グローサラントのUX

 この記事【スーパー店頭で本格料理 「グローサラント」広がる】は、スーパーの食品売場で販売する食材を料理してその場で提供する『グローサラント』=『グロサリー』+『レストラン』に関するリポートです。

 グローサラントの魅力とは何なのか、まずは、記事からグローサラントのUX(ユーザーエクスペリエンス)をピックアップしてみると――

① 食材を試し、気に入ったら、買って帰る。② 市場のような賑わい。③ 外国を歩いているよう~旅行先での買物のよう~都会的。④ ちょい飲み。⑤ 好きな物を自分のペースで楽しめる~いつ来ても違う発見がある。⑥ ちょっと良い品や珍しい品が楽しめる。⑦ 飲食メニューのお値打ち感(=スーパーの旬の食材の調達力+自社工場の活用)⑧ 使用食材を示す案内と共にレシピも置いてある。⑨ 料理のお薦めや食材の安心安全についてアドバイスを聞ける。

これらの体験は、いくつかのキーワードに整理できそうです――

(1)試す・・・①⑤⑥(2)知る・・・⑧⑨(3)賑わい・・・②③(4)お値打ち感・・・⑦(5)ちょい飲み・ちょい食べ・・・④

こうしてみると、グローサラントの魅力とは、次のようなものだと考えられます――

【1】お客にパーソナライズされた情報

 今までの食品売場でも、実演販売や試食販売などがありましたが、グローサラントで(1)試したり(2)知ったりする情報は、もっとお客に近付き寄り添った、パーソナライズされた情報にパワーアップされていると考えられます。

記事にもあるように、グローサラントがあることによって、お客は、食材の旬や鮮度を五感で感じた上で買物ができるのです。何もない物販だけのお店とは大きな違いがあり、差別化に繋がります。

【2】お客が笑顔になる賑わい

記事の写真を見ても、お客は皆笑顔でグローサラントを楽しんでいます。

 グローサラントの作り出す(3)賑わいが、普段の何気ない買物を、非日常の楽しい体験へとグレードアップしています。お客が賑やかで楽しいお店に集まるのは、とても自然な事です。

【3】お客が体感できるお値打ち感

 いいものをリーズナブルな価格で味わえる、購入できるという(4)お値打ち感のUXは、小売にとって最も基本的で重要なUXデザインではないでしょうか。グローサラントが、それを実現するのです。

【4】お客が気軽に飲食できる魅力

イートインの機能にグローサラントが加わることによって、お客はお店で売っている食材をより広い選択肢の中からチョイスして、(5)ちょい飲み・ちょい食べはもちろん本格的な料理まで、気軽にその場で飲食できるようになります。

 考えてみれば、あらゆる食材がそろった食品売場で飲食も出来るという事は、きわめて合理的な発想ではないでしょうか。グローサラントがある事で、お客は、【1】自分に必要な情報、【2】思わず笑顔になる楽しい賑わい、【3】お値打ち感という稀有なUXを得ることが出来ます。中食市場が拡大する中、料理もするスーパー、グローサラントは、確実に新しい業態として定着していくと思われます。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO33540220Y8A720C1MM0000/

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