであるため、自分の心とつながっている選択肢かは別の検証が必要になります。

②様々な選択肢が出てくるが、優先順位づけが難しい場合がある
様々な選択肢が出て思考を発散させることに向いている反面、自分の中に判断の基準がない人にとっては出てきたことに優先順位をつけることが難しくなる場合があります。

③認知のバイアスによって、優先順位等が歪められる場合がある
人は、自分が上手くいかないことは環境が原因だと考える一方、他者が上手くいかないことはその人の内面が原因だと考えるという認知のバイアスがあります。これによってフラットな選択肢を考えることが難しくなります。

③内面的な領域を捉えるのが苦手な場合がある
私たちは普段、目に見えるものや計測可能なものに意識を向けがちです。内面的な領域は計測が難しく扱いづらいため、無意識のうちに優先度や重要度が下がってしまう場合があります。

参考:『インテグラルシンキング―統合的思考のためのフレームワークー
鈴木規夫著

5. セルフコーチングの限界

ここまで5つのセルフコーチングのモデルをご紹介してきました。
5つを組み合わせると、多様なテーマや状況に対してセルフコーチングを行うことができます。

一方で、セルフコーチングにも限界はあります。

<セルフコーチングの限界>
①「頭の中で考える」だけでは気づきが起きにくい
②無意識の思考の癖に気づことが難しい
③感情や感覚を深く扱うのが難しい

①「頭の中で考える」だけでは気づきが起きにくい
コーチグの効果の一つに「オートクライン」(自分の話したことから気づきが生まれること)があります。オートクラインは信頼関係を築いている相手との対話によって起こりやすく一人で気づきを得ることは限界があります。

②無意識の思考の癖に気づくことが難しい
人は無意識に持っている思考のパターンがあります。自分の思考パターンを変えるためには、まず思考パターンを客観的に捉える必要があります。しかし「思考」と一体化してそれを客観的に捉えられないことが多くあります。

③感情や感覚を深く扱うのが難しい
私たちは、社会生活をスムーズに送るにあたって、感情を抑制することに慣れています。また普段、多くの情報や刺激に囲まれているため、感覚も鈍くなっています。

6. コーチにしかできないことは何か

ここまで、セルフコーチングのモデルやセルフコーチングの限界についてご紹介してきました。では、コーチだからできること・コーチにしかできないことはどんなことでしょうか。

<コーチにしかできないこと>
①自分では気づかない言葉や感覚のニュアンスに気づくこと
②「考え方」の枠組み自体を客観的に捉えること
③「当たり前」「事実だと思っていること」を疑うこと
④強みや可能性、兆しに気づいてフィードバックをすること
⑤まだ言葉になっていないものを言葉にすることをサポートすること

①自分では気づかない言葉や感覚のニュアンスに気づくこと
コーチはクライアントが話している内容だけでなく、声のトーンやそこに込められたエネルギーなども聞き分けています。そのため、無意識に強調していることや避けていることに気づき、フィードバックすることができます。

②「考え方」の枠組み自体を客観的に捉えること
コーチはクライアントが話している内容だけでなく、その話の構造にも着目しています。考え方の癖やどんな視点でものごとを見ているかなどを捉え新たな視点を持つことを後押しする問いを投げかけることができます。

③「当たり前」「事実だと思っていること」を疑うこと
私たちは身を置いている社会や組織の慣習と一体になっていることが多くあります。それはときに私たちの限界をつくります。「当たり前」や「事実」を、そのままに受け止めないことがコーチの役割でもあります。

④強みや可能性、兆しに気づいてフィードバックをすること
苦労なくできることはそれがその人独自の強みだということに本人は気づきづらくなっています。強みや可能性、兆しに気づいて、それを活用し再現性を高めるための後押しをするのもコーチだからこそできることです

⑤まだ言葉になっていないものを言葉にすることをサポートすること
私たちは、自分が必要としていることや本当に表現したいことを適切に表現する言葉を見つけていないことが多くあります。心の奥底にあるものを言葉にすることを後押しするのも、伴走者であるコーチの大切な役割です。

これらに共通しているのは、「今ここに起こることに対して個別対応をする」ということです。AIの技術なども進歩していく中で、コーチとして磨いていくべきポイントとも言えるかもしれません。

7. プロコーチを活用するのにおすすめの場面

では最後に、セルフコーチングの限界とコーチにしかできないことをふまえ、プロコーチを活用するのに向いている場面をご紹介します。

<プロコーチを活用するのに向いている場面>
①頭の中に流れる質問の傾向を変えたいとき
②思考のプロセスや認知の枠組みそのものを成長させたいとき
③自分自身の深いところにある感覚や想いとしっかりとつながりたいとき
④より多面的・長期的な視点や深い洞察を得たいとき
⑤大きなビジョンを描きたいとき

①頭の中に流れる質問の傾向を変えたいとき
人は無意識に持っている質問の傾向というのがあります。コーチをつけたことがない方は、自分に投げかける質問を変えるために、一度プロのコーチをつけてみることをおすすめします。

②思考のプロセスや認知の枠組みそのものを成長させたいとき
人はものごとに意味付けをする認知の枠組みにもパターンを持っています。そしてそれは意識の成長とともに変化をしていきます。認知の枠組みそのものを成長させたいときは専門のコーチをつけることがおすすめです。

③自分自身の深いところにある感覚や想いとしっかりとつながりたいとき
普段言葉にすることの少ない感覚や曖昧なものを言葉にする場合、感覚をじっくりと味わうことをサポートしてくれる存在が有効です。身体感覚を感じることを後押しするのが得意なコーチをつけることがおすすめです。

④より多面的・長期的な視点や深い洞察を得たいとき
人は、ものごとの捉える視点や時間軸の持ち方にもその人独自の癖を持っています。重大な選択や決断をする際には、コーチと対話をすることでいつもよりも多面的・長期的・深い視点を得ることができます。

⑤大きなビジョンを描きたいとき
人がビジョンを描くとき、無意識に前提やできることに制限をかけていることが多くあります。コーチとの対話を通じて制限をはずし、彩り鮮やかで、心踊るようなビジョンを描くことができます。

実際にはコーチによって得意なテーマや専門領域があるため、自分が取り組みたいこととコーチの強みがマッチしているかをウェブサイトや体験セッションで確認をした上でセッションを受けることをおすすめします。

8. セルフコーチングの5つのモデルと100の質問オンラインブックレットとアンケートのご案内

セルフコーチング5つのモデルと100の質問についてはいつでも最新版をご覧いただけるオンラインブックレットをご用意しています。

また、DEEP INTEGRATIONでは、持っている力を発揮するためのヒントをご紹介しています。

不定期(2週間に1回ほど)で発行するメールマガジンでは、サイトではお伝えしていない、人間の深い部分に関するお話もご紹介しています。

よろしければウェブサイトやメールマガジンもご活用ください。




このページをご覧くださってありがとうございます。あなたの心の底にあるものと何かつながることがあれば嬉しいです。言葉と言葉にならないものたちに静かに向き合い続けるために、贈りものは心と体を整えることに役立てさせていただきます。