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ビジネスを考える

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#イノベーション

《親ペン雑記#7》面倒な人のイノベーション

 日経電子版は、何も最新の情報を得るためだけにある訳ではない。その検索機能を使って膨大な過去記事の中から「なるほど」とうならされる読み物を見い出すことのできる、まさに宝の山だ。  下に掲げた【シリコンバレーの神髄は「場所」ではない】なども、そんな珠玉の記事の一本だと思う  この記事では、世間でシリコンバレー、シリコンバレーともてはやされるそのシリコンバレーの神髄、イノベーションのエッセンスが、『場所』そのものではなく、そこに集っている『人』にあることを説いている。  面白い

《連続投稿573日目》不景気が跳躍台になる会社

 日経電子版の記事【日本電産の永守会長「不景気の後ほど最高益のチャンス」】では、日本電産の2020年4~6月期連結決算についてのウェブ説明会の骨子がリポートされています。  この記事で最も印象深いくだりは、何と言っても末尾の次の一節ではないでしょうか―― (記事より)永守会長「過去のことをどうこう言ってもしょうがない。外部環境が悪くても自分たちで風を起こし、たこを揚げる戦いができるチャンスだ。リーマン・ショックの1年後には最高益を出した。今期も、すぐに最高益をたたき出す元

《連続投稿549日目》研究所+店舗=イノベーション~研究所併設店舗のポテンシャル~

 日経電子版の記事【アルビオン、実験見せる新店開業】では、コーセー傘下の化粧品メーカー「アルビオン」の、店内に研究所を設け化粧品作りの一部を公開するという、新しい業態の店舗がリポートされています。  今までも、例えば無印良品の靴下工房など、店舗内に編み機があって、まるで店舗に工場が併設されているような施策はありますが、『研究所併設店舗』というのは私は初めて聞きました。  研究・開発という企業にとってはトップシークレットに属する部署を、たとえその一部であっても店舗内に置く、

《連続投稿546日目》パリ協定達成のための3つのイノベーション

 日経電子版の記事【パリ協定達成には…大規模移動制限、10年継続が必要】には、何と言っても冒頭の次の一節でグッと引き付けられます。 (記事より)新型コロナウイルスの感染拡大で2020年の温暖化ガス排出量は前年比8%減程度と過去最大の減少幅になるとの見方が強まっている。大規模な活動制限が世界に広がったためだ。ただ国際的な気候変動対策「パリ協定」の目標を達成するには今年並みの削減を10年間続ける必要がある。パリ協定の高いハードルが改めて浮き彫りになった形だ。  コロナ危機によ

《連続投稿485日目》『当たり前』を否定することで生まれるイノベーション

 日経電子版の記事【YKKが見せる磁気のマジック、ファスナー片手で楽々】では、ファスナーの開具(ひらきぐ=ファスナーの一番下にある部品で、この組み合わせを外せばファスナーが左右に離せる)にマグネットを取り付ける仕組みで、左右の開具を近付けるだけで片手でも組み合わせられるYKKの「マグネットファスナー」が紹介されています。  確かに、普段私達がお世話になっている便利なファスナー(この場合は、スライダーを一番下まで下せば、ファスナーのテープを左右に離すことができる「開きファスナ

ヤマハの「サイレントギター」~ユーザーが本当に欲しいもの~

 日経電子版の記事【ヤマハ、音の小さなギター2種を投入 夜間でも練習】は、①一般的なアコースティックギターと比べ音量を約2割に抑えながらも、②自然なアコースティックギターに近い深みのある音色を実現した、③共鳴部分がない「サイレントギター」に関するものです。  このごく短い記事を一読して「なるほどな~」と思ったのは、そもそも、ギターの使用時間の大部分は『練習』じゃないか、というものです。  コンサート、コンテストなどの本番でギターが使われるのは、総体的に見ればほんの一瞬のハ

「当たり前」をデータ化すると当たり前でなくなる

 日経電子版の記事【スマートシューズでデータ取得 日常行動から新事業の芽 奔流eビジネス】では、現在進行形の第4次産業革命の時代のIoT化の一潮流である『プロダクトのスマート化』の中で、最近脚光を浴びているスマートシューズについて論じられています。  確かに、様々な動きを検知できるセンサーを内蔵したモジュールを靴のソールに埋め込むなどして、走行ペース・ストライド・着地の重心位置・接地時間など詳細なデータを取れるスマートシューズには、大きなポテンシャルがありそうです。  記

逆転の発想~駄目だと言われているモノが実は一番良い場合~

 日経電子版の記事【海なし県の地魚 長野の湧水で育てた「黒耀キャビア」 信越とっておき】は、海なし県長野で生産される、臭みや癖が少ない、クリーミーでコクもあるキャビアのごく短いリポートです。  この記事の肝は、何と言ってもチョウザメを養殖するのに使う「水」に関する逆転の発想でしょう―― ▶「水」に関する逆転の発想〇常識的には⇨水温が低く栄養が少ない水では魚が育たない。 〇逆転の発想では⇨「(記事より)純度の高い湧き水で育てれば臭みのない          高級魚として売

自動車メーカーが農園にコンサル?!

 日経電子版の記事【日産、イチゴ農園に「カイゼン」指南】は、日産自動車が工場などで培った『カイゼン』のノウハウを農業など異業種に応用するコンサルティング事業に関するリポートです。  さっそく、記事で取り上げられたイチゴ栽培用ビニールハウスでの事例を整理してみると―― ▶イチゴ栽培用ビニールハウスでの事例 (課題1)イチゴを熟度の高い状態で収穫することにこだわると、振動      などで果実の表面が傷付き易い。      ⇨(今まで)作業者が、約3キロの収穫かごを抱え、最盛

くら寿司に見る『伝統とデジタルの融合』

 日経電子版の記事【くら寿司、握れ海外市場 浅草の新型店で訪日客取り込み 帰国後の現地利用狙う】は、くら寿司が新たに開いた和の内装を特徴とするグローバル旗艦店をリポートしたものです。  イノベーティブ(革新的)なものが次々に登場する変化の激しい時代に、伝統的なものはいかにして生き残ってゆけばいいのか?  伝統の良さを生かしながら、現代人、そしてインバウンドの心にも刺さる尖ったサービス、ユーザーのインサイトに肉薄するサービスをどのようにデザインしてゆけばいいのか?  ――

サスティナビリティとディスラプション

 日経電子版の記事【エネルギーバトル 電力、代わる主役(上) 技術が変える供給網、大手介さず個人で融通】は、再生エネルギー(自然エネルギー)のテクノロジーとIT(情報技術)によって、個人間・地域内で電力を自在にやりとりできるようになった現状をリポートしています。  まず、記事から、新旧電力のビジネスモデルを対比してみると―― ▶新旧ビジネスモデルの対比●電気は、需給バランスが崩れると停電する。 ⇩ (旧来のモデル)電力会社が、巨額の投資で多くの巨大発電所と長大な 送電網

『テック化』でイノベーションを

 日経電子版の記事【肉、旅、トイレ…全産業に「テック化」の波】では、世界最大級の技術見本市「CES」を題材に、フードテック・エドテック・ヘルステック・リーガルテック、等々……あらゆる産業に広がる『テック化』の潮流がリポートされています。  そもそも、AI+IoTをコアなアクセラレータとする現在進行形の第4次産業革命の時代は、文字通り『イノベーション(革新)の時代』であり、長年にわたって未解決であったり、俄かに顕在化した社会課題へのソリューションとなる、今までにない全く新しい

いかにしてイノベーションを成し遂げるか?

 日経電子版の記事【エンジニア料理人の発想 0度で火入れ、調理ミリ単位 世界最速三つ星シェフが語るイノベーション(上)】は、「(記事より)2008年にオープンするや、僅か1年5カ月でミシュラン史上最速の三つ星に輝いた「HAJIME」」にイノベーションの何たるかを探る好リポートだと思います。  この興味尽きせぬリポートを読んで気付かされるのは、記事が料理を題材としていながら、そこに浮かび上がってくるもの、仕事に臨む考え方や姿勢といったものに、広くビジネスの世界、スタートアップ

プリンターのイノベーション~アイデアがプラットフォームになるまで~

 日経電子版の記事【ものに印刷、予想外のヒット リコー開発物語 リコー携帯プリンター開発(上)】・【「開発中止」跳ね返した顧客の声 リコー新市場開拓 リコー携帯プリンター開発(下)】は、イノベーティブなリコーの携帯型プリンター「RICOH Handy Printer」のワクワクするような開発物語です。  2本の記事を通読して感じるのは、この画期的な携帯プリンターの開発が、アイデアの段階からプラットフォームへと至るまで、アイデア⇨マーケティング⇨プロモーション⇨プラットフォー