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『天使の翼』第7章(39)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~

 「まずは、僕たちも、文面を見てみよう」
 シャルルが、バーチャル・コンピューター上の擬似画面にPOPSで回収した招待状の中に入っていた用箋を呼び出した。
 ――用箋は、一枚。
 封書の宛名書きが黒々としたインクの手書きだったので、無意識のうちに期待していたわたしは、少々がっかりした――短い文面は、活字を印刷したものだった……
 わたしの表情の変化を敏感に感じ取ったシャルルが言った。
 「これを印刷したパーソナル・コンピューターとプリンターを押収できれば、決定的な証拠を得られるかもしれない」
 シャルルによれば、一度コンピューター上に発生したデーターを完全に消去することは並大抵のことではなく、また、大量生産のプリンターも使っているうちに用紙の位置その他に癖が出てくると言う。


 デイテ殿
 貴女の昨夜の出演は、わたくしにとって、突然かつ至高の喜びとなりました。あなたのような歌い手がいらしたとは。
 わたくしは、歌をこよなく愛する者です。
 是非、わが邸にて貴女の勇姿を再見したい。
 あなたは、歌う戦士だ!
 あなたの公演より三日後の午前中いっぱい、わたくしの使いの者を宇宙港の屋上に待たせておきます。
 少なからずや、ご返事だけでも。
             キリヤック伯爵


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