独自技術でIoT時代を切り拓くソニー

 この記事「ソニー、宇宙ビジネス参入」は、民間主導の宇宙ビジネスの急拡大について、改めて考える機会をくれました。

 まず、分かったのは、そもそも民間主導の宇宙ビジネスの急拡大がなぜ起こったか、その背景です。それは、現在進行形の第4次産業革命の潮流そのものでした。第4次産業革命のコアとなるのはIoT、そして、それを制御するAIで、そのIoT革命の必然の結果として、従来の『モノづくり』は『コトづくり』へとパラダイムシフトし、製造業のサービス化が加速します。

 つまり、人工衛星がコモディティ化し(特に超小型衛星)、リモートセンシングのIoTデバイスとして活用して、そのデータを利用した多様なサービスを作り出していく時代になったのです。

●従来の人工衛星=『モノづくり』=メカニクス+エレクトロニクス+ソフト     ・・・・・・政府主導で、安全保障との関りが大きく、コストよりも高性能で安全な部品であることが求められた。●超小型衛星=『コトづくり』=メカ+エレクトロニクス+ソフト+IoT+AI       =コモディティ化した衛星+各種サービスの融合     ・・・・・・民間主導で、顧客に価値のあるサービスを提供するべく、家電など民生技術を転用してコストを圧縮する。

このようにコモディティ化が進むと、開発期間が大幅に短縮されて、投資からリターンまでの期間が圧縮されるので、特にスタートアップにとっては事業の見通しが立てやすくなることも、民間主導の宇宙ビジネスの急拡大の一因だと考えられます。

 それでは、ソニーの小型衛星用の光通信機器量産計画は、スタートアップのアイデアとして捉えた場合、どのような有利性があるのでしょうか。

【1】 自社の有する優位技術を活用したアイデア

・・・・・・家庭用のCDプレーヤーなどで培った光ディスク技術を応用。

【2】 未解決の現場課題への解となるアイデア

・・・・・・現在主流の電波通信は、データ容量や効率面で課題が多い。

【3】 世界初となるアイデア

・・・・・・開発に成功すれば、世界初の量産となり、圧倒的に優位。

【4】 人類の役に立つアイデア

・・・・・・記事にあるように、「レーザーを使うと高精度の画質を常時やり取りできるため、山間部の災害を瞬時に把握したり、交通状況を監視したりする用途が広がる」。

【5】 市場規模が極めて大きな分野をターゲットにしたアイデア

・・・・・・IoT革命の波に乗って民間主導の宇宙ビジネスは急拡大している。旧来の衛星ビジネスのレッドオーシャンから湧き出したブルーオーシャンである。安全保障上の理由から中国製品を使えない米国も、大きな市場となる。

 このように見てくると、第4次産業革命の時代にあっても、この記事のソニーのように、強い技術を持った日本企業、日本の製造業には、高いポテンシャルがある事は明らかです。自社技術をどのように新しいサービスと結び付けていくのか、その発想ができるかどうかが、カギを握っていると考えられます。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO29410550V10C18A4MM8000/

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