建設業の現場監督(施工管理)がブラックと呼ばれる35の理由
*仕事が好きな方、建設業が好きな方は絶対に読まないでください!
先ず予めお伝えしておきますが、仕事にやりがいを感じている、仕事のためならプライベートも犠牲にできると考えている人であれば、この記事は意味のないものです
それを考慮した上で読んでいただければと思っています
この記事は、学生の方やこれからやってみようかなと考えている方に向けて現場監督(施工管理)という職業を知ってほしいため、自分の経験を基に書きました
私は、企業研究が甘すぎて、大学で勉強したことに関係する仕事ができればいいかなという安直な理由で色んな企業を受け、その中で縁があって建設業の世界に入りました
入った当初は自分の想像していたことと現実のギャップが大きすぎてかなり苦労したのを覚えています
今振り返ると大変なこともありましたが、とても多くの事も身につき、勉強になったので後悔はしていません
そして私なりに頑張って最終的に建設業界で約5年以上仕事を続けました
私が行ってきたのは現場監督(施工管理)という業務です
(以降、施工管理とも書きます)
その施工管理という業務を携わってきた中で経験したことを踏まえ、なぜ建設業の現場監督はブラックと呼ばれるのか35の理由をご説明します
1.労働形態
現場監督の労働形態は全て担当現場の工程(スケジュール)によります
大きく分けて、新築現場と既設現場があります
例えば
・マンション等の新築現場の場合
基本的に月~土に工事を行っている所がほとんどです
これは作業音などの騒音問題もあり、多くの場合は近隣協定が組まれているため、必ず日曜日は休工するというルールが一般的です(竣工間近になると日曜日も出るようになりますが・・・)
よく建物の囲いフェンスなどに、建物名や施主、工事業者、竣工時期などが書かれた工事看板が設置されており、今週のスケジュールが書かれてあったり、騒音数を表すデシベル数が表示されていたりしているのを見たことがあると思います
これらはこういうルールに基づいて工事をやっていますよという表示にもなるため、周辺に迷惑をかけないように色々なことがされており、したがって勤務形態も近隣協定によることになります
・建物やお店、ビル、工場等の既設改修現場の場合
基本的に昼間の営業中は工事できないので平日夜間と土日祝に仕事を行うことがほとんどです
これはどういうことかというと、既設の建物は基本的に日中の時間帯は動いているため、動いていない時間帯を狙って工事を行う必要があるからです
店やビルであれば営業時間外、工場であれば稼働しない日
に工事を行うといったスケジュールになります
つまり一般的に休日や就寝時間となっている人達の裏で仕事をしていることになります
また、新築現場か既設現場どちらが担当になるのかというと、自分が担当となる現場を自分で決められるものではなく、会社がそのときに獲得してきた案件によって左右されます
そして自分が担当する現場によって大きく仕事を行う時間帯が変わってくることになるのです
つまり、月~金まで仕事といった一般的なモデルケースである企業の労働形態ではないし、不動産業界などでよくある水曜日と木曜日は休みなどといった決まりごとや定休日といったものは一切なく、現場によっていつ休めるのかも分からないし、夜間仕事もありえるということです
まさに芸能界のような忙しさをかもしだした業界です
どちらかと言えば仕事がメインで私生活がサブのような人生になる可能性があるということです
更に細かく言えば、現場監督という職業は芸能人のマネージャーが一番分かりやすいと思います
なぜそれくらい忙しいのかというのは次以降で順次説明していきます
2.現場の場所問題
担当現場によって労働形態が変わる他に、仕事場も変わるという点があります
これは、一般的に毎日会社(本社や営業所など)に出勤して、仕事をして・・・ということはほとんどなく、自分が受け持つ現場へあちこち行かされるということです
例えば
東京都で言えば渋谷、新宿、銀座・・・など担当現場を持っていたとして、その現場が終われば新たに現場を持つことになりますが、新たな現場が始まれば、住んでいる家関係なく現場に仕事をしに行くため、通勤場所や時間は現場で振り回されることになります
家からめちゃくちゃ遠い所の現場になると、2時間、3時間なんて平気でかかるので長期出張している感覚になります
また人によっては担当する現場は2つ、3つ・・・と複数持つようなケースは当然起こってきますので、そうなってくると1日であちこち行くとなると移動もものすごく多くなります
私の経験で言いますと、長くて平気で片道2時間以上くらいかかるような所の現場を担当することになったこともあり、毎日がとてつもなく大変でした
3.3K問題
建設業は現場で仕事するので、どこにいってもやはり3K(汚い、きつい、危険)がつきまといます
先ず「汚い」というのは
・埃まみれになる
・手や服が汚れる
ことが非常に多いです
埃まみれになるというのは、現場では色んな業者が資材(例えば木材、軽量材、鉄筋、塩ビ配管、ボード、コンクリート材、左官材など)を置いて、あちこちで資材を切るなど加工して現場で使えるように作っているので、切った資材の粉が舞いますし、周りも現場というのは汚れるものだという感覚もあるので、当然汚くなっていきます
また新築現場であれば、土の埃もありますし、工場やビルであれば何十年もの埃が溜まっているケースも少なくありません
新築マンションや再開発現場などの場合は、土地を新たに掘削して整地してからその上に地盤を形成して建物を建てる工事を行うので、風が強い日は土の粉が舞うことなどもありました
建物として見れば、新築マンションなどの内覧時はとてつもなくきれいになってますが、何回もクリーニング業者がクリーニングしているため、きれいに見えるのです
また職人さんたちの休憩所(詰所)やトイレはありますが
プレハブ小屋みたいな所で仮設で作られたものであり、現場の中に作られることがほとんどなので、正直衛生環境はよくないと感じてます
建物が建っていけば、その建物の中で一室スペースを使って休憩所を作るということもあるかもしれませんが、建設中はさほど変わらないと思います
手や服が汚れることについては、現場では基本的に汚い環境なのでよくあることです
中にはなかなか取れない、しみついてしまって洗っても取れないものもあります
革手袋が必須なので、忘れた日は素手で触ることもあるので悲惨です
特にコンクリートや土木工事に絡む仕事をするときは確実に汚れます
泥だらけになるし、作業服につくと洗濯してもなかなか取れません
次に「きつい」というのは主に環境面です
外の現場であれば、夏はクソ暑いし、冬は超寒いです
夏だと最近では、温暖化の影響か35度を超える時もありますが、普通に現場は動いています
太陽の下日差しを浴びながら工事をしている所に行き、長時間仕事をしていればいつ熱中症で倒れてもおかしくない環境です
またコンクリートが熱を持つことも珍しくなく、建物など現場の中が蒸し暑くなるのは避けられません
冬については、寒い中外に出るのはかなり辛いです
雪が降ればさすがに現場を休みになることもありますが、積もった雪などは現場にいる人たちでかき分けて処理するので、雪の中雪かきを何度か経験しました
工場やビルなど建物の中での現場もあるので、全てがそうではありませんが、何度も倒れそうになったし、風邪もひきそうになりました
最後に「危険」についてはとても重要なことをお伝えします
現場は最悪死ぬ可能性がところどころに潜んでいます
上を見上げれば、荷を積んだクレーンが旋回しているし、床に開口部があって落ちそうな場所があるし、鉄筋など当たったらけがでは済まないものがあるし、規模の大きい現場だと朝から晩まで搬入車両など何かしらの車が出入りしているし、場合によっては場内移動もしています
なので現場を歩く時は、何かに巻き込まれて死なないように細心の注意を払わなければいけません
もちろん現場なので、日々のKY(危険予知)活動や場内の危険個所にカラーコーンを置いたり、表示を貼ったりして注意喚起をしていますが、残念ながら怪我がなくなることはなく、現場事故というのは無くなりません
どうしてもマンネリというか毎日注意喚起をしていると、誰もが心の中で自分は大丈夫だろうと思ってしまう部分はありますし、何より自分が職長をやっていたこともあるので分かりますが、話をあまり真剣に聞いていない人もいるのも事実です
小学生の頃、校長先生の話をしっかり聞いていましたでしょうか?
恐らく話が退屈で聞くふりをしていたり、興味なくて全然聞かなったり色々な子がいたと思います
つまりそういうことです
それは大人であろうと同じことです
また死ぬ危険だけでなく、けがなどにつながりそうなヒヤリハットに何度も遭遇したこともあります
私自身、運が良かったと思えた場面もあったので、1歩間違えていればどうなっていたか・・・と思うことは多々ありました
たまにニュースで~の現場でクレーンが倒れて下敷きになった、仮設足場が風に煽られて、近くの道を歩いている人を巻き込んだなど色々報道されていることを目にする機会があると思います
そういった死と隣り合わせにある環境であるというのを痛感させられますし、会社に出勤して仕事している人とはまったく捉え方も違う世界だというのが考えさせられます
4.朝早すぎる
現場の朝はとてつもなく早いです
一般的に朝8時に朝礼があるので、皆間に合うように来るわけですが
職人さんの来る時間がとてつもなく早いです
現場によってはという部分があるかもしれませんが、自分が経験した中で言えば
朝8時朝礼なのに、6時30分には休憩所(詰め所)に着こうとします
職人さんのほとんどがそうです
これには理由があって職人さんのほとんどは車で来る人が多く、朝は道路が混むので渋滞に巻き込まれて遅れないよう空いている時間帯を狙って早めに来て待機しているからだと思われます
では、一体誰が休憩場(詰所)のカギを開けて職人さんが入れるようにしておくのか?というと現場監督になります
現場監督は現場を管理する役目であるため、休憩所などの職人さんが使う施設も管理しなくてはいけません
入れないと「何してるんだ」と怒りの電話がかかってくるので、必然的に休憩所のカギを開けるために、職人さんを待たせないように朝一番で早く行かなければいけません
また夜勤の場合についても同じで、私の経験上ですが大体仕事を始める2時間以上前から事務所など待機や事務仕事を行い、早くに来た職人さんの対応もするなどといったこともしておりました
朝であろうと夜であろうとあまり変わらなかった印象です
5.休憩時間はないに等しい
現場監督(施工管理)に休憩時間はありません
全て仕事の時間に消えるからです
職人さんは大体
・10時~10時30分
・12時~13時
・15時~15時30分
という3回の休憩時間があり、このタイミングで職人さんは休憩をとり、また職人同士による進捗状況の報告など話し合います
では現場監督は何をするかというとその多くは
・設計や施主など客先からの打ち合わせによって決定したこと、変更になったことを職人さんに伝える時間
・職人さんとのコミュニケーションを取る場
になります
伝えなければ
「Aのプランで決まっているのに、現場はBのプランで進んでいる」
といった客先や施主側の計画と現場側との進捗のズレが発生してしまうからです
休憩時間以外のタイミングで職人さんに話をしに行くと、もちろん職人さんは手を動かし作業して工事を進めているわけなので、邪魔できません(重要なことはすぐに伝えますが。)
自分が職人さんの動きを止めてしまった結果、工程遅れに支障が出たなんて言われかねないからです
なので、職人さんの作業の支障がないように、極力職人さんの休憩中などのタイミングを計って、自分の休憩時間をつぶしてでも工程管理を行うことが当たり前になってきます
私の経験上、職人さんとの打ち合わせを優先するあまり、昼休みの昼ごはんさえまともに食べる時間が取れずに、昼を抜かざる負えない時期も多々ありました
休憩というのが幻想に感じるくらいに覚えています
ではなぜここまで職人さんとコミュニケーションを取る場を設ける必要があるのかというと、それは現場をより円滑に進めるためです
現場監督と職人では、立場上現場監督が上です
しかしながらその立場関係は現場監督と職人の関係は良好であるからこそ成り立ちます
いくら現場監督がスケジュールを調整したり、段取りをしたとしても、実際に指示通りに工事を行う職人さんがいなければ現場は進みません
なので職人が現場監督の指示通りに動いてくれるかどうかは築き上げた人間関係にかかってくるということです
もし現場監督と職人さんの関係があまり良くないととんでもないことになります
6.労働時間問題
一般的な企業の就業時間というのは
朝8時30分~17時30分
のような時間帯が大体であると思いますが現場監督は違います
現場監督の仕事は、就業上8~17時ですが、実際は朝7時~24時くらいまで(通勤時間除く)が一般的です
これには理由があって
基本的に現場は8時~17時まで動いているからです
現場が動いているということは、現場の業務をこなすのが大優先となります
・職人さんや他業者から呼ばれたらすぐに対応しなければいけない
・材料を積んだ車が来れば、すぐに荷受けをしにいく
・荷受けしたら入ってきてる材料を確認する、数量チェックする
・現場は進んでいるので、施工チェック、施工写真を撮らなければいけない
・毎日の工程など打ち合わせに参加し、調整や変更事項を職人さんに伝達する
・設計やオーナーなど客先との打ち合わせもある
と現場系の仕事をこなすのに精いっぱいなのです
では、事務の仕事はいつやるのか?というと現場が終わった17時~24時の間です
17時になれば現場が終わり、職人さんが帰ります
その後、誰にも邪魔されない状況下でようやく仕事に手を付けることができます
しかし、実際はそんなに甘くなく
・他業者との打ち合わせ
・社内会議
・上司からの説教
・飲み会
などまともに時間が取れないため、やることが後ろへ後ろへずれていくのです
そして後ろへずれていった結果、睡眠時間や自分の休みなどを削ることによってなんとか調整してやってきたというのが当たり前になってきます
この勤務形態が1日の労働時間を長くさせ、残業が多いと言われている実態です
また私の経験で書かせていただきますと
現場の繁忙期で月~土の間、朝6時30分~25時まで約3年間働いていたことがあります
仕事が終わらなくて仕事場で泊まったことも何度もありました
今ではよく体や精神が壊れなかったなと思っています
全ての現場がこのような労働時間になるわけではありませんが、自分の労働時間は担当することになった現場に全て委ねられるため、どうなるかは分かりません
少し前に高砂熱学工業の勤務時間がやばいということで一時ネットに上がっていたことがありました(私は一切関係ありませんが・・・)
まとられているサイトがあったので、URLを載せておきますhttp://netgeek.biz/archives/91882
これが本当かどうか信じるかは読む人次第ですが、これがツイッターで回ってきた時は、自分の業務スケジュールに似る部分が多くて、謎の共感を感じたこともありました
また、仕事をしすぎるとどうなるのか?といえば、浮かび上がってくるのが過労問題です
参考にこの動画を載せておきます
https://www.youtube.com/watch?v=krgHh98_ytY
これは新国立競技場の現場において監督が過労で精神的にも肉体的にも追い詰められて命を絶った設備事故です
この現場のゼネコンである大成建設も発注者側とのやりとりの中で変更や工期遅れがある中でも決められた工期内でなんとか完成させなければいけないという状況があるので、どこの会社が100%悪いと決めつけられませんが、業界的にこういった労働状況にならざるを得ない、仕方ない雰囲気、空気があるのも事実です
今回、新国立競技場という誰もが知っている建設物において、このような事故が起きたためニュースにも取り上げられていますが、現実的な話をしますとなかなか浮かび上がってこないケースが多いです
私個人としてはこのようなことは絶対に起きないように業界が真剣に取り組むべき問題だと感じています
現場監督の仕事については俺たち天下のゆとりーマンさんの【建設業】現場監督(施工管理)の仕事をするとどうなるのか?https://www.youtube.com/watch?v=sNw-viXieuk
が非常に分かりやすいです
この動画を見たときにあまりにも再現性が高くビックリしてしまいました
また労働時間が多くなってしまうのは
やることがとても多いのに、業界自体に人が少ない
といったどうしようもできない環境が非常に多いため、頑張るしか他ありません
7.急な変更に対応しなければいけない状況が多い
現場仕事は急な変更・調整事項が多々生まれます
例えば
設計や施主から「壁の仕様を変更したい」などといった指示が多々あるので、その都度現場に情報を共有しなければいけません
(職人さんはその変更内容に合わせて作業を調整しないといけないのでもっと大変な場面がありますが)
また「計画書や見積書を明後日までに出してくれ」などといった期限が急すぎるものもあるため、なんとか間に合わせるために寝る間も惜しんでやっていたのを今でも覚えています
細かいことで言えば
・提出している書類のここを直してくれ
・材料が足りなくなったからあれをすぐに注文しろ
・この前注文した材料はいつ現場に来るのか今すぐに確認して報告しろ
などいった細かいものまでたくさんあります
逆に職人さんから「この工事はこのやり方でやりたいから作業変更して良いか確認してくれないか」と言われたことも多々あります
言われるタイミングは大体その工事を行う直前かやっている時に言われるので、職人さんの仕事を止めないために急いで客先や元請けへ確認しに話に行かなければならず、現場の中で一番大変だった記憶があります
そして次に面倒なのは日程変更です
一般的に工事は工程を組んで作業を行うので、関係のある業者には事前に連絡し、作業日に来てもらう形になっています
例えば、通行停止にして行う道路工事にしても
警察に作業許可を出す必要があるし、工事案内看板や周辺地域にチラシなどでお知らせを配るなど
現場において段取りが8割とよく言われますが、その通りで工事をスムーズに行うために非常に準備に時間を割きます
なので、その作業の日程がなんらかの理由で変更となった場合、関係のある業者全てに連絡をした上で改めてスケジュールを確認し、足並みをそろえて再度調整することが必要になってきます
分かりやすい変更例で言えば
雨でコンクリートやアスファルト舗装工事ができないから、日程がずれる
というのが挙げられます
そうやって現場で変更というのはよくある話なので、急な変更に振り回されることの多い現場監督は自分のやらなければいけない仕事が一向に終わらないという状況に陥ります
現場監督という言葉は聞こえはいいですが、本当に良いように使われる職業だと気が付いたのは後になってからです
8.休みの少なさ
現場監督(施工管理)の仕事は基本的に週1休みが当たり前です
むしろ週1休めればいい方です
基本的に週1休みが当たり前というのはなぜか?
3つの大きな理由があり
・工程がスケジュール的にキツイ
・人不足で仕事が捌けない
・現場や職人さんの動きに合わせるので休めない
この3つになります
工程がキツイというのは
現場というのは完成日(竣工日)が決まっており、何があってもその竣工日までに完成させないといけないため、何がなんでも工事を終わらせないといけません
なので、多少無理をしてもしょうがないという認識が広がっているのも事実です
実際、建物の竣工間近になると週1の休みもなくなり、仕事優先という状況になり、結果的にほぼ1か月近く休めなかった時期も多々ありました
今では大手ゼネコン会社を中心し、労働環境の見直し、改善と称して
週休2日にしよう、月に土曜日を2回全休(お休み)にしようという目標を目指している(実際はできていないのがほとんど)ような状況です
正直、会社が悪いわけではなく、建設業という業界がそもそも「週1休みは普通、当たり前」という常識の下で成り立っているため、受け入れるしかありません
これには業界全体の雰囲気というより、そもそも工期(スケジュール)期間が規模の大きさに釣り合っていない現場が多いからです
また世間的にはGWやお盆、年末年始などの大型連休や祝日はお休みですが、現場にはそういうルールはありませんので、全て現場のスケジュールによって休みが決まるため、現場によっては1週間の中でどこか1日が休みというのが当たり前です
次に人不足というのは、業界的に現場監督が少ない、いないということです
業界的には言えば、新卒での採用人数は結構採っていると思われますが、仲には私のように辞めていく人もいるし、何より業務範囲を全国展開している会社が多いので、エリア一つで見ると慢性的に人数が足りないというのがあります
また建設ラッシュやテナント改修など建物が多い分、仕事は発生するので全体的な人数と仕事数のバランスが取れていないことも見受けられます
そして会社的に上の役職に就くと、現場に出ることはなくなるので実質現場から卒業になります
そうなると、ベテランの経験者がいなくなっていくので、現場監督の人数も減っていくことになるのです
もう一つ言えることは、大規模現場に人数を取られるというのがあります
再開発事業エリアや高層マンションなどのような、完成までに何年もかかる現場というのは人数を多く入れないと終わらないので、どうしても全体的なバランスが悪くなります
例えば、1人1現場という考えで、事業所に10人現場監督がいるとすれば
1人1現場で対応できる現場が10つあれば、1人ずつ投入すれば対応できる
5人1現場対応しないといけない現場が1つあって、残りが1人1現場対応できる現場だとすれば、全体的に言えば現場6つしか対応できない
ということです
もちろん受注金額などは規模によって変わってきますが、大きい現場を何年もかけてやるより、短期間で終わる現場を数こなしていく方が利益が出る上、客先の幅も広げることができます
そして休めないというのは
基本的には1人1現場が当たり前で、経験を積むと複数の現場をかけもちするようになるからです
例えば、現場が月~日毎日動いている現場だとしても施工管理の担当者が複数いれば交代で休みを取ることは可能ですが
実際は人材不足により
・1人で現場を任されることがほとんど
・なんなら1人で複数の現場を任されることも普通
であるため、休めないのが本音です
極端な例ですが
Aという現場が月~金動いているとして
Bという現場が土、日動いていればフルで働くことになる
という状況が生まれ、1週間まるまる現場に出ることになるので必然的に休みがないという状況になります
また自分の担当現場で手一杯、忙しいのにもかかわらず、誰かの現場の応援にも行く可能性があるので、自分がGWや年末年始が休みだったとしても、「~の現場で人が足りてないから応援に行ってくれ」と言われたら休みはなくなるわけで、決して自分の現場が休みだからといって安心はできません
また例えば毎週の日曜日は休みだと決まっていたとしても、工期に間に合わないから現場が動くということもありえるし対応する必要があるため、必然的にプライベートのスケジュールも組みにくいのです
また現場が動いている以上、出勤はしなければいけないので
代休、有休を取れることなんてほぼありません
ちなみに厳密に言えば祝日も全然現場は動くため、カレンダー通りではありません
先ほど大型連休について触れましたが、休めたらラッキーだと思う方が気が楽です
また特に改修現場に多いのが、急に仕事が入る可能性があるため、余計に休めません
例えば、金曜日の段階で、たまたま土日が休みだったとしても
客先から
・~を追加したいから工事をやってほしい
・現地調査してほしい
と依頼が来て、急に現場対応をしなければいけない時が発生します
そうなると休みであっても、仕事で現場に出なければいけなくなってしまいます
先ほども書きましたが、代休はとれない上、残業代も上限が定められているので、出ただけ損になります
この他に言えば現場のアフター対応もあります
仕事に長く携わることになると、自分の担当した、納めた現場の数が多くなってくるわけですが、そうなればどこかの現場で何か不具合があったときに、客先から電話がかかってくる可能性がぐーんと上がります
その時の連絡は大体急に対応しなければいけないことがほとんどです
例えば
リース品のコピー機が調子悪いから、リース会社に電話してすぐ対応してもらう
のと同じです
私の場合は、マンションやビルなどの新築工事も担当したこともあるので
数年経ってから建物の管理人さんから
「~の機器の調子が悪い」
「〇〇号室の居住者の方から~が動かなくなったから見に来てほしい」
など連絡がきたことがあります
その連絡を受けたら早急に対応しなければいけないので
自分の現場が土日休みだったとしても、土日にアフター対応する
ような現象も起きます
何度も言いますが当然代休は取れません
また休めない理由の一つに職人さんの動きに合わせるというのもあります
現場監督と職人さんの決定的な違いは給料形態です
現場監督は会社のサラリーマンなので月給ですが、職人さんは働いた分だけお金がもらえる日給なのです
つまり、職人さんにとって休みが少なかったとしてもお金をもらえるという状況なのですが、サラリーマンにとってはサービス残業となるので、全然美味しくありません
学校の先生でいう
部活の顧問になった結果、給料は出ないけど部活の練習や大会などで土日が埋まり、まともに休めない
といった状況と非常によく似ています
つまり付き合い出勤みたいな現象が起きるということです
さらに言えば、現場自体は全体で見れば月~日までどこかの現場がフル稼働しているため、上司や客先、職人さんなど誰かから電話がいつかかってくるのか分かりません
いつかかっても出られるようにしておくという状況は
気持ち的に休まることはないですし、休んだ気にもならないのが現実です
9.体が壊れる
建設業は体が壊れます
現場監督はもちろん現場にも出るのでくそ暑い日でも、寒い日でも関係なしに現場が動いていれば出なければいけません
また職人さんと違って十分な睡眠時間も取れていない上、ストレスもフルに受けている状態です
体における肉体的な部分と精神的な部分の両方がやられるので、現場監督という仕事を長く続けている人は鉄人、超人なのかと思うくらいです
また基本的に休みが少ないと疲れが取れません
週1の休みであっても、休みの日に次の日が仕事なので、色々考えたり、不安が残っていたり、もしかしたら会社や現場から何か連絡が来るかもしれない・・・など仕事のことを忘れる時間がないので、休まることがないのが事実です
勤務時間帯でいえば、夜勤→そのまま日勤など1日ぶっ通しでやったことも何度もありますし、日勤→事務仕事が終わらない→そのまま日勤をやったこともあります
夜勤→日勤→夜勤というのも経験したことがあり、一体何のために働いているのか全く理由が分からない時もありました
そして必然的に1日辺りの睡眠時間もかなり短くなってくるので、集中力は切れるし、仕事は進まないし、仕事中の日中でもたまにぼーっとしてしまう時もありました
そんな生活をしていくと、日常生活にも支障をきたすようになり、食生活もかなり偏るようになります
仕事終わりに夕食をとるということは、夜遅くまで営業しているお店へ行くことが多くなるので、夜中にラーメンや牛丼などカロリーの高いものを好んで食べるようになり、身体は疲れてエネルギーを欲しているので、平気で大盛を食べるようにもなり、一時期体重がものすごく増えたこともあります
それらを経験して私は今でも建設業で現場監督を続けている人は続けているだけですごいと思います
10.提出する書類が多すぎる
現場監督は提出する書類がとてつもなく多いです
・工事する人間の身元や内容に偽りがないか証明する安全書類
・資材を注文するFAX用紙
・建物の仕様や計画を行うために作られる設計図
・現場を完成させるための情報を盛り込んだ施工図
・作業前に十分に準備や計画がなされていることを証明する施工計画書
・作業の手順をまとめ、その通りにやっていることを証明する作業手順書
・作業のやり方をまとめ、その通りにやっていることを証明する施工要領書
などといった具合に一つ一つにかかわる仕事に対して、記録を残こさなければいけないため、必然的に書類が多くなります
施工手順書や施工要領書などって実際に作業する職人さんがどうやるのかで変わってくるのでは?という話がありますが全くその通りです
なのに工事経験のない現場監督が資料を作るという謎現象が起きている書類がとても多いので、処理に時間もかかるし、苦労するポイントの一つです
1つの現場が終わるまでにコピー用紙を何千枚使ったか分かりません
また現場が新築やマンションなどの場合は更に書類が多くなります
・建物に使用されている設備が正しく問題ないか証明する試験成績書
・初めて入居される方へ向けた各機器・設備の取扱説明書
・管理人さんがマンション管理・運用するための簡易説明書
などがあります
これらは客先、元請け、管理人さん用、何かの提出用、自己保存用などだいたい各4部以上必要であり、全て印刷してA4の5~10cmのキングファイルに納めて提出します
また取扱説明書については客先などへの提出用とは別に各部屋毎にも必要なので、部屋の数だけ用意されているキングファイルに順番通りにクリアポケットに入れていく作業があり、竣工間際になると朝から晩遅くまで缶詰作業で手作業で詰めることもしていました
部屋の数が数百単位だとするとそうとう時間かかるのが想像できると思いますが、それらをずっとやっていました
11.残業時間が多く、仕事と給料が割に合っていない+解消されない状況
先ほどお話しした通りなぜ残業が多いのかは
・1人当たりに行う業務の量が圧倒的に多い
・現場に合わせて出勤するため
これらに加えて、代休、有休が取れないという現実があります
1人当たりに行う業務の量が圧倒的に多いというのは業界全体的に人材不足だからです
全ては現場や仕事優先のため、現場が終わるためにいくら膨大な量の仕事があっても終わらせなければいけません
誰かに相談することもできないし、助けてくれるわけでもない
まさに自分との勝負です
一つ例外があって、大規模な現場ではさすがに一人ではできないので、部下などチームを組んで仕事を行う訳ですが、自分でやった方がいい、早いという現状に遭遇してなかなか仕事を振るのも苦労した経験があります
またチームでやると個々の仕事量が違ってくるわけですが
例えば自分の仕事が終わったのに、上司がまだ仕事してて帰ろうとしたら
「なんだもう帰るのか」
「上司を置いて帰るなんて冷たいやつだなあ」
(実際言われた言葉です)
など帰りにくい雰囲気を作ってくることもあり、付き合い残業が多いです
なお、残業代はもちろん全て出るわけではなく、ほとんどサービスになります
そしてもう一つ残業が多くなってしまう原因があります
それは遅い時間でも平気で電話してきて仕事をお願いしてくる奴が多い
ということです
例えば
仕事が早く終わって、珍しく定時で帰れそうだなと思っても、上司から電話がかかってきて
「~の件、対応してくれ」とかかってきて急遽対応することになったこともあったし
客先や元請けから夜勤でもないのに23時、24時に電話かかってきて
「~はどうなっている?」
「~はどういうことですか、教えてください」
みたいなことも結構ありました
普通に考えたらありえない話のように聞こえてきますが、実際他人の勤務状況や業務時間に対してそこまで気を使える余裕はないので、こういうことって多いです
もう建設業で仕事している人は、みんな手一杯で人を気遣うような環境じゃないんだなと思っています
なので現場監督の仕事は残業が多すぎて割に合っていないのが現状です
また現場監督はフリーランスや芸能界と違って、サラリーマンなので月給の世界です
残業が多ければ結局サービス残業となり、費やした時間は全て消えます
給料が割にあっていませんし、時給換算したら時給数10円くらいになります
また自分がいくら頑張って成果や利益を上げたとしても自分の評価に直接的につながることはないし、できて当たり前の世界なので見返りを求めること自体無意味です
12.給料は良いがサービス残業満載
ここで給料についてお話しします
建設業界で言うと施工管理の給料は一般的より高くもらえます
ただし高くもらえるのにはカラクリがあります
それは
圧倒的に残業時間が多いこと
にあります
私の場合、月少なくて80時間の残業時間がありました
一番忙しかった時期では朝6時頃~終電まで仕事をしたといった月200時間以上の残業生活を何年も続けていたこともあります
なので年単位で計算すれば
月80時間すれば年間960時間残業
月200時間すれば年間2400時間残業
したことになりますので、残業代が年収へ単純に上乗せされているわけです
ただ残業代をもらえるといっても全ての時間がもらえたわけではないので、トータルの半分以上はサービス残業になってました
また指定された資格を取得すれば、給料や自己の成績にもアップするので手当込みで30歳年収600万以上は夢ではありません
これらはたとえ未経験であっても続けていれば続けるだけ給料は上がっていくのでお金が欲しい人にとっては良いのかもしれません
ただ先ほど申し上げた通り、サービス残業はそうとうあったので、年収が良いというのは聞こえはいいですが大切な時間を失い、精神的にも肉体的にもやられているのが事実です
13.精神的に辛いと感じる部分も多い
現場監督の仕事をやっていて精神的につらいと感じてしまう原因は
・他業者との絡みがものすごく多い
・職人さんとの絡み
・人不足による1人への負担の大きさ、評価されず失敗ばかり責められる
・現場が変われば人も変わる
・休みでも休めない
ことです
他業者との絡みがものすごく多いことについては
私は現場監督でしたので、取引先や関係する業者が何社、何人もいます
その中で円滑にスケジュールや進捗をスムーズにするために管理をしていくわけですが
当然、人間が作業してやることなので必ずスケジュールから遅れます
例えば建物を作るにしても
地盤固めて、コンクリート打って、鉄筋敷いて、型枠作って、コンクリート流しこんで・・・
と多くの業者が一つの現場にかかわっていくことになります
そこで例えば鉄筋屋が「人が急に来れなくなって10人から5人になった」
となれば、当然1日当たりの作業量が減り、進み具合も半分になってしまうで
3日で終わるものも6日かかってしまうということです
そうなってくると全体的の工程スケジュールに影響してくることになり、その都度調整が必要となってくるのです
また結果的にスケジュール通りに進んだとしても、工事は機械のようにきっちり終わるわけではないので、日々の打ち合わせでいつ終わるのか?作業して良いのか?を確認しなければいけません
鉄筋屋から「来週までには作業終わるから、作業終わったからもう入っていいよ」と教えてくれるわけでもないので、自分たちで全て聞いて情報を把握し、職人さんへ伝達します
次に職人さんとの絡みです
新人の頃は何も分からない状態で現場に放り投げだされることになるので、知識や経験不足から当然迷惑をかけてしまいます
現場の施工管理というのは
・経験しているからこそ気が付くポイントがある
・知識があってこそ他業者と話してうまく調整できる
のです
しかし、知識や経験不足だからといって許されるわけではなく、いち早く自分が頑張れるか次第で変わってきます
また職人さんの特徴として
・自分より年が何十歳も上の人が多い
・癖の強い人が多い
のが現実です
職人さんは50、60歳の人が非常に多いので、自分が新卒で入った新入社員22歳であれば、おじいちゃんくらい年が離れているということになります
なので毎日上司でない年上の人から
・文句を言われる
・罵声を浴びせられる
・若いから、現場経験がないから舐められる
という日々を送ることになります
また知識や経験がなくまともに話ができないので、私は毎日、毎回怒られてばかりでした
しかし、施工管理という立場上、管理できていないため当然の結果と言えます
仕事を円滑に進められないから文句や罵声が飛んでくるので、いかに自分が頑張れるかにかかっています
癖が強い人が多いというのは
職人さんは当然、今まで色んな現場を経験し、仕事をしてきた長年のキャリアがあるわけなので自分のやり方やこだわりというのがあります
しかし、現場によって様々なルールがあるため、やり方はある程度定められているのですがなかなかルール通りにやってくれない人も結構います
そこで自分が施工管理として、職人さんをうまく扱えるようになるかが精神的なつらさに関係してきます
人付き合いがうまくなければなかなかつらいのかもしれません
また人不足による1人への負担の大きさについては
例えば、自分の受け持つ現場に
職人が5人入っていれば
1人で5人の相手をすることになりますが
10人入っていれば
1人で10人の相手をすることになります
その状態が毎日続いて、10人から電話がかかってきたり、現場で呼び止められたり
とするわけなので、1日の中でかかわる人が多くなります
まさにお店でお客さんを相手している店員さんと同じです
しかもお客さんの層は、その業界にかなり詳しく、経験されている人相手
になるので、気を使う面も膨大になります
下手なこと言って怒らせると、作業をやらずに帰る職人さんもいるので、最悪の事態を避けなければいけません
また建設業界は建物を完成させるという結果が全てなので、いくらどれだけ自分が頑張ってきたとしてもそれらは評価になりません
逆に一つでも小さなミスでも起こせば、会社総出となるくらいの勢いで詰められるし、そのことばかり責められるのでまさにプロの世界のようです
仕事は結果が全てと言われればそこまでですが、基本的に良いことを見ず、悪い所ばかり見られるのはそういう環境なのだと思います
そして現場が変われば人も変わるということは
なかなか得意先を作れないということです
特に設計や施主、元請け、職人さんどれもとってもなかなかに個性のある人が多いし、色んな考えをもった方がたくさんいらっしゃるので一筋縄ではいきません
現場が終わる頃にようやくいい感じに進められたとしても、次の同じ人と仕事ができる機会が来るのはすぐなのか何年、何十年も後なのかは分かりません
逆を言えば様々な環境下で鍛えられるという点はありますが、総合力が試されるわけなので、難易度はグッと上がります
休みでも休めないについては次の項目で説明します
14.休みでも休めない
休みについてのときも書きましたが、全体的に毎日どこかで現場が動いているため、自分が休みであったとしても電話がかかってくるなどして対応せざるおえない状況に陥るのです
私は
・夜間仕事で昼間が就寝時間
・土日祝仕事のどこかの平日休み
という勤務形態を経験し、どちらも休みとは思えない経験をしました
夜間仕事については
当然、仕事終わりは朝になるので、そこから家に帰って寝るわけですが
他の現場や会社などは当然日中仕事をしているので
自分が夜間仕事をやっておうが関係なしに電話がかかってくる、メール対応するなどの業務に追われるため、寝る時間があまり取れません
また土日祝仕事のどこかの平日休みというのも
例えば自分が金曜日を休みにしていたとしても、他の人にとって金曜日は出勤日なので、当然電話もかかってくるし、急に「~までに出してください」など会社が事務作業を強要してくるときもあります
本当はどこの現場で誰がどういう勤務形態でいつ休んでいるのかを
会社が把握することで解消できる問題なのでは?というのもありますが
実際は色んな所で現場が動いている以上、一人一人把握できていないのが現実です
なので休みだけど、いつでも対応できるようにしないといけない状況を作ってしまっていました
これらによって常に精神的に不安定な状態に陥っていました
15.思考が洗脳される
ブラックと呼ばれる理由はもう一つあります
それは思考が洗脳されるということです
一つ目は
先ほどお話ししました、一般的に給料が良いという面です
「これだけ給料もらっているから頑張ろう」
と思うようになり、無理を押し付けられても「これくらい当たり前」になり、感覚が鈍ってしまうのです
またよく言われるのが
「終わらない現場はない」
というワードです
実際何か中止にならない限り、どの現場に行っても必ず終わるのは当たり前なので
ようは終わるまでは我慢してくれということです
「自分の受け持つ現場が完成したときに達成感を感じられる」
というのもよく言われます
親や友達、彼女に自慢できるぞと言われることが多いのですが
自慢した所で実際にどれだけ苦労したのか、頑張ったのか伝わらずに
「すごいね」だけで会話が終わるので、私自身は達成感を糧に仕事を頑張ることはできませんでした
16.得られるものはあるが激務に見合っていないように感じる
ここまで施工管理がブラックと呼ばれる理由についてさんざん書きましたが、当然得られるものもたくさんあります
それは
・早く仕事を覚えられる
・相手とのコミュニケーション
・直感
・資格等のスキル
・未経験でもできる
・責任のある仕事に関わることができる
です
人不足なので、管理職級の仕事(15年くらいの課長が担当する現場仕事)を入社してすぐに任されます
管理職級の仕事は「現場代理人」という立場に立って仕事をするということです
現場代理人というのは、いわゆる社長の代理として現場のリーダーとなって全体的な管理を任されるということになります
普通であれば、主任、課長クラスの人が現場代理人として第一線を走りますが
人がいないので「やってみろ」という一言で任せてもらえるのです
なので、未経験でもいきなり管理職級の仕事ができるため
覚えることも膨大ですが、仕事に対する知識や経験はものすごくスピードで経験できるので、早く仕事を覚えられます
ただ、注意点としては上司のフォローはほぼないということです
理由は「みんな忙しいから」です
1人1人が現場代理人としてリーダーで現場を回しているわけなので、フォローできる余裕はあまりないです
なので1人で早く仕事を覚えられ、成長スピードが早い環境があると言えます
次に相手とのコミュニケーションがあります
現場に出ると、職人さんの他、他業者、設計などお客さんと話す機会があり
自分が営業職じゃないかと勘違いするくらい、話す場面があります
なのでコミュニケーションが苦手だったとしても日々訓練しているようなものなので
自然と力がついてきます
また
Aさんはちょっとクセが強いな
Bさんは~が好きな人なんだな
Cさんはまともに話聞いてくれないから別方向から責めた方がいいな
など一人一人に対して察する能力もついてくるので、営業職より全然コミュニケーションをつけられるメリットがあります
次に直感です
仕事を覚えていくと、知識や経験から「あれ?ちょっとおかしいな?」と気づく場面が多くなります
周りを注意して見られる能力も付けられるのです
直感が働くようになると、色々な気づきを得られる場面も多くなってきます
資格についてご説明します
建設業の施工管理は、将来的に資格が求められます
専門職であるので資格がないと仕事の幅が広がらないためです
そのため、資格取得に対してはどの企業も力を入れている、サポートしてくれる面があります
実際、資格を取りやすい環境でもあるため、スキルアップにつながります
また~の資格を取れば評価される、手当てが付くなども充実しています
では仕事の入り口についてはどうなのかというと未経験でもできます
業界的に「やって覚えろ」スタンスが強いため、未経験でも色々な仕事を任せてもらえます
つまり自分自身で舵を取ってやってみるという業務環境が整っています
ここまで良いことを書きましたが、私自身としては激務だからこそ身に付けられたものも多く、色々な経験をしたことを差し引けばデメリットのように感じました
17.業界的に慢性的な人不足
次に人不足について、説明します
建設業界は慢性的に人不足です
3K(きつい、きたない、危険)と呼ばれるためです
・肉体労働部分もある
・埃まみれなど多数
・毎年どこかの現場で人が事故で命を落としている
であるため、そもそも3K環境で仕事したくない人が多いので
あまり人が集まってこないのもあります
最近はより改善していこうとする動きはありますが
業界的に仕方のないことだと感じています
では施工管理の業務が人不足なのに、なぜ成り立っているのか説明します
理由は「人材派遣会社から現場監督として人を呼んでいるから」です
人がいなければ外部から人を集める他ありません
そこで人材派遣会社から派遣社員という形で施工管理業務をしてもらうのです
しかし問題点があります
それは、経験のある人はほぼ皆無である=ほぼ未経験者しかいない=つまり素人
という点です
人材派遣会社に登録している人は若い人が多いので未経験者が多くなります
私も10人以上派遣の方と一緒に仕事をしましたが部下のように業務を1から教えることが9割9分以上です
また、派遣である以上、長く続けてもらえる人は少ないので
派遣の人が変わるたびに、部下のように業務を教えることから始まります
物理的には人は用意して人数的には埋まっているけど、戦力になっていない
のが現実です
そうなってくると結局下に就く人はいないし育たず、どんどん時間が無駄となり自分への負担も多くなるという負の連鎖が待っています
18.業界は明るい未来だが、覚悟が必要
業界としては明るい未来です
理由は「無くなることのない仕事」であるからです
建物がある以上、仕事は必ず発生します
例えば
・ワンルームマンションの需要が高いので、今後もマンションが建設されていく
・数十年前に建設された建物が老朽化して、補修工事がある
・お店やテナントが撤退や入居したら改修工事がある
・公共事業(道路の舗装、高速道路など)で仕事が約束されている
など建設業界はオリンピックの影響を受けることなくどこにいっても仕事はあります
なので、将来的に仕事がなくなることは全くありません
また人不足である以上、横領などよっぽど悪いことをしない限りは
クビにはなりません
さらに仕事を数年続ければ現場の知識や経験が増えてくるので、その人の能力や実績関係なしに現場を理解している人というのは貴重な人材に成長します
さらに言えば周りが勝手に辞めていくので比較的昇進しやすい環境と言えます
また現場経験のある人材は貴重であることは皆分かっていることなので、不景気による早期退職、解雇もほぼありません
そして給料もボーナスも良いです
また、未経験であっても、ちゃんとコミュニケーションが取れる人であれば断られることはほぼないので、仕事にやりがいを感じ、お金も欲しい人であれば敷居の低さもあり建設業界はおすすめの業界といえます
ただ最初はかなりきついと思います
それを乗り越えられて初めて業界は明るいものだと感じることができるでしょう
19.恋愛・婚活は難しい
恋愛・婚活はできるかといえば「一般的には難しい」と言えます
理由は「激務であるから」です
例えば、現場が新築マンション等の新築現場であれば
毎週日曜日休みは確約されているので、予定を合わせやすい上、動きやすいです
しかし、工場やテナントなど改修現場になってしまえば
交代制で休めることは可能だが、予定を組みにくい
ので、恋愛や婚活には向いていない状況になってしまいます
また、業界としても男性が9割9分なので、職場内の出会いはほぼ皆無です
合コンなど外部からの出会いが大体です
私の場合は、なんとか時間を作って婚活したことがありますが、現実は甘くなく予定が合わなくてダメになるケースも少なくありませんでした
20.結婚生活を成り立たせるのはハードルが高い
正直、相手次第な所もありますが
相手が、建設業界の施工管理という職業を理解してもらえる人であれば結婚生活は成り立つと思います
・勤務時間帯は夜間になることもある
・休みが合わないこともある
・休めないこともある
ことを相手が納得するかどうかにかかっています
当然、1日の中で仕事する時間が圧倒的に占めるので、家事に協力できる環境でもありません
私の周りにも家庭を持った方が何名かいましたが
土曜日は息子・娘の運動会だから休ませていただきます
と申し訳なさそうに言っているのを見て、胸が苦しくなりました
実際、客先や同じ施工管理、職人さんの中には他の人に
「そんなことで休みやがってあいつは・・・」
と陰口叩かれてるのも何度も見ました
また実際に結婚生活が続かず、離婚している人も結構いるので
相手にどれだけ仕事に理解があり、我慢してもらえるのか?が結婚生活を継続するカギを握っています
21.怒号が飛び交う
現場は怒号が飛び交います
現場には様々な業者が入り混じって作業をしているため、うまく調整できないことも多々出てきます
今でこそ少ないですが、他業種の職人同士で喧嘩したりもあったそうです
どちらかというと今は職人さん→現場監督への怒号が多くなっている印象を受けます
これには理由があって
癖の強い人が多いからです
今まで色んな現場で長年やってきた経験があり、ベテランの域に達している職人さんにとって、まだペーペーの現場監督に色々指示されると
「俺は今までこういうやり方でやってきたからできない」
なかなか聞いてくれないこともあります
それも相まって、現場監督がちょっとえらそうに言うと
「誰に向かって口きいてるんだ!」
などと逆上される可能性もあるし、下手したら作業しないで帰られてしまうこともあるので、立場は上でも扱いは下であり常に下手に出ないといけません
上から物を言うかどうかということではないのですが
現場監督が職人さんをうまく管理できるかどうかにかかっています
22.絡みのある業者が多すぎて対応しきれない+覚えることが多すぎる+仕事を理解されない
建設業は一つの現場に様々な業者が集まり、建物を作るため絡みがありすぎて大変です
今回でいう現場監督(施工管理)という職業は大きく分けてゼネコン(建築)、サブコン(電気設備、機械設備その他)に分かれます
例えば
・自分がゼネコン(建築)の場合、関わりのある業者
電気設備(サブコン)、機械設備(サブコン)、大工、解体屋、鉄筋、コンクリート、左官、鳶、塗装、溶接、鉄骨、クレーン、墨出し、荷揚げ屋、植栽、土木、軽量、床、フローリング、ボード、パテ、クロス、キッチン、タイル(石屋)、家具、クリーニング、巾木、サッシ、ガラス、昇降設備(エレベータ、エスカレータ)、タワーパーキングなど
・自分がサブコン(電気設備)の場合、関わりのある業者
建築(主に大工、鉄筋、解体屋、コンクリート、左官、鳶、塗装、クレーン、墨出し、植栽、土木、床、フローリング、クロス、キッチン、タイル、家具、クリーニング、サッシ、昇降設備)、設備業者(サブコン)、電気業者(電気の職人さん(幹線、電灯、コンセント))、インターホン、火災報知設備、通信(テレビ、電話、LAN)、盤屋、電気錠、ITV、電力会社、外構、航空障害灯、警報、重量鳶、発電機、区画処理
・自分が機会設備の場合の関わりのある業者
建築(電気設備業者とほぼ同じ)、電気業者(サブコン)、空調、衛生、排水、スプリンクラー、外構、汚水、雨水、リモコンなど)
などパッと思いつくのを挙げてみました
(全てに関わったわけではないので、間違いや不足があるかもしませんがすみません)
これだけで相当な他業者との関わりがあるのが分かります
毎日これだけの業者と話をし、打ち合わせを行い、作業調整をし、絡みのある部分をピックアップし図面や工事に反映させ、連携していく仕事もあるのです
他の業界を詳しく知らないので、建設業だけではないと思いますが絡みが多いということはそれだけ対応することに時間をかけることになる=時間が足りない=忙しくなるということです
また建設業は覚えることがとてつもなく多いです
一番驚いたのは材料の数、種類の多さです
辞書並みの分厚さのあるカタログが何冊もあり、しかも1ページに細かく用途に応じた材料が載っています
職人さんのほとんどは工事で使う材料が欲しい場合、現場監督に言って注文してもらいます
しかし建設業で使う材料の多くは建設専門用語というのがあり、正式名称ではなく、ニックネームのような別の名前や略称で扱われるため、職人さんもどちらかというと別の名前や略称で伝えてくることがほとんどです
そうなってくると膨大な厚さのカタログから職人さんが欲しい材料とリンクさせて頭の中で情報を整理しないといけないわけです
私が入りたての頃は言っている意味が分からず、結局材料注文を間違えるなどのミスにつながり、職人さんからひどく文句や罵声を浴びせられるといった経験をたくさんしてきました
建設業に限った話ではないかもしれませんが、自分の仕事を覚えるだけでも大変なのに、それだけでなく絡みのある業者の仕事も覚えなければいけないのはある意味資格勉強よりも大変なのではないかと思います
また残念なことに現場監督の大変さをなかなか他の人に理解されにくいのが実情です
全ての人がそう思っているわけではありませんが
端から見たら職人に指示してぼーっと立っているだけの仕事と思われることもあるし、夜遅くまで仕事をしていることは知られることもないし、土日祝仕事していたとしても代休などで休んでいるんだろうなと思われる(実際は休みない)ので、建設業を知っている人でない限りはなかなか伝わらないのだと思います
23.必要な資格が多すぎる、取るのが難しい
建設業は専門的な仕事のため、国家資格が必要になります
建築でいれば
・1級建築施工管理技士
・1級建築士
・技術士
などの資格がなければ、現場を担当できないことも多々あります
なので毎年のように資格を取る事を会社からつつかれるわけですが
では実際、クソ忙しい状況の中で資格取得のための勉強はいつやるのか?というと
休みまたは睡眠時間を削る
ということになります
また資格の種類も多いため、必要なものを取ろうとするだけで
仕事と資格勉強のループを繰り返す
ことになります
一つ問題なのは、資格を取ること自体が難しいということです
国家資格のため合格率10%を切る資格もざらにたくさんあります
また資格を受験するにも1回数千円、1万円以上など決して安くありません
なので
仕事と資格勉強のループを資格取得するまでずっと繰り返す
お金もかかる
といった状況です
必要な資格なのに、なかなか取れない・・・といった矛盾した状況もあります
また会社によっては必要な資格がないと主任以上に上がれないといった弊害もあるため、どれだけ現場が忙しかったとしても資格取得のために日々勉強し、受けざる負えないといった背景もあります
24.現場が第一優先でプライベートは二の次
建設業では現場が第一優先です
第一優先となる理由は「現場の工期」が関係しているからです
例えば、年度が変わるタイミングを見越して3月31日に竣工する現場であれば、たとえ途中経過で遅れていることが分かっていても、工期延長はほとんど行われないため、現場側にしわ寄せがきます
そもそもなぜ計画段階から事細かく工程を組んでいるにもかかわらず工程遅れというのが起きるのかと言うと
・人不足(監督、職人共に)による進捗遅れ
・設計や客先からの急な変更による手戻り
が大きく関係しています
この2つの原因が一向に解決されることはなく、どこの現場にいっても工程遅れによるしわ寄せをくらっています
またしわ寄せをくらうと休みもまともに取れなくなり
最悪、新国立競技場のように過労でこの世を去る人が出てくるのです
ただ怖いと感じたことは、激務のあまり世間でそういう事故が出ているのにもかかわらず、目をつむっているというか見向きもしないというか、現場にいる人たちは何がなんでも現場を終わらせるんだ!という強い意志のもと仕事をされている方が非常に多かった印象を受けました
まさに倒れるでもしたら自己責任のような空気もありました
私もその空気に飲まれた一人で、皆が一つの目標に向かって協力し努力する姿勢はとても大事ですが、そもそも窮屈な状況を強いられている中での仕事は体によくないということを早く気が付くべきだったと今では思っています
またもう一つ現場を優先しなければいけないことは災害についてです
例えば台風が近づいている時は、現場に置いてあるものが飛ばないようにしっかり養生した上で、何かあった時のために待機しなければいけないしこともあります
仕方のないことと言えばそれまでですが、それほど仕事に捧げるくらいの覚悟がないと務まらないのだと思いました
25.頑固で癖の強いやつが多い
ハッキリ言いますが、どこの現場にいっても大体います
頑固で癖の強いやつが多いのは現場監督、職人さんどちらにもあります
私が会った中で
現場監督の癖の強い奴は
私が、作業手順書(工事をどのように進めるのかをまとめた書類)を提出した際に指摘を受けたときに感じました
それは、作業手順書の中で
~のときは、どういう危険ポイントがあるんだ
~のときは、どのように対応をするんだ
といった注意事項も書くのですが
指摘内容、箇所がまるで「息を吸ったときの危険ポイントを書け」のごとく
一つ一つの行動に対して事細かく書けというのです
もちろんどこで何が原因で怪我をしてしまうのか分からないことは理解していますが
その指摘を受けた結果、他の現場では10ページくらいでまとめたものを
指摘を受けた現場では50ページ以上もの超大作になって10回くらい提出してようやくクリアした
こともありました
しかし残念なことに
新しく買った電化製品の取扱説明書を1ページから最後まで時間をかけて何回もじっくり見る人が少ないように
職人さんに50ページ以上もの超大作の作業手順書を渡しても、誰も真剣に見る人はいなかった上、結局の所現場監督がいない間に自分たちのやり方で工事を進めているといったこともあるのが現実です
次に、職人さんの中で癖の強い人は
作業に対してこだわりが強い人が大体多いです
現場のルールや作業手順、施工要領などやり方はゼネコン(例えば清水建設、竹中工務店、大林組、大成建設など)によって多少かわってきます
なので、ゼネコンの決めているルールに沿って仕事をしなければいけないのですが
職人さん自体は何年も色んな現場で作業を行い、現場を納めてきた人たちなので
状況に応じて自分のやりやすいように作業する人がほとんどです
なので、立場が上だけど、作業についての経験の乏しい現場監督に
「~のときはこうやってください」
のように指示されたら、素直に聞いてくれない人も結構います
中には「俺は今までこういうやり方してきたんだよ!」と言われて
どうしようもできずに現場監督が目をつむるケースも多々あります
また、職人さんの方が現場監督より年をとっている人の方が圧倒的に多いのです
なので職人さんは、自分が現場監督といって
ポケモンでいうバッジを持っていたらトレーナーはなんでも言うこと聞かせられる
みたいな立場ではないので
職人さんといかにコミュニケーションをとれるのか?ができないと正直しんどいと思います
ただ面白いことにそういう環境に長くいてだんだん慣れてくると、なんとなく直感でこの人はこういう人だというような予想が立てられるようになるのはとても良い経験になりました
26.やりがいを見つけにくい+精神論が強い
個人的な意見になってしまいますが、現場監督はやりがいをあまり感じられませんでした
前の事項でもご説明しました通り
よく「建物が完成した時に、達成感を感じられる」といったことを
上司や周りの人達から言われてきましたが
現場監督は
・実際に手を動かしてものを作っているわけではないし
・どちらかというと雑用のように使われるし
・そもそも建物が完成する前に引き上げて別の現場に行くことも多い
ので、建物が完成したとき、仕事が無事終わった時の感覚がやりがいや達成感に直結しなかったのが率直な感想です
また上司からは「「俺がこの建物を作ったんだ」と自慢できるぞ」
とも言われてましたが、知らない人からすれば「そうなんだ、すごいね!」の一言で終わるし、人から感謝されることもないので、あまり共感できなかった自分がいます
結局は現場が終わるまではとにかく頑張れという精神論なんですよね
慢性的な人不足だけど仕事が膨大にあるので、社内でチームで忙しい人のフォローするようなこともありませんし、過去に仕事が大変だ、人を増やしてほしいと言っても、予算内で派遣会社から外注者(派遣社員)を増やすのは良いなどと言われ、根本的な解決にならなかったことが多々ありました
27.範囲外の仕事が回ってくる、無駄な時間を過ごす場面が多い
現場監督は範囲外の仕事が回ってくることは非常に多いです
例えば、検査での指摘や仕様変更など細かい現場対応が出たときに
細かい修正を職人さんに依頼しても、職人さんにとっても手戻りに変わりないので
「それくらいお前やっとけよ」と言われて、職人じゃないけどしぶしぶ作業をやることになり、慣れていない作業なので、時間もかかって自分の仕事が終わらないという状況を何度も経験してきました
なぜこういうことが起きるのかというと
検査というのは中間検査はあっても大多数が竣工検査といってほとんど完成してから色んな検査が多く行われるからです
職人さんにとっては現場が終盤で人をそこまでつぎ込まなくてもよくなると生活のため、お金を稼ぐために別の現場を掛け持ちしたりし始めます
掛け持ち先の現場が忙しくなるとなかなか抜けられなくなって、戻ってこれなくなるような状況が非常に多いのです
別の現場をほったらかしにしてまでこっちにきて欲しいというのはなかなか言えませんし、職人さんだって生活のために掛け持ちしているのは理解しているので、最終的には現場監督が職人となって代わりに検査の是正や作業に取り掛かるという事態になります
他にも
・職人さんの武勇伝をずっと聞かされて時間がつぶれていく
・打ち合わせの時間なのに、なかなか集まらない、遅刻してくる、平気で待たせる
など待ちの時間が非常に多いです
また現場においては特に新築の場合、検査関係がものすごく多いです
施主設計、建築、自社、消防署などの立ち合い、試運転、試験、客先への説明、マンションであれば内覧会の対応及び待機・・・
などがあり、1日待機していたけど何もしなかったようなこともありました
仕事の内の一つだと言えばそれまでですが、納め先重視なのでどうしても合わせる時間が多くなっているのも現状です
ただでさえ、自分のやることを終わらせることでいっぱいいっぱいなのに、仕事が進まない、増えるという悪循環でもあります
28.働き方改革の影響は無意味
働き方改革というワードがなじみになってきて、理解されている方も多いのですが
働き方改革は2019年4月1日に施工された労働基準法となっています
が、建設業は例外で2024年4月までの5年間の猶予を経て時間外労働についての罰則が行われるため
実質5年間引き延ばしているのと変わりありません
恐らく東京オリンピックでのバタバタの最中で労働時間を減らすことは無理だと国が判断したのだと思います
つまり実際には働き方改革は2024年4月1日~建設業に働き方改革が適用されますが、正直ホワイトな環境になるのも難しいのは見え見えです
最近では、飲食店が「〇日はお休みにさせていただきます」など多くなってきましたが
建設業はそもそも工期が決まっている以上、休んでられないし、もし休んだとしてもしわ寄せがどこかで起きるので、こっそり裏でサービス残業は絶えず行われていると思います
また他の項目でも話しました通り、建設業に若い人が入ってこないため職人さんの数も減ってきているため、人不足を補うのは時間だけです
29.尻ぬぐいさせられる、しわ寄せをくらう
現場監督という立場は尻ぬぐいさせられる場面が非常に多いです
これには理由があって
元請け→1次下請け→2次下請け→3次下請け
という形で施工体制という組織が組まれます
なので、例えば
3次下請け業者である職人さんが工事中に誤って仕上げた壁に傷をつけてしまった
となれば、謝りにいくのは現場監督です
正直、何か悪いことをしたらやってしまった本人が謝るのが一般的なケースで
壁を傷付けた職人さんが直接壁を仕上げている職人さんの所にいって謝るのが普通なんですが(実際に謝りにいっている職人もいますが)
現場監督は、工事の全てを管理しなければいけない立場であるので四の五の言ってられません
早い段階で上司が部下の代わりに謝りに行くという経験を積ませてもらったようなこと
(現場監督と職人さんの会社は異なるので、厳密には違いますが)には感謝しています
また他のケースでは職人さんがルール通りに作業をしなかったり、不安全行動をとったりしたことで、客先や元請けから指摘を受ければ怒られるのは立場では上である現場監督の仕事です
次にしわ寄せについてですが
基本的に現場の工程は間違いなく遅れます
それは人間が作業しているからであり、あくまで工程表は予定表でしかないからです
となると自然に1日、2日・・・と全体的に工事の予定がずれてくるのです
でも竣工(完成)日は変わらないので、最終的にしわ寄せが来るのは現場側になります
最後の方になってくると普通なら1か月かかるような仕事を2週間とか1週間で終わらせないといけないような状況になることはどの現場にいっても変わらないと思います
30.他業者が立場を利用していじめてくる
現場監督は現場の中で偉いわけではありません
当然、客先からの受注で成り立っているため、客先の言うことは聞かなければいけません
となると設計や元請けは客先となります
とある現場でその関係性をよく理解しているからこそなのか
客先が私のことをいじめてくるということを受けたことがあります
このご時世にこんなのあるのかと思いましたが、約半年以上に渡りいじめられ続けました
これはなぜいじめられていたのかというと歯向かえない、逆らえない立場を利用してきたからです
現場を完成させる上で大切なのは建物も一つの商品ということです
客先が納得しないものを作っては意味がありません
そこで客先から無茶な要望や重箱の隅をつつくのようなことをさんざん言われ、大勢のいる中でしょうもないことで悪者みたいに吊るし上げられたこともあります
そのほかにも
・ちょっとしたことでつっかかってくる
・大声出してキレてくる
・子供みたいな俺はもう知らんぞみたいなことを平気でやってくる
・現場で会ったら用もないのにこっちに向かってきて余計なこと言ってくる
・電話で何にもないのに呼び出してくる
など被害を受けているのに逃げ出せない状況の中でずっと仕事をやっていました
正直、今だから言えますが
仕事だから仕方なく、会話もしたし、指示やいちゃもんにも対応してきましたが
仕事でもこれ以上絶対にかかわりたくない人間の一人だと思うくらいです
後日談で、客先の別の方から
「あのときのあいつの態度は悪かった、あいつは社内でも手を付けられなくてああいう奴だから・・・」
と謝ってきていただきましたが、同じ会社の人でも手の付けられない癖のある人間がいるということを初めて知り、理解しました
昔の体育会系のノリか分かりませんが、私は一生その人を許すことはありませんし、言葉を交わすこともないでしょう
この記憶は今でもはっきりと覚えていますし、今でも思い出すと苛立ちが止まりません
人によっては人間として扱わないような横暴な態度をとってくる人間がいるということを知っておいてほしいです
このように今の言葉でいうパワハラ等にあたってもおかしくないことはたくさんあります
体育会系の人も多いので、指導だと思って平気で手を出してくる人もいますし、なりふり構わずやってくる人もいます
もし自分がそのような状況に入ってしまったら、目をそらさず、耐えずに行動すべきだと考えています
31.飲み会が多すぎる
建設業は飲み会がとても多いです
理由は
業界自体、お酒が好きな人が多い(お酒飲んで発散してる)
付き合いのある業者が多くなる
からです
例えば、新築マンション現場の場合であれば
現場監督とかかわりのある人たちは
客先、設計、オーナー、協力業者、下請け業者、取引先の資材業者・・・
など指で数えきれないくらい多いです
なので、普段からでも定期的に飲み会は開かれる他、年末になれば忘年会と称して
毎日ように飲み会がどこかで開かれるということもありました
そういうこともあってか、建設業は飲みが好きな人が多く、飲み会に行く人が多い傾向にあります
32.経験側が優先される
建設業では経験則が優先されます
例えば、〇〇の作業を行うときに
今まではAというやり方でやってきたが、今後はBというやり方で進めていきたい
と思ったとしても、ベテランの上司や職人さんの今までの経験が大きく優先されるので、なかなか新しい手法、施工方法が採用されにくいのも現実です
なので、実際には全く進歩なく、効率が良いか別として今まで通りのやり方で進めるといったことが普通に起こるので、一向に効率よくなりません
また客先や元請けにもなかなか納得しない人がいれば、どれだけ効率の良い、安全な施工方法だったとしても客先や元請けの中で一番効率の良い、安全だと思う工法が採用されてしまうので、承認や許可をもらう段階でストップがかかることもあります
33.1日の電話が非常に多い
現場監督をやっていると電話すること、回数が格段に上がります
それは絡みの業者が非常に多いことと急な変更にも迅速に対応しなければいけないからです
例えば
・材料業者からの荷受け連絡
・各職人さんからの連絡
・元請け、設計からの連絡
・上司、部下からの連絡
・他業者、協力業者からの連絡
・会社からの連絡
など何かあるたびに連絡がかかってきます
電話の方が伝わるのが早いですし、携帯電話持っている人がほとんどなので活用されるのはものすごく理解できるのですが、たくさんかかってくると自分の手が止まって仕事にならないんですよね
私の場合、1日40~50件以上電話かかってくることがほぼ毎日だったので、数分おきに電話して色んなことを対応していました
途中から電話恐怖症というか、着信音が怖くなりました
今でもちょっと電話することが怖いです
34.立場が下の人達に偉そうになる
ゼネコン、サブコンなどの施工管理職(現場監督)って日頃から客先、施主や設計など上の立場の人たちの要求や指示を聞いて現場に反映させ、よりよいものを作っていく仕事をしているのですが
上からの圧力なども少なからずあって多少無理しなければいけないことって結構出てきます
現場監督をやっていて感じたのは、追い込まれるほど自然に自分より下の人達に偉そうになるんですよね
自分たちが上から無茶な要求や変更をされているように、自分たちも下の立場の人たちに無茶な要求や変更をするようになるんです
例えば、マンションを建てる時だって、様々なメーカーが入っています
扉もトイレもキッチンなどそうだし、色んなメーカーが現場に機器を納めています
現場監督はその納めてもらっているメーカーに対して、急な変更をかけたり、納期的に~日までに承認もらえないと製作に取り掛かれないメーカーの状況を知っておきながら、なかなか製作承認を出さない、打ち合わせなどの際にもメーカー側の社員の人達に横暴な態度を取る、契約金額よりも安く値切ろうとするなど、対等に扱わない人は結構います
世間一般的な例えにすれば
スーパーの店員さんに買い物にし来たお客がいちゃもんつける、売っている値段から値段を下げるように要求する、商品の中で求める機能がや効果がないから変更するように言う
など、なかなかひどいものだと思います
しかしながら、建設業の世界に入り、現場で仕事をするようになると、それが当たり前というか暗黙のルールになっているというかやらざる負えない状況ですし、立場が下の人達も仕事がなくなれば、利益も出せなくなってしまう恐れもあるので、従うしかないような環境はなかなか改善されないと思います
ちなみに職人さんは立場上、下請けとなりますが、現場では職人さんが上で現場監督は下になります
今は職人さんの数が減ってきていることもあり、頼める職人さんが少ないことや直接的に現場に影響を及ぼすため、強く言えません
それを言ってしまえば、メーカーや材料屋が納品しない、できないなどにより現場に影響を及ぼすことだってあるはずなんですが、なぜか現場監督はメーカーや材料屋などには強くなります
35.偉そうになると私生活にも影響してくる
施工管理(現場監督)が下の立場の人達に対して、偉そうになってくると自然と自分自身の考えや性格にも影響を及ぼしかねません
人って不思議で、自分はそうはならない!と思っていても長く環境にいれば、その環境に結構影響されます
私自身、何かちょっとでもうまくいかないことがあったり、予定通りに進まないことがあったりすると、上から見るような態度をとっていたことも多少ありました
今は建設業界から離れ、そういうことはなくなりましたが、当時は全然自分でも気づいてなかったと思います
これは建設業界に限った話ではないと思いますが、仕事というものは人生の中で半分以上を占めるものなので、仕事との付き合い方や自分自身に合う、目指したい環境というものはよく考えた方が良いと思っています
最後に
私は現場監督(施工管理)という仕事をやめてしまいましたが、やってみて感じたのは学んだことも多いし、得られた経験はどれも大切なものばかりです
また私自身、建設業及び施工管理という仕事をやっている人がいるからこそ、古くからの建物が今でも問題なく使われており、今後も安全な建物が増え続けていることに感謝しておりますし、これからも忘れないようにしようと心に刻んでいます
施工管理がブラックといいましたが
忙しさで言えば、芸能界もテレビ業界も飲食店も医療関係も自衛隊もその他もろもろ他の業界の仕事でも忙しいし、やることはたくさんあるし、残業も夜間など勤務時間も勤務形態も様々です
なので、色んな環境で仕事している人がいる以上、一概に建設業だけがブラックというより、こういう実態がありますよというのを知っていただければと思っています
第一に自分が本当にやりたい、好きな仕事であれば考え方、捉え方、価値観など変わってきますし、達成感を感じられる、納得できるものであればブラックではありません
でもどんな仕事においても自分の中で
「あれ?おかしいな?」
「なんかつらいな」
「思い描いている人生を送られていない」
「このままだと自分が壊れそうだ」
と感じたら資格や経験など身につけられるものを身につけて、さっさと転職してもいいと思っています
ただブラックな環境の中で仕事をしていると、本当にブラックな状況が当たり前だと思うようになって井の中の蛙のように自分で抜け出せなくなってしまいます
私自身、とある事情で現場監督(施工管理)から去ることになったときに
このまま続けたとして、人生の中で仕事を優先する環境だと、自分の思い描いた人生を送れなかったのでは?と思うようになったので、良い機会だったのかもしれません
自分の人生は一度きりです
耐えることが美とされている習慣は少なからずありますが、自分が何を持って生きることが大事なのか考え、自分で切り開いていくことをおすすめします
今回は自分が経験した建設業の現場監督(施工管理)という職業がどんな仕事なのか?フォーカスしてみました
建設業界について興味のある方への何かの役に立てればと思っています