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レジオネラ菌と自殺

突然ですが、過日、話題になったニュースを軽くおさらい。

老舗旅館が浴槽のお湯を年に2回しか入れかえず基準値の3700倍の菌が検出された問題で、28日、山田真社長が会見し、謝罪した。

日テレNEWSのYouTubeチャンネルより、一部抜粋

私、レジャープールでアルバイトをしていたことがあってさ。大したプールでもないくせに、そこそこ高い値段を取ってやがんの。

それはさておき、私がくだんのプールを辞めて何年後だったかな、保健所の抜き打ち検査でレジオネラ菌が検出されて数ヶ月の営業停止になっちゃったんだよね。新聞で知ったんだ。
営業停止になってから一年後、何と何と、またもや保健所の抜き打ち検査でレジオネラ菌が検出されて数ヶ月の営業停止になっちゃったんだ。こりゃやらかしたね。うん、やらかした。
 
さて、その頃のプールの責任者は、私がバイトしていた頃の社員さん。私より1コ年下だったけど、プール内のことは全て彼に任されてた。

あるとき、彼が近所にあるアパートに引っ越して来たんだ。社員A子ちゃんと同棲を始めたんだね。同棲・・・響きが若いねえ。

引っ越してきたばかりの頃の彼とは笑顔で挨拶を交わしていたのよ。ところが一回目の営業停止あたりから挨拶が返ってこない。どころか、睨みつけてくるようになったわけだ。何なら私の車にツバをかけてきた・・・っていうのは私の妄想ということにしておくよ、彼の名誉のためにもね。

おそらくだけど、彼は二年連続レジオネラ菌が検出されたことに責任を感じていたんだろうね。

あの日、夜十二時前だったかな?
外でギャーギャー騒いでる女の声が聞こえたの。何事かと見に行ってみると、A子ちゃんが泣き叫んでるんだわ、アパートの玄関外で。
私は顔見知りだってことで、とりあえず落ち着かせようとしたけど、ムリ。そもそも何があったのよ、と私はアパートを覗いた。すると彼の足が見えたんだ。足は宙に浮いていたよ。あ、空中浮遊じゃないよ。
そりゃA子ちゃんは泣き叫ぶよ。アパートの部屋で彼が首を吊ってたんだから。

レジオネラ菌検出からの営業停止、二年連続二回目で責任を感じてたんだろうね。

アパートには彼らの上司も来ていてね。A子ちゃんが、その上司を頼って彼の心の内を聞こうとしていた矢先だったらしい。その上司が私に問わず語りにつぶやいたんだ。あ、つぶやくってツイートじゃないよ。声に出したんだよ。曰く、

「仕事に悩んでいた」

たかが仕事ごときで悩むなよ。つらけりゃ辞めろよ。逃げろよ。
逃げたらアンタの評価は下がるけど、人間としてどうかと思われるけど、クズ野郎だけど、そんなことどうでもいい。二度と会わないような奴らに何を言われようとどうでもいい。
え? プライドが傷つく?

FUCK PRIDE!

これは映画『パルプフィクション』の名言『プライドは傷つくだけで邪魔な代物』から抜粋したもの。

アパートの外にはしばらく救急車が止まっていた。もう、病院に急ぐ必要はないから。

その後、「大島てる」のサイトに事故物件として掲載されたけど、ここまで詳細な内容は書かれてないのは当然として、少し間違えている箇所があるのが気になった。気になったというか、事故物件というエンタメとして消費されていることに怒りを覚えた。だから少しだけ語ってもいいかなと思って、こうして書いてる。
メディアを賑わしている猥雑な記事ってこうやって間違えていくんだろうなって思った。

後味の悪い結末は勘弁だよ、ほんと。


たかが仕事。それだけ。