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『天使の翼』第12章(57)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~
マウンテン・デビルは、四本の脚を水平に広げ、脚に生えた被膜を一杯に広げて風を受けていた……被膜には軟骨のような骨組みがあるようで、どちらかというと短い彼らの脚よりもずっと広く張り出していた……
その舞う姿は、遠く見れば優雅で音もなく、しかし、時に目の前を岩棚すれすれに飛んでいく様は、荒々しく、バタバタと被膜を風にはらませる……飛んでいる時の彼らの目、巨大な目玉は、真剣そのものだった――
『私達の飛ぶのは――』
母獣が、いつの間にかわたしの横まで来ていた。
『――一つには、食事の為……私達は、草も食べるのだけど、どうしても動物の肉が必要なの。私達の体には作れない栄養がある……そうなると、地上では鈍重な私達には、飛ぶことしか残されてなかった』
「もう一つは、恋?」
わたしは、笑みを浮かべて彼女を顧みた。
『あなた、他の星から来たのだと思っていたけど……』
「ある人に教わったのよ」
わたしには、彼女が肩をすくめたように見えた――実際には、首を大きくもたげただけだったが……
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