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回避傾向の根本的な理由

 人間関係のことで傷ついて惨めな思いをしたときに、私は一度可能な限り人との関わりを絶ち一人で努力しようと思った。それで成長して強くなって他人に認められるようになりたかった。しかし他者との関わりを絶っていればやがてほとんどあらゆる面で成長が止まってしまう。これは人の世の原則の一つに違いない。

 まずあまり人との関わることなく生きていれば本来10代や20代に体験するようなことを避けてしまうことになって社交性や情緒の面で成長しなくなるようだ。実際自分には実年齢の割に幼く脆く頼りにならないところがあると思う。それに実は学業・職業などでも、あまり人との関わらないでいればある水準から能力が伸びにくくなる。なぜなら高度で複雑な技能や知識を身につけるためには人と緊密に意思疎通や議論をすることが必要だからだ(このことに関して私にはまた注意力散漫の問題もある)。

 それらのことは少し想像すれば分かるし薄々気付いていたはずなのに、私は自分の態度を改めようとはしなかった。実は「一度可能な限り人との関わりを絶ち一人で努力しよう」とのポリシーが自己欺瞞だったのではないかと思う。不安を感じて困難を避けようとした時点でもう欲しかったものを内心で諦めてしまい、自分でそれらしい目標を掲げてもほぼ毎回心の奥底では「どうせできやしない」としか思えなかった。今まで自分でも認めたくなかったのだけれど、それが真実だったと思う。

 それは短く言えば今できないことはずっとできないままだと信じ込まされた状態だった。反対にこれから自分が成長していけると信じるならば、不安だからこそ手を動かしてできることを徹底的にやろうとするだろう。そこで物事が思い通りにならなくてよくて、むしろ失敗したり恥をかいたりと思い通りにならないことを経験して初めて次のステージに進めると捉えられる。これがいわゆるマインドセットの違いで、今まで避けていたようなことをするために絶対に必要だと考えている。

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