去年のすべてが不幸だったわけではない


もうすでに過去になってしまった2020年。

いろいろなことに変化がもたらされて、政治も社会も大きく変わった年だったなと思う。僕たちの生活もそう。

自分の中で変わった習慣といえば、よく本を読むようになった。

まだ川沿いの桜も残っていて、コから始まる疫病の名前にもなんとなく真新しさが残っていた4月中頃。家にいる時間が多くて、一人暮らしのアパートの中を少し片付けていた。そんなときに棚の奥から1万円分くらいの図書カードを発掘した。おかげでたくさんの本を買えた。目に疲れがたまりやすい体質なこともあって、紙の本の方が電子書籍よりも好きだ。

最近になって、読んだ本をこうして記録しておくようにした。
2個目の本棚がパソコンの中にできた感じで気持ちがいい。

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去年も朝井リョウさんの小説を何冊か読むことができた。人間は明るい部分も暗い部分も持っていて、その暗部を思いやりを持って描けるのが小説だと思うし、朝井リョウさんの小説はその特徴がよく現れていると思う。

登場人物と自分がなんとなく重なる小説は読んでいて、気づきがあるし面白いと思う。登場人物が持つ暗い一面は、それぞれ濃淡はあるけれど、読んでいる自分自身も持っている一面だなあと思うこともある。
表に出すと、あまり良しとされずに受け入れられないことが多いけれど、相手にも自分にもあるであろう暗部を受け止め、その背後にあるものを常に想像する。そのことは人間関係において大切だと思う。

つくろっているのは、俺だけじゃないんだ。
誰だって、本当の部分なんて見せられるわけがない。生きていくってそういうことだし、集団の中でありのままでいられるやつなんていない。
瀬尾まいこ「あと少し、もう少し」


そして去年は、人はやっぱり何か大きなきっかけがないと変化できないんだと感じることも多かった。変化が必要なものは、毎日の習慣かもしれないし、友達への態度だったり、人によって様々だ。

実は誰もが変わるきっかけをいつも待っているのかもしれない。受け身の姿勢で待っているだけなのはダメだと思うけれど、やっぱりそれくらい自分に根付いたものを変える行為は難しい。

ちょうど昨日テレビでやっていた、映画「記憶にございません!」の黒田総理大臣に投げられた石ころなんかもきっかけ。今読んでいる、瀬尾まいこさんの本「あと少し、もう少し」の中に出てくる不良少年、大田くんにとっての駅伝も大きなきっかけ。(伝わる人には伝われ〜〜)

外部からのきっかけを与えられなくても、自分を変えることができる素直さを持った人間でありたいけれど、もう少し時間がかかりそうだ。



2020年は明らかに大変な年ではあったけれど、すべての瞬間が不幸だったわけでは決してない。逆に大変だったからこそ、日常の中のちょっとした幸せが際立った。また、前までの日常だったら拾いそびれてしまう気づきも見逃さずに感じとることができたんだと信じたい。
そして、今年もその日々の気づきを大切に強く生きていきたい。


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