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こぶ取り爺さんの矛盾

落語立川流の立川志の輔氏には『こぶ取り爺さん』という新作落語がある。
しかし、私は立川志の輔氏よりも先んだってこぶ取り爺さんの矛盾に気づいていた。と言ったら、「うそだろ」「よく言うよ」「バカ言え」という文句が聞こえてきそうだ。けれど、混じりっけなしの真実。それも、幼少期に気づいていた。

私の記憶が定かならば、立川志の輔氏の『こぶ取り爺さん』は「鬼ってやっぱりバカなんだ」という終わり方をしてる。そう、こぶ取り爺さんに登場する鬼はすこぶるバカなのだ。
いったいどれほどバカか、ここであらすじを整理する。

ほっぺにコブを持つある爺さんが、無理やり鬼たちの宴会に参加させられます。そしたら大盛り上がり。鬼はたちは「明日も来い」と質草としてお爺さんのほっぺにあるコブを奪います。鬼は、お爺さんにとってコブが大切な物だと思ったからこそ、担保としてコブを取ったわけです。お爺さんにとっては万々歳。これで万事終了です。
さて、それを見た隣家の意地悪お爺さん。これまたほっぺにコブがあります。さっそく鬼の宴会に参加しますが、踊りも歌もてんでダメ。というわけで、鬼たちは怒って隣の爺さんのほっぺにコブを付けます。
隣のお爺さんはコブが2つになってしまいましたとさ。
ちゃんちゃん。

私の要約です

実におかしい。
質草に預かった大切な物を、おいそれと隣家の爺さんに渡してしまうのか。明らかに矛盾している。もっと敷衍すると、悪人が金を取って、その金を赤の他人に渡すはずがない。

これをおもしろおかしく物語にしていれば、私も今頃は一般社団法人全日本落語作家連盟に名を連ねていたのかもしれない。タッチの差で立川志の輔氏に敗れた。
ただ、一般社団法人全日本落語作家連盟という団体があればの話だが。

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