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ビジネスを考える

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2019年12月の記事一覧

AIエージェントが統合されるとどうなるか?

 日経電子版の記事【ネットとのやりとりは「AI執事」 10年後見据え開発】は、人間とネットを結ぶインターフェースの主流が音声アシスタントへと変わっていく中、人間が音声インターフェースで機械を動かす時代に、AIエージェントの可能性を見据えた骨太のリポートだと思います。  この記事で最も印象深いくだりの一つは、次の一節ではないでしょうか―― (記事より) パソコンからスマホ、スマホからテレビと、利用者が使っているマシンを変えるとエージェントが別の画面にジャンプして付いてきてく

「カラムーチョ」に学ぶ市場拡大

 日経電子版の記事【湖池屋 鍋の具材になるスナック菓子】は、鍋の具材としても楽しめるスナック菓子「鍋カラムーチョ 花椒(かしょう)火鍋」と「鍋カラムーチョ 生姜(ショウガ)鶏鍋」に関するごく短い、しかし、とても示唆に富んだ記事だと思います。  そもそも、あるプロダクトの売上を上げる、供給を拡大するには、需要を拡大しなくてはなりません。その需要は、消費者の様々な消費シーンによって成り立っていますから、その消費シーン、顧客体験(CX)を拡大しなくてはならない訳です。  消費シ

自動運転でアメリカ大陸横断~知名度をアップするには~

 日経電子版の記事【中国系、自動運転で米横断】は、「(記事より)中国で大型貨物トラックの自動運転技術を手掛ける智加科技が、米国で東西横断輸送に成功した」事を伝える、ごく短いですが示唆に富んだ内容だと思います。     そもそも、研究開発の為に資金を調達したり、プロダクトを売り込むためには、そのコトを知ってもらう必要があります。どうやって知名度を上げ(名前を知ってもらう)、認知度を上げれば(中身を知ってもらう)いいのか、記事の事例は商用化の難関に挑んだ研究開発ですが、プロモ

空気のようなシェアリング

 日経電子版の記事【富士通マーケティング 図書館、貸し出し手続き不要に】は、図書館における貸し出し手続きが不要となる「ウォークスルー型図書自動貸出システム」に関するリポートです。  最近は、クルマや自転車、宿泊施設など、実に色々なもの、モノやスペース、スキルといった様々な分野でのシェアリングの潮流が拡がっていますが、よくよく考えたら、「図書館」というのは、それこそプトレマイオス朝エジプトのアレクサンドリア図書館などにも遡る人類最古の部類のシェアリングサービスです。  今、

チェックアウト機能は究極のコトPOPかも知れない

 日経電子版の記事【インスタ、動画・買い物充実 日本発機能を世界へ】は、日本での状況をからめたインスタグラムの今後の戦略についての好リポートだと思います。  この記事で一番印象に残ったのは、やはり、インスタグラムの投稿画像の中に見付けた商品を購入したくなった時、各ブランドのwebサイトへ移動することなく、直接シームレスに商品の購入ができる「チェックアウト機能」です。  そもそも、消費者一人ひとりが各々の体験価値を追求する『コト消費』の時代に、消費者の興味を引き⇨共感を得て

ナチュラルローソンから学ぶこと

 日経電子版の記事【ナチュラルローソン、女心つかみ30カ月連続増収】は、30ヵ月連続で増収を保っているナチュラルローソンの経営手法に切り込んだ好リポートだと思います。  そもそも、巨大コンビニチェーンなどスケールが大きいという事は、ともすれば売場の均質化を招き、消費者一人ひとりが各々の体験価値を追求する『コト消費』の時代に細分化されるスモールマスな市場とはかけ離れていく、優等生だが面白みのない売場になってしまうリスク、スケールデメリットがあると言えます。――スケールが大きい

奮戦するローカル線に見る『続ける価値』と『儲かる価値』

 日経電子版の記事【ぬれ煎餅がローカル線救う? 笑いと涙の社長奮戦記 銚子電鉄社長・竹本勝紀さん(人間発見)】は、税理士事務所の代表で、食品製造販売業を手がける銚電社長がいる、というユニークなローカル線に関する物語、タイトルにもある通り文字通りの「笑いと涙の社長奮戦記」です。  この記事を読んで改めて強く感じるのは、世の中には『続ける価値』と『儲かる価値』がある、という事です。そして、この2つの価値は、それぞれ独立した価値観でもって、相関関係とも因果関係とも違う微妙なバラン

釣り師に見る『フリーランス』とは

 日経電子版の記事【プロ釣り師の収入源 奥深さ、文章や言葉で伝える 海と水辺の散歩】は、(素人)趣味の「釣り人」でも、水産業にたずさわる「漁師」でもない、プロの「釣り師」の収入源について率直に、ある意味網羅的・体系的に語られており、興味深い内容です。  この記事を通読して最も印象的に感じたのは、「(記事より)誰もが思いつくであろう魚の販売は、ここではあえて除外させてもらう。魚を売って生計を立てるのは、釣り師ではなく漁師さんの仕事と考えるからだ」という言葉にもあるように、あく

『続ける価値』と『儲かる価値』

 日経電子版の記事【東海道新幹線の車内販売、もうからなくても続ける理由】は、儲からなくても続ける東海道新幹線の車内販売に関するリポートです。  まず、記事などから、車内販売縮小の背景と、続ける理由を整理してみると―― ▶続けるか?続けないか?(1)車内販売縮小の背景   ① 駅ナカの商業施設の充実による乗車前購入の機会拡大。   ② 人手不足によるパーサーの採用困難。   ③ 上記等を理由とする採算悪化。 (2)続ける理由   ① 乗車前購入の困難なギリギリ乗車

芸術(アート)と仕事(ビジネス)~役に立たないという前提こそがおかしい~

 日経電子版の記事【芸術鑑賞は仕事に役立つ? 野村総研などが実証実験】は、VRで美術品を鑑賞し⇨その心理状態の変化を科学的に調べて⇨社員のストレスケアへの導入可能性を探る試みをリポートしたものです。  近年、アートとビジネスとの、思考法や開発手法など様々なレイヤーでの対比やコラボレーションがかまびすしく論議されています。この記事からピックアップしただけでも―― ▶アートとビジネスとのコラボ① 美意識・感性を磨いて創造性を持った人材を育成。 ② ストレス軽減による生産性の

目立つためのメソッド

 日経電子版の記事【黄金のトイレ、海外の人々魅了(古今東西万博考)】は、2010年上海万博で「日本産業館」に出展され話題をさらった「黄金のトイレ」に関するリポートです。  この記事、「へぇ~、黄金のトイレか……」と思っただけで、あやうくスルーする所でしたが、よくよく考えてみると、高品質な日本製品を売り込むために⇨「黄金のトイレ」で話題をさらい⇨日本のトイレへの関心を高めるというメソッド、『目立つためのメソッド』は、きわめて卓越したプロ―モーション、「黄金」という人類共通と言

言葉の『意味』と『意図』~音声翻訳にどこまで任せるか~

 日経電子版の記事【音声翻訳で外国人と話せる? 真意つかむのは人、認識】は、通訳機の使い勝手を試した好リポートだと思います。  記事などから、一般論として音声翻訳の課題をピックアップしてみると―― ▶音声翻訳の課題① 文章に主語や目的語などの省略があると精度が落ちる。 ② 文章に主語や目的語などの曖昧さがあると精度が落ちる。 ③ 意味不明の発言が返ってきた時、自分の発言が正しく伝わらなかった  為か、相手の発言が正しく翻訳されなかった為か不明である。 ④ 一度に翻訳

野球グラブの名工に学ぶ『コト消費』への対応

 日経電子版の記事【野球グラブ、名工の絶妙「型付け」 鳥谷選手らプロ愛用】は、選手のニーズに徹底的に応えるグラブのブランド「久保田スラッガー」の心に残るリポートです。  そもそも、消費者一人ひとりが各々の体験価値を追求する『コト消費』の時代に、細分化されるスモールマスな市場を見極め、ユーザーのインサイトに肉薄したイノベーティブなプロダクトを作ろうとすれば、それは、プロダクトアウトなモノの売りっ放しであろうはずはなく、プロダクトの入口である消費者のインサイトと、出口であるフィ

『共感の消費』と『憧憬の消費』~SNSの共感で掘り起こす消費~

 日経電子版の記事【ティックトック、ユーチューバーより早く稼げる?】は、「(記事より)ほかのSNSよりも早く、時に数日で数十万のフォロワーを持つ売れっ子になることも可能」というTikTokの台頭をリポートしたものです。  このようなTikTokの最大かつ最も卓越した特徴は、何と言っても「(記事より)独自のAIアルゴリズムによる「おすすめ」機能により、フォロワーを抱えない一般の投稿が爆発的に人気になり、数日で数十万のフォロワーを獲得することも」ある点でしょう。  『フォロワ