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グリネル2年目の1年間を終えて

はじめに

こんにちは!2020年の9月からアメリカアイオワ州にある小さなリベラルアーツカレッジ、グリネル大学に進学しているavocadoです。グリネルの2年目が遂に終わり、今はシカゴの空港でこの記事を書いています。今回は一番忙しいと言われている2年生の1年間を振り返りこれまでの体験を反省していきます。

グリネル大学やリベラルアーツ大学について以前詳しく書いているので、まだ見ていない方はそちらをご覧下さい!1年前にも1年生を振り返った記事を書いているのでそちらもよければご覧下さい。

秋学期〜初めての対面授業、レベルの上がった内容と宿題の量〜

1年生の1年間はオンライン授業でしたが、2年生では初めて対面授業が可能になりました。最初は質問のしやすさや授業の盛り上がり(?)がすごくいいなと思い、授業の質が上がったのを嬉しく感じていたのですが、8時から外に出て教室までいかなければ行けないめんどくさや、体調や宿題に融通が利きにくいことで、後半は精神的に疲れ切ってしまいました。さらに4クラスを同時に履修したのが初めてで、(1年生の時は特別ルールで4学期制2授業ずつでした)宿題の時間管理をするのがすごく難しかったです。授業も1年生の時よりはるかにレベルが上がっていて、特に物理の専門性の高さに驚き、宿題にすごく苦労しました。
良かったこととしては、友達が去年より多くできたことと、学校主体のイベントが多くなったことなどで、ソーシャルライフはとても充実できたのかなと思います。

履修した授業を軽く紹介します。

現代物理学

アインシュタインの相対性理論やシュレーディンガーの猫でお馴染みの量子力学を勉強しました。いわゆる古典物理と呼ばれる高校物理と違い最近発見されたことも多く習うので、勉強していてもまだわからないことが沢山あることを知ります。

線形代数

論理に基づいて行列やベクトル解析について習いました。大学数学の根底となる証明を沢山練習しましたが苦手でした。

経済開発学

経済学入門で習った考え方を使って開発経済学者がどのように研究をしているのか読み解く授業です。主に発展途上国を対象にした研究論文を読んでいます。実際の研究を完璧に理解するのにはまだ少し難しいですが、とても面白い授業でした。

哲学入門

ソクラテス・プラトン・アリストテレスからデカルト・カント・マルクスまでさまざまな時代の哲学者の考えを読んでディスカッションをしました。授業もわかりやすくて優しい大好きな教授に習いました。

春学期〜戻ってきたアイオワの寒い冬、履修しすぎた理系科目〜

1月から5月までの春学期は、前半ほとんど雪と寒さで身動きが取れません。部屋に篭りがちなこの時期は、2度目と言ってもメンタル面で辛いものでした。また4授業とも専攻のための難しい授業を取ってしまい、宿題と復習の量が回らなくなっていたように感じます。もっとも、宿題を友達や教授にこまめに聞かずに溜め込んでしまったこと、夜にも朝にも勉強が集中できずやるべき課題が自分の中の期日までに終わらなかったことが問題だなと思います。朝方の人は朝に集中して勉強する、課題が膨れ上がらないうちにタスクを細分化してこなす、寒くて外に出たくない時期でも友達と会ったり運動したりする、などが大事だったなと反省しました。

この時期に履修した授業を紹介します。

解析力学

ハミルトンの原理やラグランジュ方程式を扱います。簡単に言えば、いろいろな物理現象を二階微分してより詳しく運動を見てみようという授業です。週3ある授業とは別に週1でPythonを使った運動のモデリングを分析する時間があり楽しかったです。

熱力学と統計物理学

選択授業として物理をもう1つ取ってみました。熱力学からボルツマン統計、量子統計まで扱います。ザックール・テトロード方程式というのが出てくるのですが、式が煩雑すぎて訳がわかりません。なのにテストにもめちゃめちゃ出る重要方程式ということに驚きました。すごく難しい授業です。

ミクロ経済学

消費者がどのように商品を比較し意思決定しているのかを勉強しました。経済と物理は似ているところもたくさんあって、物理で勉強したラグランジュ方程式が出てきた時には感動しました!個人的には関数の2階微分を取って最適化(optimization)を求めるプロセスがすごく興味があり、そこが物理とやり方が似ていて面白いなと感じます。

微分方程式

微分と積分をひたすらする授業です。二階微分や偏微分、非線形微分、フーリエ級数やラプラス変換などを勉強しました。テストが時間制限が厳し目でやらかしました。

1年間を振り返って

2年生はどの学年よりも忙しく大変だと上級生に言われてきました。確かに授業も格段に難しくなったし、宿題だけでなくキャンパス内での仕事に追われたりクラブを活動させたりインターンシップ探しや友達関係に苦労することも多く感じました。私は日本の大学を経験することができなかったので、高校の友達から聞くことしかできないのですが、確かに色々なタスクに常に追われているという面では倍以上大学生活を忙しく感じると思います。また寮生活となると大学のキャンパス内から逃れられない精神的つらさや慢性的疲労感、グリネルの地理的デメリットなどからホームシックになることもありました。学期中大事なのはやはり楽しみと学業のバランスです。そして自分が何を目標としてどう過ごしていきたいのかを忘れては行けません。授業が辛ければ教授に断って休みを入れて、カウンセリングサービスを使えばいいと思います。週末には好きな楽器を練習したり友達とデモインやアイオワシティに出かけて美味しいご飯を食べるといいと思います。大事なのはそういった身の回りの友達や大学のリソースを通して自分のキャパシティをコントロールし、無理なく勉強を頑張り続けられることだと感じます。

海外の特にリベラルアーツ大学を考えている高校生にとって、アメリカの大学に行くことはステップアップであり努力とやる気のベクトルの延長線上に見えるかと思いますが、実際グリネルのような大学は常に学問的好奇心がワクワクの楽しいところでは決してありません。私にとってグリネルの学生はどちらかというと対照的に、常に勉強を苦じゃなく取り組み続けられる人、将来の目標はまだぼんやりとしか描けてないけど確実に掴もうと考えている人、そういった静かな心の炎というか強さと賢さを持っている人が多い気がします。もしあなたがそのような人なら、ぜひグリネルを受けてみるといいかも知れません。ここでは自分と周りに向き合い、勉強と自分に本当に大切な楽しみを見つけることがきっとできると思います。それは、きっと大学のネームバリューやランキング、偏差値よりもずっと大事だと、私は2年終えてようやく気付けた気がします。

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