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すきま時間に暗算しませんか?(最小作用の原理からオイラーラグランジュ方程式を導こう)
みなさんこんにちは!今回のテーマは解析力学で重要な最小作用の原理とオイラーラグランジュ方程式をつなぐ計算をしてみようという内容です.
予備知識
覚える知識は少なめで,なるべく計算だけで導けると嬉しいですよね.
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L(q,\dot{q})
$$
まず,なんといってもラグランジアンですね.今回は一般化座標qとその速度q(ドット)を変数に持つ関数です.重要なのは変数がその二種類であることで具体的な関数の形はこの際なんでもいいんです.
より一般的に見るならx,y,z方向の座標と速度ですので1粒子に対して6個の変数ですね.これがN個の粒子なら変数は6Nあることになります.下の式のiが3Nまで走れば網羅してますね.
$$
L(q_i,\dot{q_i})
$$
次は作用積分です.名前が仰々しいですが,大したことありません.
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I=\int_{t_1}^{t_2}dtL(q_i,\dot{q_i})
$$
意味を考えるとt1からt2までのラグランジアンの時間変化を積算したものをIとするってことですが,まあよくわかんないですね(笑)とりあえず置いておきましょう.
ラストは最小作用の原理です.こちらはとてもやさしい見た目ですので気絶しそうな人は戻ってきてくださいね(笑)
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\delta I=0
$$
作用積分の変分が0ということで作用が最小になるって,まあそのままですね(*^-^*)
細かいですが少し補足します.いま,考えている経路の作用が最も小さいとします.このとき始点と終点はそのままに途中の経路を少し変えてみた新しい経路を考えます.するとどんな他の経路もはじめの経路より作用が多くなります.
ところがほんの少しだけ変えるだけならあまり作用が変わらないわけです.イメージとしては下に凸の放物線の頂点付近ですね.傾きがほとんど 0になるあたりを求めてるわけです.
さて,こちらをいじくってオイラーラグランジュ方程式を導きます.
おおっと肝心のゴールを示さないとですね
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\frac{\partial L}{\partial q_i} - \frac{d}{dt}(\frac{\partial L}{\partial \dot{q}_i})=0
$$
ぜんぜん形が違うのでびっくりしますが最小作用の式と同じことを言ってるわけです.では早速計算してみましょうφ(゜▽゜*)♪
計算パート
計算というと気が滅入るかもしれませんが慣れればいろいろテクニックが学べるのでいい練習になります.δIっていうのは下の式を意味しています.
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0=\delta I=\int_{t_1}^{t_2}dtL(q_i+\delta q_i,\dot{q_i}+\delta\dot{q}_i)-\int_{t_1}^{t_2}dtL(q_i,\dot{q_i})
$$
積分範囲が同じなので積分のところをまとめてしまいましょう
$$
\delta I=\int_{t_1}^{t_2}dt[L(q_i+\delta q_i,\dot{q_i}+\delta\dot{q}_i)-L(q_i,\dot{q_i})]
$$
次がちょっとわかりにくいかもしれませんが,間にプラマイ0になる式を挟んでいきます.
$$
\delta I=\int_{t_1}^{t_2}dt[L(q_i+\delta q_i,\dot{q_i}+\delta\dot{q}_i)-L(q_i,\dot{q_i}+\delta\dot{q}_i)+L(q_i,\dot{q_i}+\delta\dot{q}_i)-L(q_i,\dot{q_i})]
$$
なんか無から作り出さないとなので発想しづらいですよね~第2項,第3項がその項です.そしてもう一度無から作り出します.分母分子に同じものをかけてもよかったので,
$$
\delta I=\int_{t_1}^{t_2}dt[\frac{L(q_i+\delta q_i,\dot{q_i}+\delta\dot{q}_i)-L(q_i,\dot{q_i}+\delta\dot{q}_i)}{\delta q_i}\delta q_i+\frac{L(q_i,\dot{q_i}+\delta\dot{q}_i)-L(q_i,\dot{q_i})}{\delta \dot{q}_i}\delta \dot{q}_i]
$$
よく見てくださいね.分数のところに注目すると微分の定義そのものですよね.変数が一つしか変わらないようにしたので,正しくは偏微分ですが.
あと,実はこのiっていうのが1,2,3,…,3Nとそれぞれに偏微分してるのでそれぞれ3N個偏微分の足し算の形になります.ということでΣを使って,
$$
\delta I=\int_{t_1}^{t_2}dt\sum^{3N}_{i=1}[\frac{\partial L}{\partial q_i}\delta q_i+\frac{\partial L}{\partial \dot{q}_i}\delta \dot{q}_i]
$$
ずいぶんと計算した気がしますね.あともうちょっとです...!
さて,一番右にある,
$$
\delta \dot{q}_i
$$
は次のように計算できます.
$$
\delta \dot{q}_i=\delta \frac{d}{dt}q_i=\frac{d}{dt}\delta q_i
$$
するとδIの式の右辺第二項は
$$
\frac{\partial L}{\partial \dot{q}_i}\delta \dot{q}_i \\=\frac{\partial L}{\partial \dot{q}_i}\frac{d}{dt}(\delta q_i )\\=\frac{d}{dt}(\frac{\partial L}{\partial \dot{q}_i}\delta q_i)-\delta q_i\frac{d}{dt}(\frac{\partial L}{\partial \dot{q}_i})
$$
2行目から3行目は積の微分法ですね.d/dtが作用してるところに括弧を付けてるのでよくにらめっこするとわかるかと思います.
この式をδIの式に適用しましょう!適用した式がこちら,
$$
\delta I=\int_{t_1}^{t_2}dt\sum^{3N}_{i=1}[\frac{\partial L}{\partial q_i}\delta q_i+\frac{d}{dt}(\frac{\partial L}{\partial \dot{q}_i}\delta q_i)-\delta q_i\frac{d}{dt}(\frac{\partial L}{\partial \dot{q}_i})]
$$
ずいぶんと複雑になってきましたが第1項,第3項はδqiで括って第2項は積分してしまいます.
$$
\delta I=\int_{t_1}^{t_2}dt\sum^{3N}_{i=1}\delta q_i[\frac{\partial L}{\partial q_i}-\frac{d}{dt}(\frac{\partial L}{\partial \dot{q}_i})]+\sum^{3N}_{i=1}\int_{t_1}^{t_2}d(\frac{\partial L}{\partial \dot{q}_i}\delta q_i)\\=\int_{t_1}^{t_2}dt\sum^{3N}_{i=1}\delta q_i[\frac{\partial L}{\partial q_i}-\frac{d}{dt}(\frac{\partial L}{\partial \dot{q}_i})]+\sum^{3N}_{i=1}[\frac{\partial L}{\partial \dot{q}_i}\delta q_i]^{t_2}_{t_1}
$$
予備知識のところで少し触れましたが,δq(t)はtの関数で積分範囲の始点と終点であるt1,t2においてこの変分は0です.よって一番右の項は0になります.
$$
\delta I=\int_{t_1}^{t_2}dt\sum^{3N}_{i=1}\delta q_i[\frac{\partial L}{\partial q_i}-\frac{d}{dt}(\frac{\partial L}{\partial \dot{q}_i})]
$$
このδIが0になるんでした.しかし,δqは任意の値をとります.だから,[ ]の中身が0になるしかありません.よって,
$$
\frac{\partial L}{\partial q_i}-\frac{d}{dt}(\frac{\partial L}{\partial \dot{q}_i})=0
$$
これが,オイラーラグランジュ方程式と呼ばれるものです.
無事導けましたね...!
まとめ
最初は慣れないかと思いますが重要なテクニックがちりばめられているので練習がてらいかがでしょうか?だいたい学部レベルぐらいでしょうかね.
δI=0とオイラーラグランジュ方程式は等価なんですね.仮に方程式の詳細を忘れてしまっても今の過程をたどれば導けるので安心ですね(*^-^*)
あとがき
いかがだったでしょうか?私自身は暗算でできるほど脳のワーキングメモリがありませんので(笑)こんなだったなと思い出しながらなぞるくらいですね~それでも何度もやってるとすらすらできるようになるものです.
ではまた次の記事でお会いしましょう~☆⌒(*^-゜)v
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