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《連続投稿568日目》プロダクトをリニューアルするには~アスクルに学ぶ~

 日経電子版の記事【アスクルのプロ用乾電池 大胆改良で売り上げ増】では、仕事現場に多いデジカメ・トランシーバー・計測機器など大電流機器用を想定していたアスクルのPB「ハイパワーアルカリ乾電池PRO」のリニューアルが取り上げられています。



 企業にとって、自社のプロダクトのリニューアルは、そのベクトルを誤って消費者離れを招くようなことがあってはならない、逆に、ユーザーの意見・不満・インサイトをすくい上げて需要が拡大していくような方向へともっていかなくてはならない、きわめて重要な課題なはずです。

 さっそく、記事からアスクルの取り組みを整理してみると――

▶「PRO」のリニューアル

(1)リニューアルの出発点・・・スマホの普及によるデジカメの低迷などに
              より、様々な業種でPROの売上が減少。
 ⇩
(2)仮説・・・商品のスペックとユーザーの使用実態にズレが生じている。
 ⇩
(3)ユーザーアンケート・・・PROは大電流機器用を想定して作られている
             が、実際には、テレビリモコン・時計・
             パソコンのマウスなど小中電流機器で多く
             使われている
、と分かる。
            ・・・機器による乾電池の種類の使い分けは、全体
             の約12%にとどまる
、と分かる。
            ・・・ユーザーは、PBアルカリ乾電池に対して安さ
             ・長持ち・日本製・メーカーが分かる
ことを
             求めている、と分かる。
 ⇩
(4)ユーザーの不満・・・ユーザーは、価格が高いPROは、どのような機器
           でも長持ちすると考えているが、実際には、小中
           電流機器でPROを使うと十分な性能を発揮できず、
           思ったよりも長持ちしないという不満に繋がって
           いる

 ⇩
(5)リニューアルのコンセプト・・・小中から大電流機器まで長持ち。
               ・・・国内メーカーで製造。
               ・・・デザインを ゴールドで統一し、PRO
                としての一体感・プレミアム感を打ち
                出す。
               ・・・業務での大量使用も想定し、はがし
                にくいシュリンクフィルムから、紙箱
                も採用へ(プラ削減のESGにも)。
 ⇩
(6)プロモーション・・・これらの変更点をカタログ・ウェブサイトで
           分かり易く訴求。
          ・・・販売促進のため、発売と同時に単1形~単4形全て
           の商品を2カ月限定の特別価格にする割引
           キャンペーンをした。



 こうしてみると、
 ① 売り上げの低迷を素直に受け止め
⇨② プロダクトのスペックがUX(ユーザーエクスペ
  リエンス)を満たしていないと判断して
⇨③ ユーザーアンケートを実施
⇨④ そこからユーザーの不満を言語化・見える化し
  て
⇨⑤ リニューアルのコンセプトを策定
⇨⑥ その際、プロダクトのラインナップを分かり易
  い・使い易いデザインにすることも忘れない
⇨⑦ そして、改善点のアピールと初動の割引キャン
  ペーン
……一つ一つ手順を押さえた、リニューアルのお手本のようなケーススタディーだと思いました。




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