ミックスってどうやったらいいの③

現在、音源ごとのパン問題が解決したうえで
マスタートラックに仮の音圧上げプラグイン、
個々のトラックにはコンプとEQがささっている状態です。

次に考えるべきは、楽器の配置。
すなわちパンニング作業の第二ステージですね、

何か特別なこだわりがない限り、
各種楽器の配置は以下が基本となります。
※よく使われる楽器以外は役割で表記。

◇MID (中央寄り)

ベース
バスドラム・スネア
アンサンブル・コーラス・PAD系
メインメロディ(ユニゾン・ハモ)

◇SIDE (左右寄り)

タム
対旋律・オブリガート
和音(コードトーン)補強

◇ケースバイケース

ハイハット・ライド
シンバル
その他のパーカッション
リバース・ライザーやFX(効果音)
ドローン(持続音)
集結和音(ブロックコード/アコード)
分散和音(アルペジオ)

上から順番にいきますと
ベースはオーケストラのコンバスとかじゃなければ
センター固定で大丈夫です。
バスドラムもベースと同じ位置で固定。
スネアはド真ん中から少しずらしてもいいですが
目安としてL20~R20内に収めないと変なミックスになります。

アンサンブル・コーラス・PAD系は
厳密にいうと音源自体が中央を主軸として
L100~R100までの隙間を埋めるようWidthを含めて
調整されている場合がほとんどなので、
あえてずらすメリットはありません。
音源側が想定している響きが崩れてしまいますからね。

タムは複数の音程を叩いて
リズムにアクセントを付与する楽器ですが、
全部同じパンだと、とりわけフィルが正しく機能せず
ドラムパートの表現力がガタ落ちします。
音源の初期設定に従っても問題ないことが多いですが
自分で微調整したいときは
L60~R60くらいのレンジで振りましょう。

対旋律・オブリガートは
メロディを引き立てるために不可欠なエッセンスです。
引き立て役なので、マスキングを避けなくてはなりません。
よってL40~R40くらいで配置すると良い結果が得られやすいですね。
※ただし編曲技法によっては先にL80・R80を書く場合があります。
 詳しくはアレンジの話⑤以降をお読みください。
 なおこの場合、L40~R40と合わせると対旋律・オブリガートだけで
 4パートほど作るかたちになります。

和音の補強は、コードをなぞる役割のことです。
対旋律・オブリガートと比べると動きは地味で
二分音符や全音符が相対的に多くなる傾向にあります。
すでに鳴っているアンサンブル・コーラス・PAD系の和音を
L80~R80くらいで1音~2音のみでユニゾンさせるイメージですね。

次にケースバイケースのハイハット・ライド
その他のパーカッションについてですが、
これらは相互作用が働くため、
全体でひとつの生き物(リズム)になります。
どれかが中央で鳴っていたら、他のどれかが
左と右でも鳴っていなくてはなりません。
なおシンバルは中央だけでも“キメ”の役割は果たせますが
L60~R60くらいで3パターンくらいを使い分けるほうがクール。

リバース・ライザーやFX(効果音)は
音の性質上、パンニングに明確な正解はありません。
適宜 固定するなり、オートメーションで動かすなりして
楽曲中の節目に色を与えてください。

ドローン(持続音)はPAD的に使うなら中央ですが
金物成分が入っている音源などの場合は
上記の生き物(リズム)のうち余白があるところ、
補強すべきところに配置するのがベター。

そして最後に、集結および分散和音。
これは要するにピアノやギターのお話です。

殊にピアノは(ソロパート以外において)
どちらの和音も中央で鳴らすのが定石ですが
ギターに関しては逆に、
左と右でそれぞれ鳴らすのが定石といえます。
これらは他のパートとの兼ね合いを考慮して
定石に則るか、逸脱するかを選択しましょう。

さて、上記の基本を指標に
すべての楽器を配置し終えましたら、
もうそれなりのサウンドが出来ていると思います。
次の記事では、この“それなり”を
“良い”に変えてゆく2MIXのTIPSを紹介します。

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