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『天使の翼』第11章(69)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~

 アンコーナへの船中でシャルルが語っていた、自然保護運動の盛り上がり、その結果としての法規制等々は、現地に来てみて、実は額面通りには受け取れないのだと、分かった。漠然と市民一般を対象としている、とかそういう問題ではなく、明確にデビル・ハンターの問題なのであって、しかも、彼らの独占にとって有利な法規だとすら考えられる……実際はどうなのだろう……
 シャルルも、この独占と云う問題が心に引っ掛かったらしく――
 「デビル・ハンター族は、マウンテン・デビルの腎臓を独占しているのか……」
 ローラは、思わず噴き出した。
 「……腎臓であることは間違いないけれど、『デビルの精』と言ってよ!……それと、同邦人として誤解のないように言っときたいんだけど、デビル・ハンター族は、自分達の唯一無二の生活の糧であるマウンテン・デビルを、神の使者と呼んで大切にしているわ……捕獲の後の埋葬の儀式をドキュメントで見たことがあるけれど、それは、とても神秘的な深夜の儀式で、単なる罪滅ぼしとか、後ろめたさの裏返しなんて域は超えていたわね……」

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