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「いまを生きる」

原題:DEAD POETS SOCIETY
監督:ピーター・ウィアー
製作国:アメリカ
製作年・上映時間:1989年 128min
キャスト:ロビン・ウィリアムズ、イーサン・ホーク、ロバート・ショーン・レナード
劇場公開日:1990年3月17日 

 ロビン・ウィリアムズ氏の訃報を知ったのは真夜中だった。見間違い?と急いで記事を確認したことを二年前のことではあるが鮮明に思い出せる。お人柄が役に反映されている役者で、まだこれから円熟の演技を拝見したかった。
 本作は real time ではないが以前にネット配信で観ていた。映画館のスクリーンで観たくてTOHOまで出向く。午前の10時の映画祭にかかる程古い?と訝しんでいたが1989年製作と改めて知り、それほど時間の波に負けていないことに寧ろ驚く。

 確かに台詞で「 Carpe diem」(その日を摘め:ラテン語)が指針の如く、時に合言葉のように何度も語られる。しかし、それをそのまま邦画titleに持って来るのか?疑問だ。伝え易いことと映画の本質は別だ。
 「Dead Poets Society」『死せる詩人の会』が話の中心だ。
 一風変わって映る新任キーティングの核なるものがこの「死せる詩人の会」にあることを好奇心から始まったにせよ生徒らは知り、彼に触発され大きな学びを得る過程を描く。

 個人的に家族に男子中高一貫校生が居るのでこの空気がとてもよく解る。劇中、共学校映像もあるが両校の空気は全く違う。勿論、良家子息恵まれた品行方正な生徒らではあるがそれらを差し引いても男子校の方がpureなものがある。映画でありながらドキュメンタリを観るように彼らの生活、息遣いまでが伝わる。多感な頃の彼らの演技が実に瑞々しかった。

 男子生徒らに「詩」を通して生きる処方箋の書き方を教えていく教師。映画の世界だけにして欲しくない。生き辛いのはいつの時代も変わらない。その時に自らを救える術を大人は様々な形で彼らに伝えるべきなのだ。

 ロビン・ウィリアムズ氏が亡くなったというバイアスが大きく働いて観てしまうことは覚悟していた。が、その覚悟以上に彼の台詞一つ一つが本当に現実の彼にそのまま通じ辛くてしようがなかった。
 2014年に公開されたiPad airのCMで本作のR・ウィリアムズの台詞がナレーションとして使用されている。映画の正にエッセンスです。
★★★★

 


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