見出し画像

『天使の翼』第11章(102)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~

 わたしは、とことんお色気路線で押していくローラに、半ば呆れ、半ば感心していた。
 少佐は、バックミラーでその様子を見せつけられ、居心地悪そうに体をもぞもぞさせた……
 ここまで12機が縦列となって快調に飛ばしてきたエアカーだが、にわかにスピードを落として、苦しげなエンジン音とともにほとんど垂直に上昇を始めた。
 窓外を見やると、そこはまさに断崖絶壁で、目安になるものがないから、目測ではどの位の高さがあるのかまるで見当も付かない。絶壁の上がどうなっているかも分からない。これだけでも十分圧倒されるのに、目指す空白地帯は、いったいどれほどのスケールでわたし達を迎えてくれるのだろうか……。ともあれ、エアカーは、こういう地形を飛ぶようには、もともとできていない……

この記事が参加している募集

SF小説が好き

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?