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気持ちが伝わる文章を書くコツ

目上の方から有難い連絡を受けた時、ありがたすぎて適切な文面が何も思い浮かばず、「この表現では気持ちが伝わらない、どうすれば…」と思ったことが何度もある。
対等な関係の人間にはストレートに感謝を伝えることができるのに、である。

経験が浅かった大学低学年の頃は、表現に悩み続けた挙句どうしたらよいかわからず返信せずに放置し、そのことを忘れてしまうまで2年近く悩み自己嫌悪し続ける、などということをしていた(最悪)。
しかしそんな私も、時を経るともに「とりあえずどんなにショボくても送らないよりまし!0より1!」という基本指針を獲得し、(う〜〜私の気持ちはこんなもんじゃないのに!くそう!もっと適切な言葉を思いつけば!)と、心の中で血の涙を流しながら定型文のようなお礼メールを送ることができるようになった。
まあ、成長である。

さて、最近、とてもありがたい連絡をいただく機会があった。
思いもよらぬ知らせだったので、あまりの衝撃に反射的にTwitterを開き、ただただ畏れ多さに打ち震える己の心情を書き殴って、推敲も何もせず投稿した。息をするようなムーブメントであった。
その後、その連絡には無難に返信したのだが、その返信にさらに温かいお返事が届いてしまった。

そのお返事に返信しようとして思ったのは、例の如く「なんてありがたいんだ、この感謝をメールに……あれ書けない、なにも思い浮かばない…私は、なにも感じていない………?」である。
しかしそんなわけはない、Twitterには先の連絡の衝撃に震え先方の慈悲深さに慄き、ありがたさにひれ伏さんばかりの私の姿が記録されていた。

そこで気づいたのだ。
感謝の気持ちは適切に洗練された形で心に湧き上がるわけではない。
書けないのは、はじめから美しい言葉を出力しようとしているからではないかと。

そうと気づけば早速、メールの下書きにTwitterのごとく生の感謝を書き綴ってみた。
すると、「ひえーーーーっっ」だの「ご…五体投地…」だの「ただでさえめっちゃお世話になったのに!?こんなことまで!?心が広すぎる いいんですか!?!?!?」だの、偉い人に直接伝えるには不適切な表現がまあするすると出ること。
しかし、そうなれば、あとはなるべく適切な形に推敲すればよいだけ。
文章から背後にある状況と意図を汲み取り、一番伝えたいことを抽出し、求められる適切な形に組み直すことは私が最も得意としていることだ。
ましてや自分の書いた文章、背景なんて百も承知。ちょちょいのちょいである。

ゼロから完璧を求めるとハードルが上がる。
はじめの一歩はアホみたいなものでいい。完成品も及第点でいい。だいたい伝わればいいのだ。

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