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『天使の翼』第12章(10)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~

 エアカーのあった辺りの湖面に水蒸気がもやいでいる。
 わたしは、今やがたがたと震えていた。自分の意志では抑えられない。
 ――証拠隠滅。いかにもSSIPらしい荒っぽいやり方。これで何もなかったことにする訳だ……せっかくシャルルが助けてくれたのに、わたしは何て馬鹿だったんだろう。『後片付け』が終わるまでは、隠れていなくてはならなかったのに。
 やがて姿を現したのは、予想通り単なる惑星内飛行機械ではなかった。全長50標準メートルはありそうな、SSIPの宇宙哨戒艇。パトロール・エアカーと同じ色に塗られている……
 哨戒艇は、わたしの頭上を越えて、湖の上へと移動した。
 (気付かれなかったみたい……)
 固唾をのんで見守っていると、盛んに船底に突き出た数基の砲塔を旋回させている。そして――
 轟音とともに、先刻と同じレーザー砲の一斉射撃が始まった。
 わたしは、濡れた手で耳をふさいだ。

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