「ブルーに生まれついて」
原題:Born to Be Blue
監督:ロバート・バドロー
製作国:アメリカ・カナダ・イギリス
製作年・上映時間:2015年 97min
キャスト:イーサン・ホーク、カルメン・イジョゴ、カラム・キース・レニー
映画を観た後、JAZZに関してはmusicianの背景についてこれまであまり詮索しないままに来たことに気が付く。勿論、クラシックと違いどうしても白人・黒人に関しての情報は自然と付いて回る。チェット・ベイカーもこれまで聞いている、それ以上にエヴァンスが好きで日常生活によく流しているので私の中では白人にはJazzの理解が出来ない云々はない。
ストーリーの中でもマイルスとの確執が垣間見えるシーンがある。マイルスとさほど年齢は変わらない3歳差にも拘わらず、Jazz界のジェームスディーンと呼ばれていた彼の線の細さはマイルスの圧倒的存在に潰されそうに写る。
暴漢に遭い、ペット奏者として致命的な負傷からの復帰を中心に描いている為にバードランドを含め、店での演奏シーンは極めて少ない。それでも、断片の様に入っていく自然の中での復帰に向けての演奏シーンは美しかった。
イーサン・ホークは大好きな俳優の一人。それほど似ていない彼がどのようにチェット・ベイカーを演じるのかの興味も持っていた。イーサン・ホークの歌をこれほどゆっくり、しっかり聞いたこともなくペットの演奏よりも印象的だった。
クスリ依存から立ち直れないまま人生を閉じる彼。全くクスリには同意しないが、薬物恩恵が彼の諸々の演奏を造ったわけではない。彼が命を終えても尚も人に響く音を残したことは事実。ただ、ただ、ペットを吹きたい彼。仮令、前歯全部折られようが吹き続ける彼の姿は不器用というよりpureだ。
「Born to Be Blue」、彼の思い入れがある曲名であり、Jazzで意味するBlue、性格のblueと様々な意味合いを含んだいい映画title。エンドロールまでテーマが統一されている。
この映画を観に行く人は限られるかもしれないが、余韻がある映画。100分を切っていたなんて信じられない位に魅入る。
★★★★
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