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共感疲労、していませんか?【コーチングスクールでは習わなかった聴く力を高めた先に起こること】

日本ではGWということでのんびりと過ごされている方も多いでしょうか。

私も現在の滞在先であるトルコが厳しいロックダウンに入っていることもあり、おうちで静かにゆったり過ごしています。

今月の滞在先に心地いいバルコーにがあることもあり、オランダ人のパートナーともこれまで以上に深い話をすることが増えています。


最近の話題は、アドラーの考えについて。

彼は『嫌われる勇気』の翻訳版を読みいたく感動したらしく、「人の課題を引き受けない」ということの大切さや、「とは言え、人の課題と自分の課題は簡単にごちゃ混ぜになってしまう」ということなどを話しています。


そんな中、思い出したのが「共感疲労」のこと。

以前書いたエンパスについての記事は今でもたくさんの方にご覧いただいていますが、今日は、「聴く力や共感力が高まると何が起こるか」ということについて一つの視点をご紹介したいと思います。

聴く力や共感力が高まると起こること


記事の中では、私が様々なトレーニングや取り組みを経て、エンパスという資質が強く発揮されるようになったこと、その結果、他者のエネルギーを受け取りやすくなり、自分自身を調整する時間が多く必要になったことをご紹介しました。


「エネルギーを受け取りやすくなる」というと漠然としていますが、これは「共感をしすぎて疲れるようになる」とも言うことができます。

Compassion(コンパッション)―状況にのみこまれずに、本当に必要な変容を導く、「共にいる」力』の中にはこんなことが紹介されています。

苦しんでいる人と共に在るとき、私たちの中では、相手の感情を感じとり、相手の視点で状況を捉え、自分の過去の同じような経験を思い出す、この三つが起こっています。これらの流れが絡み合った結果、共感の高まりが生じ、共感疲労が引き起こされるのです。

Compassion(コンパッション)―状況にのみこまれずに、本当に必要な変容を導く、「共にいる」力』より


それでは共感疲労が起きた結果、さらにどんなことが起こるのでしょうか?


共感疲労の先に起こること


同書の中では、こんな反応が起こることされています。

<共感疲労にともなって生じる反応>
・脅威となる不快で困難な経験から自分を守りたいがために過剰な援助を行おうとする
・拒否や無関心などの回避行動を取る
・苦しむ人を見捨てることへの嫌悪感が起こる
など


これらのように自覚できる(可能性の高い)反応以外にも

・疲れを感じることが多くなる
・もっと自分が成長や勉強をしないとという気になる
・自分がこの仕事に向いていないんじゃないかという気がしてくる

など、一見、共感疲労から来ているとは分からないような反応が起こるということも、自分自身の経験や他者と関わる仕事をしているクライアントさんの話などから実感しています。

そしてこういった時間が続くと、せっかく想いを持って始めた仕事や取り組みを続けていくことが難しくなってしまいます。


共感疲労を起こさないために


共感疲労を防ぐためにはどうしたらいいか。

ポイントとなるのは、他者と自分を区別するということです。

他者と一体になることと、他者と自分を区別すること、両方が必要なのです。後者が抜け落ちてしまっているかぎり、共感疲労を避けることはできません。

Compassion(コンパッション)―状況にのみこまれずに、本当に必要な変容を導く、「共にいる」力』より


では、他者に寄り添い、その視点に立とうとしながらも、自分との区別を保ち続けるためにはどうしたらいいのでしょうか。


そのために必要なのは「共感」ではなく「共観」しようとすることだと私は考えています。

「共観」とは、「相手が見ている景色をともに観ようとすること」。

*共観についてはこちらのnoteがとっても参考になります。
(面識はありませんが、素敵な記事だったのでご紹介させていただきます)


共に観ようとするプロセスには、「相手が見ている景色が分からない」という姿勢を持ち続けることが必要になりますが、実はこの姿勢は「あなたはこう感じているのですね」と共感するよりももっとパワフルに、かつ自然に、相手の視点の変化を後押しすることもできます。

また、「分からない」という視点に経ち続けることによって相手と一体化してしまうことを避けることもできます。


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「聴く」ことに関連するスキルや在り方を学ぶ機会は多くありますが、その先に起こることと起こることへの対処を知らないと、聴くことが苦しくなってしまうということが起こります。

私自身も、聴く先に起こることと起こることへの対処を知らなかったために苦労をした時期がありました。


あなたは今、どんな聴き方をしていますか?

聴いている結果、あなた自身にはどんなことが起こっていますか?


この記事が、想いを持って、「聴く」ことについて学びや実践を深めている方の少しでも参考になれば嬉しいです。



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Self-Inquiry for Authentic Professional -Expansion-

今回のテーマ「コミュニケーションと関係性に関する認識を拡張する」では、コミュニケーションに関する意識(認識)そのものを更新・拡張し、関係性の質を高めることに取り組んでいきます。
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