『天使の翼』第7章(39)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~
「まずは、僕たちも、文面を見てみよう」
シャルルが、バーチャル・コンピューター上の擬似画面にPOPSで回収した招待状の中に入っていた用箋を呼び出した。
――用箋は、一枚。
封書の宛名書きが黒々としたインクの手書きだったので、無意識のうちに期待していたわたしは、少々がっかりした――短い文面は、活字を印刷したものだった……
わたしの表情の変化を敏感に感じ取ったシャルルが言った。
「これを印刷したパーソナル・コンピューターとプリンターを押収できれば、決定的な証拠を得られるかもしれない」
シャルルによれば、一度コンピューター上に発生したデーターを完全に消去することは並大抵のことではなく、また、大量生産のプリンターも使っているうちに用紙の位置その他に癖が出てくると言う。
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