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『天使の翼』第12章(46)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~
(どこかに結び目があるのかしら?)
わたしは、人間の子供を相手にするのと全く同じ心持ちで彼女に接していた。
「今助けてあげる!」
すぐに分かったのは、仮に結び目、絡まったところが分かったとしても、肉に深く埋もれ癒着したような状態では、ほどくようなことはとても無理……場所を選んで、ナイフで少しずつ切れ込みを入れていくしか方法は……
わたしは、彼女と視線を合わせた――苦痛を伴う作業だ……
彼女は、大きく瞬きした。
わたしは、また、彼女から話しかけられたような不思議な心持ちになった――「いいの、やってちょうだい!」と聞こえた……
わたしは、よく見えるよう、洞窟の入り口の方を前にして、膝をつき、彼女の体の左側に見付けた、他と比べて比較的ロープの埋もれてない部分にナイフの刃を当てた。
――すぐに、ロープは皮でできていると分かった。
皮は、乾燥するともろくなる。この場合は、デビルの汗、体液でそれは免れていた。こんなになるまではち切れずにいたというのは、一つにはそのせいかも知れないが、きっと特別な皮なのだろう……いずれにしても、特殊な化学繊維の類でなくて良かった――それだと、ナイフの刃が立たないかも知れない。
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