見出し画像

観たアニメ2022冬

年明けからの3ヶ月は、いつだってあっという間。
桜は満開ですが、暖かさと花冷えに挟まれててんやわんやです。それでも、今まで知らなかった街で桜を見上げると、また少しだけ街に馴染めたような気になります。

冬クール、完走したアニメは10本でした。代わりに、連ドラや大河ドラマを数本追っていたので少ない印象は特になく。連ドラは、完走したものと飛ばし飛ばし観たものを合わせて4本くらいと決して多くはありませんが、充実感がありました。

まずは大河と合わせて楽しんだ平家物語から。

平家物語

5年前から数シーズン、冬場の関門海峡エリアで夜景や名所をバスツアーで案内する仕事をしていたことがあります。
関門海峡を挟む福岡県北九州市門司区と山口県下関市には、平家や壇ノ浦の戦いにまつわる史跡がたくさんあるんです。壇ノ浦の古戦場をはじめ、平知盛のお墓とか、入水した安徳天皇を祀った神社とか。
中学高校では日本史を避け、古文の平家物語も冒頭しか記憶にないほど歴史全般に疎い私ですが、この仕事のおかげで源平合戦について少し知ることができました。どの街でも、自分が土地と関わることで、ものごとへの興味の度合いが格段に上がるタイプです。
それでも、当時はあくまで「情報」としてインプットしただけだったのだな…と、今回あらためて平家物語に触れて感じました。

平家一門がどのように栄華を極めて没落したか、周りを取り巻く状況はどうだったのか。細やかな構成やアニメーションのおかげで、登場人物が単なる「お話の中の人」ではなく、歴史を生きた人物として立ちのぼってくるような感覚に包まれました。
1人1人にここまで親近感を持てたのは、本作にオリジナルキャラクター「びわ」がいたおかげだなと思います。
右目で未来を見ることができる…つまり、物語の行く末を知る私たちと視点を重ねる存在でありながら、自分自身の人生を生きて平家と交流するびわ。彼女を通じて、自分も平家の面々と近しく関わっているような気になりました。
平家の運命を間近で見てきたからこそ後世へ語り継ぐ決意をしたびわと、その運命に翻弄され、家族を失っても生き続けた徳子の連帯にグッときた。
そして私自身も、平家の人々やこの時代についてもっと知りたいと思えました。

最後にもう一つだけ、壇ノ浦で入水した説の一方、奄美群島に流れ着いたという説もある平資盛、有盛、行盛の3人について。
3人は奄美大島と加計呂麻島でそれぞれ居を構えたと言われ、ゆかりの集落には有盛神社、行盛神社なども残されています。
今作ではびわと口喧嘩ばかりして、それでも平家の没落を冷静に見つめていた資盛は、加計呂麻島の諸鈍(しょどん)集落・大屯(おおちょん)神社で今も行われる「諸鈍シバヤ」という祭りを始めたと伝えられています。
その資盛が。壇ノ浦で知盛の入水を見つめたあの資盛が、最終回の最後に「祇園精舎の鐘の声」とつぶやく2カットを観て涙が出た。そうか、やっぱりそこにいたんだね、資盛。
ハイビスカスという植物は、江戸時代に島津藩から持ち込まれた外来種らしいので、当時は奄美大島にも植わっていないのでは…なんてことはもはやどうでもいい。彼らの奄美生存説が一瞬でも描かれたことで、私自身の島での経験と史実が地続きになったような気がしました。

平家物語を観たばかりのテンションに任せて、Twitterに下関・奄美の写真を連投しました。よかったらご覧ください。また関門を巡りたいな。

OPの羊文学「光るとき」も泌みた。歌詞とアニメーションが美しくて切ない。


錆食いビスコ

アニメーションそのものを、毎週楽しみにしていた作品です。キャラクターもアクションも見応えがあって、特にアクションが映える動きで見ていてわくわくした。特に「弓矢を放つ→刺さる→ちょっとだけためて→一気にきのこがズドーン!」という一連の流れが好きでした。
前知識もなく原作を読んでいないためストーリーは一生懸命追いかける感じだったけど、9話に驚愕。こんなバディの形もあるのか…いやでもそんな…と思っていた分、最終話でホッとしました。タイトルにも納得。ということはまだ続きそうですね。

主人公2人によるED曲「咆哮」が、なんだか耳から離れなかった。EDは毎回絵なしの黒バックにスタッフロール、という潔さも好きでした。


王様ランキング

こんなに毎回揺さぶられることになるなんて、秋のスタート時には思いもしなかった。
冬の2クール目はボッジだけでなく、周りの登場人物の裏側やこれまでについても深く描かれていて目が離せませんでした。悪役も黒幕もいるけど、そこには悲しい理由があって責めきれない。一応2クールで終わったものの、物語は続いているのでまたアニメ化してほしいなあ。されるだろうなあ。

全話素晴らしいのだけど、ある意味ラスボス戦となる21話「王の剣」は、お話もグッとくる上、カメラアングルも1カット1カットが凝っていてアクションもものすごかった。この話数だけ劇場版かと思うほど、空間の広さや小さな背中の頼もしさ、ラスボスの大きさなどが効果的にグイグイ押し寄せてきます。演出ってすごい。

今期オープニング大賞はVaundy「裸の勇者」でした。ストーリーを全編把握した状態で見るとさらに迫ってくる。


ヴァニタスの手記(カルテ)第2クール

これを書いている時点ではまだ最終話を観ておらず、最後のエピソードがどう着地するのかを楽しみにしているところですが、やっぱりこの作品は画面の美しさが好きだった。こまやかな顔の表情や所作も背景もずっと美しい。色や光の効果も好みでした。

ヴァニタス自身のことも登場人物の過去も、謎を謎としたまま追いかけ続けるタイプの作品。2度くらい観てようやく理解が追いついた回もありますが、それでも少しずつ明らかになってきたので、やっぱり続きが気になります。こうして次のクールを待ってしまう。

今期エンディング大賞は、モノンクルの「salvation」でした。むちゃくちゃにカッコイイ曲です。普段はED映像を貼るところですが、長く聴いてほしいのでコラボ映像を貼りますね。


最遊記RELOADーZEROINー

結局原作を読まないまま、原作準拠の「RELOAD」シリーズを追っている最遊記。今クールは画面が特にリッチで楽しかった。キャラクターの顔の造形がやたらと美しいのです。
原作者・峰倉かずやさんのビジュアルが美麗なのでアニメ化で違いが際立つことが多かったけど、ここにきてこんなリッチな画面にしてくれるとは。
正直アクションのアニメーションはそこまで動かないのですが、キメ顔以外もかっこいいので見応えありました。ビジュアルが格段に良くなってキャストはそのまま、というところにも感動。


そして86のラスト2話

秋アニメでもご紹介したエイティーシックス第2クール。12月ごろ、節目となる戦いの佳境も佳境で「最後の2話は3月に放送します」というテロップに呆然としたのもいい思い出です。3ヶ月待った甲斐がありました。ありがとうございました。
久しぶりにオープニングの「境界線」をアニメ映像と一緒に聴いてワクワクした。やっぱりいい曲ですね。

キャラクターが立っていて、ストーリーもきちんと掴めて、アクションをはじめ画面と音にぐいぐい引き込まれる。アニメーションの魅力が詰まっていて好きな作品でした。
反面、この3ヶ月の間に現実の世界情勢がガラッと変わってしまったことは複雑です。物語として消化するものだと思いながら、どうしても重ねてしまいそうになる。

おわりに

秋アニメでも触れたプラチナエンドは「そんな結末なの!?」と目が点になった。それでも生きていく、という終わり方かと思ったんですよね…。鬼滅の刃 遊郭編はアクションも宇髄さんもド派手で大変に楽しかったです。目にも止まらぬアクション映像のなかに緩急があって、誰が何をしてどこを打撃してどうなったか、という大事なところはしっかり伝わる動き。進撃の巨人は、エレンの動向というより同期同士による殺し合いがつらいけど、それでも最後まで見届けるぞという気持ちです。プラネテスは原作マンガがとても好きでした。再放送を観られてよかった。懐かしくも豪華なキャスト。同じく再放送で観た輪るピングドラムは、13話以降のドライブ感にぐわんぐわん揺さぶられてしまい、再放送を待ちきれず配信で完走しました。ちょくちょく出てくる95ってそういうことか…再構築されたという劇場版も楽しみにしています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?