【2022J2リーグ】山形vs岡山【第8節再開試合】

モンテディオ山形vsファジアーノ岡山

2022.08.31
実況:清水春樹
解説:越智隼人
主審:佐藤隆治
DAZN(Live)+DAZN(見逃し配信)

【まえがき】

遡る事、約5ヶ月前。4月3日14時に行われたアウェイ山形戦。前半11分、GK後藤がゴール方向へのバックパスを、ペナルティエリア内で手を使って処理してしまう。通常、足でのバックパスはGKはエリア内であっても手を使って処理をする事は許されていないので、エリア内での間接FKで試合が再開される事になる。
しかし、ここで問題が起こる。この試合を担当していた審判はGK後藤に対してレッドカードを提示。これが後に審判のルール適応ミスと判明する。この時点で他の審判の誰かがミスに気がついていれば良かったのだが、退場の判定まま試合は進行。
結局最後まで誰の指摘も入らぬまま試合は90分間行われ、木村が終了間際にゴールを決めて1-0で岡山の勝利。…となるはずだった。
Jリーグは試合後に協議を行い、11分以降は試合として成立していないという結論に。前代未聞の、11分の間接FKからの再開試合が決定した
これについては、岡山のサポーターとして「心情的に」納得できない部分はある。勝ち点3を剥奪されたという気持ちになるのは当然の心理。山形までもう一度行って試合をしなければならず、ましてや夏場に連戦を組み込まれる日程的な負担、サポーターももう一度自腹で行かないといけないなど。岡山としてはすべての負担を請け負った形に結果的になっている。

そして何より、チェアマン含むJリーグの対応がはっきり言って酷かった
1000000歩譲って再開試合は仕方がないのだろう。ルール適応ミスはただの誤審とは違うもの。心情的には全く納得できないが論理的には納得しているし、そこは受け入れている。
なぜ、チェアマンが表に出てきて説明をしなかったのか。クラブハウスに行ってちょっと謝って終わりでよかったのか。笑わせるなと。岡山、山形の各スタジアムへ最初に足を運び、サポーターに事の経緯を説明する場を設けて、再開試合への理解を得るための行動をするべきではなかったのか。他のスタジアムでご飯を食べたり、ヘラヘラと踊ったりしている暇があったのならこちらを優先して欲しかった。この対応には本当に心から失望した。

熱くなって余計な事まで殴り書いてしまい大変申し訳ない。
最後にひとつ付け加えておくと、山形には非がないということ。ルール上では退場させられなくてもいいのに、残りの79分間を10人で試合をしなければならないのはキツかったと思う。その点では山形も被害者だと思っている。

と、このような状況から始まった再開試合、気持ちが入らない訳がない。様々な感情がある中で試合のキックオフを待つ事になる。

【スタメン】

モンテディオ山形
監督:佐藤尽(代行)
4213

GK大友(2000)
DF半田陸(2002)、山﨑、野田、坂本(2003)
DMF國分、小西
AMF河合
FW樺山(2002)、デラトーレ、チアゴアウベス

ファジアーノ岡山
541(3421)

GK堀田
DF河野、柳、ヨルディバイス、濱田、佐野
MFムーク、輪笠、河井、ハンイグォン
FWデューク

【試合の感想】

お互いにコロナ陽性者が多数出ておりベストメンバーが組めない中での再開試合になってしまった。
岡山は河野が戻って来たのが心強い。ここ数試合は3バックで前線からのプレスと、撤退時の5バックをうまく使い分けている印象。
一方山形は大友、坂本と若い選手をレギュラーで抜擢、どちらも初出場らしい。山田康太が不在だが、前三枚の爆発力は脅威である。

11分。山形ボックス内の間接FKから試合再開。岡山の選手は円陣ダッシュで散らばらずに、堀田以外の全員が一斉に山形のゴール前へ。普段では絶対見られない光景。二度のフェイントで、山形の選手をゴールラインに釘付けにする。あわよくばカードを出させようとするしたたかさ。三度目で河野が後ろへ戻し、河井がしっかり落とし、バイスがゴール右上に質の高いボールを蹴りしっかり決めきった。岡山先制
先制した直後の12分、山形にチャンスシーン。ハーフライン手前でチアゴかトラップから反転、右サイドの樺山へパス。樺山はダイレクトで逆サイドのデラトーレへ低く速いクロスを入れ、通す。デラトーレもダイレクトでシュートをニアに放つが枠外。樺山がバイス柳が戻りきる前にCBとGKの間に低く速いクロスを入れる。
15分、山形が自陣からうまく繋ぐ。坂本からの斜めのパスを河合が受け(柳を釣り出す。)、サイドのチアゴに預けて裏へ走り出す。チアゴからデラトーレへ鋭いパス、デラトーレがワントラップして裏へ走り柳の前に出た河合へ。河合が右足で逆サイドのネットを揺らしたが、オフサイドの判定。
22分、岡山にもチャンスが。半田のクリアボールが河井に当たり高い位置でボールカット、ハンへ繋ぎニアゾーンに侵入。左足を振り抜きニア上を狙うがポストを直撃する。
27分、岡山が決定機。右サイドで収めたデュークが突破から中のハンへ低く鋭いクロス。後ろ向きのハンは右足でトラップしたあと、鋭い切り返しで前を向き、左足に持ち変えて左の佐野へ繋ぐ。佐野の左足のシュートはゴールライン上にいた野田が跳ね返す。跳ね返りをムークが鋭いシュートを狙うがまたもポスト直撃。分厚い攻撃で山形の守備陣を脅かす岡山。
30分、山形の小西が魅せるプレー。クリアボールを左足で巧みにコントロール。ハンと佐野を完全に翻弄。約27mくらいの位置から左足を振り抜きミドルシュート。ゴール左上隅へ吸い込まれるように飛んで行ったが堀田がジャンピングセーブ。小西のシュートも見事、堀田も見事。

前半再開直後に岡山が先制したことで優位にたったかに見えたが、得点後すぐに山形がチャンスシーンを立て続けに演出。岡山も負けじと、ポストを直撃するシーンを二度作る。小西のミドルシュートもシビれた。お互いチャンスシーンがあった中でゴールは生まれず、後半へ進んだ。

後半の入りから山形が攻勢に出る。右サイドでは、濱田の裏のスペースに二度ほど抜け出し(45分、48分)、バイス柳が戻りきる前に中央のデラトーレの足元に合わせる速いクロスを送る。前半にも樺山がやっていた狙いのあるプレー。左サイドでは坂本とチアゴの関係性で繋ぎ、樺山や國分など3~4人が絡んで崩すシーン(47分、54分あたり)が目立った。
そして、58分と62分に立て続けに山形が決定機を作る。
58分は左サイドで坂本がムークを華麗に交わし、國分へと繋ぐ。國分からの斜めのパスを中央で受けた河合がダイレクトでCBの裏に抜けたデラトーレへスルーパス。完全に抜け出してフリーだったがシュートがミートせず。
62分はカウンターの形でデラトーレからチアゴにボールが入りバイスと1vs1。縦を見せながら内側へ切り返してバイスを交わし、左足を振り抜くがボールは僅かにポストの左側へ。
ほぼ山形のペースで推移していたような印象だが、最後の部分はやらせていない岡山。先日の群馬戦もそうだったが54のブロックを作ればそう簡単にはやられない空気が出ている。先制したらしっかり守ってセットプレーやカウンターで突き放す。勝利の方程式が成り立ちつつある。
90+1分に岡山トドメを刺す。吉田のバックパスがズレて大友に合わずに流れる。ハンイグォンがバックパスを狙っていて、流れたボールに先に反応。左足でゴールに突き刺した。
終わってみれば、2-0で岡山が勝利
イオンでPVを行うなどこの試合にかける意気込みは強かった。その重要な試合で勝ちきれた事は、クラブとしても勢いに乗って残り9試合に臨めるだろう。

【メモ】

16:20 岡山
河井が河合に倒され河合にイエローカード。河井は大丈夫。
19:41 岡山
國分からサイドへのパスをいい出足でカットする河野。持ち味を発揮。
20:35 岡山
ゴールキックからのビルドアップ。大友から中央の小西へつける。小西から大友へのバックパスに対し、デュークが激しく寄せて岡山のCKにさせる。
26:13 山形
ムークからハンイグォンへのスルーパスに大友が飛び出して対応、素晴らしい判断。
35:21 岡山
半田のプレスを左足のトラップで上手く交わし入れ替る佐野。これをやってのける18歳が恐ろしい。
38:17 山形
中へ運ぶドリブルから、裏の河合へのパスを送る坂本。
40:43 山形
ムークに寄せられても動じずに剥がせる18歳、坂本。しっかり縦のチアゴへとつける。
44:02 山形
柳がムークへの縦パスを入れたところを山﨑がカット、デラトーレへと繋がる。デラトーレからチアゴへスルーパス。柳の裏があいていた。バイスがシュートコースを限定しながら寄せるが、切り返して左足でクロス。中の樺山には合わず。

45:21 山形
後半開始早々チャンス。佐野が半田にプレス、濱田がスライドして樺山を見る。半田のヘディングが濱田の裏のスペースへ。樺山のスピードが活きる展開に。樺山が早めに中のデラトーレへ。柳が戻って対応。
46:29 山形
左サイドでチアゴにボールが入る。逆サイドに流れてきた樺山とワンツーで内側のレーンへ。続け様にデラトーレとワンツーでボックス内へ侵入。河野がなんとか足を出してCKに逃れる。
47:46 山形
國分から濱田の裏へのパスに河合が抜け出し、ダイレクトで速いボールを中のデラトーレの足元へ。僅かに合わず。再三この形を狙ってきている。佐野が前にプレスにいき、濱田がスライドした時の裏側。
49:22 山形
樺山が中、河合が右サイド。
53:33 山形
左サイドで坂本が高い位置を取る、ライン際でしっかり國分やチアゴへボールを繋ぐ。そして雨がかなり強くなっている。
55:19 岡山
左サイドでキープするハン。あれを収めて時間を作ってくれるのは助かる。
57:20 山形
坂本がボールを浮かせてムークの寄せをかわす。テクニックも見せる坂本、國分へ繋ぐ。國分の斜めのパスが中央河合へ入りダイレクトでCBの裏へ、デラトーレが動き出していて合わせるだけだったがミート出来ず。
61:25 山形
デラトーレから右のチアゴへ入り決定機。チアゴが運び、バイスを交わし左足のシュート。僅かにポストの左側。岡山が久しぶりに山形陣内深い位置でスローインだったのでラインが高くなっていた。
65:00 山形
ここまでルーキーらしかぬ動きを魅せていた坂本が足をつる。
デラトーレ→ディサロ
坂本→藤田
樺山→吉田(2000)
吉田は山梨学院大在学中で来季の内定選手らしい。
69:57 岡山
小西、藤田、吉田とボールを繋ぎ裏へ抜け出した小西に吉田が出す。ムークがしっかりついていき対応。
73:50 山形
吉田が仕掛けてムークを交わしてクロスまで。
76:14 岡山
デューク→齊藤
ムーク→成瀬
流れの中で河野が左SBへ。
79:06 山形
河合→木戸
82:07 岡山
河井が足をつる。
河井→宮崎智
84:30 山形
33mゴール正面の位置からディサロのFK。壁に当たりCK。
85:00 山形
小西のCKをニアでフリック。バイスがしっかりクリア。
86:43 山形
チアゴアウベス→藤原
藤原はサガン鳥栖からのローンプレイヤー。「ふじはら」らしい。
87:50 山形
左サイドで木戸が抜け出し、中のディサロへ速い足元へのボール。
90:00 山形
CK。ATは4分。
90:59 岡山
吉田の何気ないバックパスが大友に合わない。狙っていたハンイグォンが左足を振り抜きゴールに突き刺す。
92:01 岡山
ハン→木村
河野→白井
93:36 山形
木戸が裏に抜け出しマイナスのクロスに藤田が合わせる。GK正面。
94:01 試合終了

【試合結果】

モンテディオ山形 vs ファジアーノ岡山
11分 ヨルディバイス(岡山)
90+1分 ハンイグォン(岡山)

個人的に気になった選手は、モンテディオ山形の坂本稀吏也(きりや)。2003年9月生まれの18歳。左SBでプロ初出場初スタメン。登録ポジションはCBだが、C大阪U18時代はFWだった模様。高卒ルーキーとは思えない程の落ち着きぶりで、左WGに入ったチアゴとの関係性もよかった。積極的にパス回しに参加して左サイドを崩す際の起点になっていた印象。11-65分で足をつってしまい無念の途中交代となってしまったが、山形としてはポジティブな要素だったのではないか。

サッカー見たぞ記録
(*敬称略)
(**あくまでも個人の感想です)

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