記事に「#ネタバレ」タグがついています
記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。
見出し画像

「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3」それぞれの変化とその作品性について

 ありがとうガーディアンズ、ありがとうジェームズ・ガン。そして最後の最後でVOLUME 3をやっとつけた邦題担当の人、ありがとう。



 シリーズとしては3作目。「アベンジャーズ:インフィニティ・ウォー」「アベンジャーズ:エンドゲーム」や「ソー:ラブ&サンダー」、ディズニープラス配信の「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー ホリデー・スペシャル」も含めてかれこれ9年間もMCUで活躍してきた。一応シリーズとしては見納めらしい。今作に向けて復習がてらそれら作品を見直すと、登場人物がそれぞれ別人かのように感じるほど、それぞれが成長していることが分かった(なお、本当に別人になった人も)

各々の変化

 「ホリデースペシャル」でも描かれていたが、ガーディアンズがコレクターからノーウェアを買い取って拠点にしていることが明らかになる。それも街のように住人も多く多方面で活躍をしているようだ。その集団の中で連隊意識が増したのか、マンティスはドラックスなどチームメイトを叱れるようになったり、ふらふらした佇まいの中に責任感も芽生えているようだ。そして”成長”といえばシリーズを通して毎作品で異なる姿を見せるグルートも本作ではガタイも良くなりチームの主戦力として活躍している。
 個人的にシリーズを通して、最も変わったのはネビュラだと思う。1作目では敵の二番手みたいなキャラだったが、2作目以降でガモーラやサノスとの愛憎劇を経て、エンドゲームではアイアンマンことトニー・スタークとつまらなさそうなゲームをしつつアベンジャーズの中心人物になっていた。今作では常に怒っているが、酔い潰れたクイルを介抱したりと1作目の彼女と比べると全くの別人に感じる。改めて見直してみるのもおすすめ。クイルは大人数になったガーディアンズのリーダーではありつつ、周りのメンバーがより彼をサポートすることが出来るようになりチームとしてもより成長しているようだ。
 ネビュラは別人のように変わったが、ガモーラは本当に別人に代わった。詳しくはエンドゲームでの出来事であるが、今までクイルとガモーラのラブロマンスもシリーズの中で中心にあった部分であったが、今作ではそれらが無くなっており、どちらかといえば元カノを忘れられないクヨクヨした男が今の立場を真っ当し立ち直る、といったストーリーになっていた。つまりガモーラは今作では重要なポジションにあまり位置していない。ある意味で彼女の物語はインフィニティ・ウォーで終わっていたのかもしれない。
 逆に変化という意味での成長はなく相変わらず独自の世界観を持つドラックスも映画に安定感をもたらしていると感じた。というのも、今作ではシリーズ特有のギャグ要素が比較的抑えられている印象がある。もちろん全く無いわけではないが、後述するロケットの過去が今作でかなりストーリーに奥深さと暗さを与えているため全体的にかなり重めになっている。その中でドラックスの安定感はガーディアンズらしさを観客に与え、安心させてくれるキャラクターだ。彼はシリーズを通してその役割を貫き通していた。
 他にもソ連によって宇宙に送られた超能力犬であるコスモといった新しいメンバーや、ヨンドゥから矢を受け継いだクラグリンなどガーディアンズの層の厚さを増す変化もあった。

実はコスモは1作目でも登場していました

ロケット・ラクーンの過去

 今作で物語の中心として描かれるのがロケットだ。序盤でアダム・ウォーロックの襲撃により大怪我を負い、その治療を行うためにクイルたちガーディアンズの面々が動き出すことで物語が進む。その裏でロケットの過去が明らかになっていくといった構成だ。1作目でロケットの過去は若干示唆されていたもののあまり描かれることはなかったが、今作で明らかになったそれはとても辛いものだった。MCUのキャラクターの中でも最も壮絶で悲惨なバックボーンであると思う。前述した通りかなりダークな雰囲気を作りだしているが、これまでのロケットの活躍を思うとその過去が明らかになったことでより彼の言動が深みを増す。今作のヴィランであるハイ・エボリューショナリーがとんでもクソ野郎なのもより際立って良い。彼もその目的の裏になにかしらの過去があるのだろうが、中途半端に描かれなくてよかった。ロケットは元々好きなキャラクターだったが、さらに好きになった。
 そして彼を助けようと必死になるガーディアンズの面々の奮闘ぶりがこの映画の面白さであり、その奮闘ぶりが前述した通りこれまでのシリーズからの各人の変化と相待ってより際立つものとなっている。個人的に一番好きなシーンが、子供たちがまだ船に残っているから助けに行き、全員で複数の敵を倒していくシーンだ。過去一でカッコいいし、それが成長したチームの強さを見せているようで感慨深かった。その動悸も無言で助けにいく様がよりカッコいい。あのシーンだけでも何回も見ていたいと思った。シリーズ完結作にてこれを持ってこれるジェームズ・ガンの手腕とその愛が、ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーという作品を表していると感じた。

ありがとうジェームズ・ガン。あっちでも元気にやってね

まとめ

 今作をもってガーディアンズ・オブ・ギャラクシーというシリーズは一区切りを迎えた。クイルは地球に帰り、マンティスは3匹のアビリスクと一緒に旅に出た。他メンバーも各々の得意なことを目指し、新しいリーダーにロケットは就任した。MCUという枠組みで見ればまだ彼らの活躍をどこかで見ることができるだろう、毎回恒例であったエンドロール最後に「Legendary STAR LOAD will Return」とあったように何らかしらで改めて登場するのだろう。もしかしたら再び彼らが全員揃うこともあるかもしれない。しかしジェームズ・ガン(彼がDCUの責任者になったことも含めて)主導のガーディアンズ・オブ・ギャラクシーという作品はもう終わったのだと感じた。とても悲しいが、それでも最後にこれだけの大作をエモーショナルにかつ素直に描き続けた製作陣に感謝。ずっと彼らをスクリーンで見続けることが出来てとても幸せだ。

その他のどうでもいいこと

 満を辞して(?)の登場となったアダム・ウォーロックがショボいなと思った。なんかビーム出したり空飛べたりで強いし、マザコン入って馬鹿っぽさもあっていろいろ出来そうなキャラだったけど作品全体としてはかなり邪魔な存在で、最後宇宙空間に放り出されたクイルを助けることくらいしか良い意味でも悪い意味でも活躍がなかった。コミック的にも重要な人物なので、おそらく今後MCUのどこかで活躍していくんだろう。最近のMCUにありがちな新しいヒーローのお披露目会要素が不要だなと思った。
 

おわり。

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?