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『天使の翼』第7章(37)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~

 「あくまでデジタル精密画像による照合という条件付きだけど、僕たちを襲った悪の手下共の船にあった白い封書――男爵から借りた封書と、POPSの総支配人気付けの君宛の白い封書は、その特徴が93・5%の確立で一致した」
 わたしは、言葉にならぬ声を上げた。
 ――その時、シャルルの開いたバーチャル・コンピューターから擬似作動音がした。その音源は、彼の携帯端末のはずであったが、どういうステレオ効果でか、光でできたコンピューターの幻が作動しているようにしか聞こえなかった……
 「デイテ、今、政庁の消耗備品課のファイルが開いた……スカルラッティ公爵の公用封書……」
 わたしは、シャルルの背後に回って、彼のバーチャル・コンピューター上の画面に見入った。
 シャルルが矢継ぎ早にクリックを繰り返し、ついに、消耗品の購入リストの中から、公爵の公用封書の見本映像が浮かび上がった……大きさ、そして色合いが微妙に違う……しかし!右の隅に、小さく『旧式』とあるではないか!
 わたしは、シャルルと顔を見合わせた。
 シャルルは、その封書の絵に『旧式』とあるアイコンをクリックした。
 一瞬の間を置いて画像が浮かび上がる。
 「――間違いないわ」
 わたしには、その微妙な色合い、毛羽立ち具合、そして特徴的な縦横の比率などが全く同じに見えた。法廷での証明には不足かも知れないが、スカルラッティが犯罪者であるとの判断が動かしがたくなってきた。
 さらに、シャルルが、そのほっそりとした指で画面の一ヶ所を差し示した――「特注――100通発注済」とあった……


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