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【映画感想】『パラサイト 半地下の家族』

韓国映画は初めて観たのですが、とにかく衝撃が凄かったので、文章にしました。

少しネタバレが入るので、まだご覧になっていない方はお気を付け下さい。

映画では韓国社会の富と貧困格差を象徴的に表すと同時に、お金持ちの愚かさや、富裕層の何気ない仕草から受ける屈辱などが象徴的に表されていました。

また、この映画では予想だにしなかった展開が待ち受けており、その展開を目にして初めて『半地下の家族』というタイトルの意味が分かります。

映画で印象に残ったのが、『雨』『体臭』『虫』。

まず『雨』ですが、映画の中で豪雨に見舞われるシーンがあります。

高台に住むお金持ちにはなんて事ない、キャンプの予定が潰れたくらい。それも、後日快晴の日にパーティーで埋め合わせをすれば住む事。

一方で、半地下に住む貧困層の人々にとっては、豪雨によって家が浸水し、生活が潰されてしまいます。

主人公一家が豪邸を脱出して、豪雨の中家に帰るシーンで、下へ下へと下っていく様子が、夢から現実へ帰っていく、下のヒエラルキーに戻っていくのを象徴しているようでした。

この対比が映画の中で見事になされており、とても象徴的だと思いました。

そして、『体臭』。地下に住む者独特の体臭が、最後の事件を引き起こします。

お金持ちが貧困層に対して無意識のうちに「鼻をつまむ」動作をしてしまう。この積み重ねがラストの惨劇を招きます。

『虫』はここでは便所虫の事で、最後の虫の使われ方がとても印象的で、死んでも尚臭いは取れないのだなとはっと刺せられました。

韓国は日本以上に格差社会で、学歴社会と聞いていましたが、この映画を観て、それが感覚的にわかるようになりました。

パラサイトとは、就職先という意味でもあり、寄生虫という意味でもあります。

日本でも、就職も結婚もしないで実家に暮らす若者の事を「パラサイトシングル」と言いますよね。

最初は、主人公一家のパラサイト(就職先)がお金持ち一家のお家と言う意味だと思っていました。

しかしながら映画が進むうちに、お金持ちも家事労働を貧困層にパラサイト(寄生)しており、地下に住む別の家族もまた豪邸に寄生中のように住んでいる事がわかり、タイトルの深さに衝撃を受けました。

お金持ちにとっての半地下は「非常用のシェルター」で、貧困層にとっては「生活圏」なのです。

この上下の使い方が、韓国社会のヒエラルキーを表していると思いました。

絵面で印象的だったのは、家が浸水してトイレも水浸しになっている中、長女がトイレの蓋の上に座ってタバコを吸うシーンです。タバコの匂いで、豪雨による悪臭を消したかったのか。もう自分の生活圏の崩壊を諦めたのか。

自分の中で整理をして、このnoteにも加筆していこうと思います。

これを皮切りに韓国映画どんどん観ていきたい。

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