『天使の翼』第11章(78)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~
わたし達は、そう遠くない車両後方を一斉に振り返り、そして、顔を見合わせた。
――誰かが反抗したのか?
――SSIPが、それが何であるかは分からないが、容疑者を逮捕したのか?
……それとも、あの『シュッ』という音こそ聞こえなかったものの、ニードル・ガンが発射されたのだろうか……
まさに、座して待つとはこのこと。わたし達は、三人とも口をつぐんでいた。胃の辺りがキュンとする……
しかし、それも長くは続かなかった。
わたし達のコンパートメントのドアーが何の前触れもなくスルッと引き開けられ、照明の落とされた薄暗い通路から、冷たい風が流れ込んできた。わたしは、自分達の番が来るのは隣のコンパートメントで動きがあった後だと思い込んでいたので、息が詰まって、体が凍り付いた――
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