『天使の翼』第5章(94)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~
ほどなく、エアカーは、洞窟の入り口を通って外界に飛び出した。
優雅な曲線を描いて急上昇する。
レプゴウ男爵の王城の地は、峻険な山々に囲まれた、広大な盆地だった。
数日振りに、午後の太陽の光に目が慣れてくると、赤黒い岩の大地という最初のイメージとは違って、そこは、緑豊かなオアシスだった。
やがて、行く手に、小高い丘の上に聳え立つ宮殿が見えてきた。
レプゴウ男爵とは、どんな人なのだろう。
わたしの心の中に、危難の日々の中に押し潰されていた吟遊詩人としての心映えが、束の間甦った……
(第5章 完)
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