『天使の翼』第5章(88)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~
「不時着の現場はすぐに分かりましたか?」
シャルルが、上方で救出されつつあるダイアンの方を目で示し、わたしの手のひらの中に折り畳んだ紙片を押し込みながら、質問を発した。
「実は、先に発見されたのは、宇宙賊の方です――」
指揮官の言葉に、わたしとシャルルは、思わず視線を交わしていた。早くも何かの手掛かりが得られるかも……
レプゴウ男爵家の武装警察に、黒いヨットの遭難状況を調べさせる……機体に手掛かりは?……遺留品……フライト・レコーダーは?……乗員の生死は?……
わたしは、心の中にしっかりと整理した、両親の失踪につながるかも知れない解明の糸口を手繰り寄せた。
「――あなた方の船の不時着地点から西方へ20標準キロ余りの地点で爆発炎上が起きて、それを監視衛星がキャッチし、すぐさまその情報が私の中隊にもたらされたのです……」
ふと上を見ると、今やダイアンは、ワイヤーから外されて、エアカーへと抱え込まれるところだった……ぐったりとしている。可哀想に、気絶したのだ……
わたしは、指揮官の話に耳を傾けながら、急いで、シャルルから受け取った紙片に視線を走らせた……
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