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鍵盤を駆ける手のひらのうえ_シャドーハウス

楽器の演奏シーンは、実写の映画やドラマでも注目される要素のひとつですね。
今期放送中のアニメ「シャドーハウス」8話のラスト、突然始まったピアノ演奏シーンのクオリティがあまりに素晴らしくて、観終わったあとしばらく呆然としました。

「おかげさま」と呼ばれる、全身すすだらけで表情が見えない真っ黒貴族・シャドー家の人々と、彼らのお世話係兼「顔」として表情を務める生き人形の、少し不思議で不穏なお話です。情報を一切入れずに見始めて、毎回その独特な世界観に引き込まれています。
謎は一向に明らかにならないし、別の作品にもたとえられないし、全体的なトーンは暗めだけど主人公は明るく健気だし。
ここはどこで、彼らは何で、この先どうなるの…と、ゴシックミステリーの空気を楽しみながら追いかけていました。

8話は、シャドーと生き人形のペア数組が「お披露目」試験に臨んでいる真っ最中。試験監督的に立ち回っていたエドワードという人物が、独白しつつおもむろにピアノを弾きはじめます。
鍵盤を走る指1本1本、押された鍵盤の箇所、鳴らされる音、引いたアングルでも体の動きまでぴったり合っている。
しかも和音でポーン…な落ち着いた曲調ではなく、激しめの動きがある曲です。

実際に演奏者が弾いているところをいろんな角度で撮ったんだろうか。モーションキャプチャも使っているのかな。
ざっと測ってみると、ピアノを弾く手元のカットは合計10秒ほど、曲全体のシーンも1分ちょっとという時間でした。映像技術にあかるくない私でも「このシーンを作るために、どれだけの人がどれだけの手間をかけたんだろう…」と考えてしまうほど。思わぬ形で素晴らしい物を浴びると、情報処理が止まるんでしょうか。「え、どういうこと?待ってもう1回」と言いながら何度も観直しました。
しかもこのあとピアノ曲が盛り上がって、そのままこの回だけの特殊なエンディングになだれこみます。8話タイトルは「手のひらの上」で曲名は「私の完璧な世界」…すごい。
この曲に乗せたエンディングの絵で多少ネタバレもしていたらしいのですが、私は直前の演奏に全部持ってかれてしまった。

昔ピアノを少しかじっていたこともあって、鍵盤楽器を弾く手元を見るのが好きなんです。それにしたって衝撃を受けました。「全てはエドワードの手のひらの上!!」と笑う彼の迫力にも。

1話から配信されています。

そうだ、演奏シーンといえば「キャロル&チューズデイ」もよかったですね…毎週のライブシーンが豪華でした。サンダーキャットのベースも聴けます。


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