『天使の翼』第7章(46)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~
わたしは、再度シャルルと顔を見合わせてから――シャルルは、首を横に振った――、完全に会話の主導権を握っているジェーンを見た。
「わたしが持ってるわ」
ジェーンはにこりと頷いて――
「2級?」
わたしは、ちょっぴり誇らしげに――
「1級よ」
ジェーンは、目を見開いて――
「かっこいい!」
わたしは、いきなりジェーンに手をつかまれた。
「わたし、恥ずかしい……3級なのよ……中型車の一人乗りしかできない……お姉さまは、大型車の、それも二人乗りができるのね!」
その瞬間まで、ジェーンにとっては脇役にしか過ぎなかったわたしに、突如スポットライトが当てられたような按配だ。わたしは、わたしを食い入るように見詰めるジェーンの視線がまぶしくて、とりあえず、ぎゅっとわたしの指に絡まったままの彼女の指をやんわりと外させてもらった。
「旅の道すがら、滞空試験合格のこつを教えて!」
「『旅』?」
わたしとシャルルは、同時に聞き返していた。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?