業務自動化は雇用を増やす

 「あなたのオフィスはどこにありますか?」

「我が社のオフィスは、クラウドの中ですね……」

そんな時代が来るのだろうか?オフィスの実体は存在せず、全ての業務はクラウド上でセキュアに処理される。人間は、システムにログインして、高度な判断業務だけをこなす。人間のいる本社には、企画・営業・開発・情報・研究といった創造的要素の強い部門だけが存在している……

今回のこの記事『業績悪化、AIで予兆察知』は、進化したOA(オフィス・オートメーション)が、単に定型業務をこなすだけでなく、AIの活用によって、基幹業務にまで浸透してくる様子を明確に示しています。

私は、この流れは、決して雇用喪失にはつながらないと考えます。そのような予測は、文字通り極めて短絡的だからです。

 

 (×) オフィスの業務自動化⇒雇用喪失

 (○) オフィスの業務自動化⇒【 X 】⇒【 Y 】⇒【 Z 】⇒雇用拡大

業務の自動化は、FA(ファクトリー・オートメーション)の世界では、既に『完全自動化工場』のレベルにまで達しており、一投資家に過ぎない私の知る限りでも、多くの先進的な企業がこの完全自動化を目指しています。彼らの目的は何でしょうか?もちろん、人手不足対策もあるでしょうが、決定的な要因は、工場がどこにあっても、①製品の高品質を安定的に維持できる事と、②人件費の大幅なコスト・ダウンができる事、この二つに尽きます。つまり、国際競争力が著しく向上するのです。

日本の工場は、安い人件費を求めて海外に出ていきましたが、その究極の姿が完全自動化、ロボット化です。固定費の削減は収益確保の鉄則ですから、いずれにしてもこの流れは止められません。そして、このロボティクスは、日本企業のお家芸であり、日本は、この優越的地位を堅持してさらに国際競争力を向上させていく必要があります。FAには、ロボティクスだけでなく、AI、IoT、IoTを達成するための通信技術など多くの技術分野が関わっており、特にAIなど、日本は、その全てについて世界トップを走っている訳ではないので、なおさら、自動化の分野を深耕させる必要があると言えるでしょう。

状況はオフィスの世界でも全く同じです。自動化は、国際競争力と直結しており、「自動化を進めると雇用が喪失する」どころか、自動化の推進で後れを取ると国際競争力が低下して、企業業績が悪化して雇用が喪失するのです。

 ●オフィスの業務自動化が遅れる⇒いつまでも減らない固定費+定型業務に縛り付けられる人的リソース⇒競争力低下⇒業績悪化⇒雇用喪失

 ●オフィスの業務自動化の徹底的推進⇒固定費の劇的削減+創造的業務へのリソース再配置⇒競争力UP⇒収益向上⇒イノベーションの開花⇒事業拡大・新規事業⇒・賃金UP・雇用拡大

私達は、今急速に進む『自動化』の流れの真っ只中にいます。不安や解決しなくてはならない課題も満載です。ですが、これを前向きに捉えて、一早く積極的にチャレンジしたならば……。5年後、10年後の近未来の人々にとっては、今私たちが夢見ている世界が、当たり前の世界になっているかも知れません……

「昔、『オフィス』ってやつが存在したのを知ってるかい?」

「『オフィス』?……何だ、そりゃ?」

「部屋の中に机とPCがたくさん置いてあって、大勢の人間が人力で事務処理をしてたって話だぜ」

「嘘だろ!?何でAIに任せない?……他にやるべきことが一杯あるのに……」

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO28275820X10C18A3EA1000/

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?