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2022年 国内ミステリー MY BEST6

ミステリーに年末がやってきた

年末が近づいてくると、ミステリー界隈がソワソワし始めます。

「今年の一位はどの作品なんだ?」
「あの作品はランキングに入って欲しいなぁ」
「海外ミステリーはこの作品一択だな」

そう、間もなく年間ベストミステリーが発表される時期なんです。

私もミステリーが大好きで、今年もたくさんのミステリー作品を読んできました。もし私がランキング投票するなら、どの作品にするだろうと考えてMY BEST6を選出しました。

年間ミステリーランキングとは

「このミステリーがすごい!」をはじめ、出版各社や団体が11月下旬から12月上旬にかけて発売します。
主にミステリー評論家、書店員、ミステリーサークルなど、プロの読者たちによる投票形式によって決められるランキングです。

MY BEST選出の基準

MY BEST6 発表

1位 同志少女よ、敵を撃て/逢坂冬馬

第二次大戦中の独ソ戦に挑む女性狙撃手たちのストーリー。

読了したのは2021年の年末頃で、その時点ではロシアによるウクライナ侵攻は行われていませんでした。まだ終わる兆しが見えません。

戦争が人々にもたらす不幸が強烈に描かれ、善悪や道理といった価値観が崩れ去る恐怖が描かれています。

2位 名探偵のいけにえ:人民教会殺人事件/白井智之

新興宗教団体のキャンプ地をベースに繰り広げられる殺戮劇。

ミステリーファンを泣いて喜ばせる多重解決の傑作です。ロジカルな解法が次々と展開され、一体いつ真相にたどり着くんだと驚きの連続です。

物語の作り込み、登場人物の人柄や関係性も秀逸で、作者の本気度が味わえる、今年を代表する本格ミステリーです。

3位 invert II 覗き窓の死角/相沢沙呼

可愛くて憎たらしい!城塚翡翠シリーズの最新作。

古畑任三郎、湯川教授、杉下右京など数々の名探偵と同様に、これからも長く愛される探偵キャラになって欲しいです。

本三作目は前作から一皮むけた作品となっています。大人に成長していく翡翠に胸を締め付けられる最高の一冊です。

4位 プリンシパル/長浦京

第二次大戦直後の日本復興時代。ヤクザ、政治家、GHQなど、悪党の繁栄と暗躍が描かれる社会派ミステリー。

主人公であるヤクザの女性組長、綾女のキャラクターがかっこよすぎる。

絶世の美女にも関わらず、どんな屈強な男よりもヤクザらしいヤクザ。極道の世界が大嫌いにも関わらず、誰よりも業が深く、任侠の道筋をきっちり通す、まさに暴力界のプリンシパル。

敗戦直後の日本社会の裏側も垣間見える、社会派小説です。

5位 俺ではない炎上/浅倉秋成

身に覚えのないSNS炎上に巻き込まれるサスペンス&社会派ミステリー。

現代のネット社会の問題を背景に、はみ出し者が世間から追われる恐怖を堪能できます。

ミスを犯した人に対して、大して怒ってもいない癖に正義感たっぷりに袋叩きにする。自分のことは棚に上げ、他人には清廉潔白であること強要する。

自身を言動を振り返らずにはいられない作品でした。

6位 方舟/夕木春央

地下建築で閉じ込められた中で発生した殺人事件。普段ミステリーを読まない人たちを夢中にさせた本格ミステリー。

SNSでのバズり方が凄まじく、9月10月頃のタイムラインで本作を見なかった日はありません。個人的には今年の1位は本作と予想しています。

読書はつまるところ趣味のひとつ、エンターテイメントでしかない。「この本、めっちゃ面白い!」と言わせたら正義で、こと面白さにかけては本作が一等賞と言えるでしょう。

2022年の作品を振り返って

今年は20代の若手先生たちの作品群が凄まじかった。扱うテーマの切り口、圧倒的なキャラクター描写、謎解きの重厚度、終盤のどんでん返しなど、品質が高すぎでびっくりです。

テレビドラマや映画などでもミステリーが多く扱われ、来年も元気いっぱいなミステリー界隈になって欲しいですね。

もちろん今回ご紹介した6冊以外でも、面白かったミステリー作品はたくさんありました。各紙の年間ベストミステリーで復習しておきましょう。

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