【Appleの特許から想像する未来 第4回】Apple WatchとAirPodsで、人の「感情」が把握できる!?
Appleデバイスには連携機能があり、それぞれ単独では実現することが難しい機能を実現できるのが特徴です。
例えば、洗練されたデザインと利便性で世界中で人気のワイヤレスイヤホンであるAirPodsと、iPhoneやApple Watchとの連携についても研究が進められており、この小さなデバイスが健康管理ツールとしての新たな地平を開く可能性を秘めています。
今回は、ヘルスケア測定と関連するAirPodsの特許から、どのような健康管理が可能かについて考察します。
脳波と感情の動きを測定する技術
最初に注目したいのは、AirPodsを利用した「脳波測定」についての特許です。Appleの説明によると、AirPodsに電極を取り付けることで脳波の測定を可能にするとしています。
また、脳波だけでなく皮膚電気活動の測定も可能とされているため、ユーザーの感情の起伏や瞬間的なストレス反応を捉えることもできるようになるかもしれません。
すでに、iOS17やwatchOS10には「心の状態」との連携機能が搭載されています。ここに、感情の動きや脳波との関係性を分析して反映できるようになれば、「マインドフルネス」アプリの起動や「心の健康」のチェック項目の提案などといった機能が期待できそうです。
一方で、「心の状態」のデータは現状ではサードパーティー開発者には公開されておらず、このデータをヘルスケアアプリ開発に使うにはしばらく時間がかかることが考えられます。
特に、脳波のデータはさまざまな分野での活用が期待できますが、プライバシーを重視するAppleとしては、最終的にどの程度まで測定データをサードパーティーアプリ向けに開放するのかが気になるところです。
睡眠中の歯ぎしり検出と体温測定の精度向上
次に、AirPodsのモーションセンサーを利用した、睡眠時の「歯ぎしり」検出の特許についてご紹介します。
睡眠中に歯ぎしりをする方の大半は自覚がないため、症状の発見から治療までに歯に大きなダメージが生じることがしばしばあります。
こうした歯ぎしりの問題に対して、睡眠時にAirPodsを装着することで、早期発見や歯ぎしりの傾向を感知し、迅速な対処に移行することが目的とされています。
さらに、AirPodsによる体温測定の特許も公開されており、Apple Watch Series 8からの睡眠時の手首皮膚温の測定と組み合わせることで、より広範な健康モニタリングが可能になる見込みです。
ただし、就寝中にイヤホンを着用することは不快に感じる方も多いものです。
この問題に対して、AirPodsでは睡眠時にも違和感なく装着できるようにAirPodsの軸の部分を反転させ耳の中に収められるように形状を変化させ、装着感を改善する技術に関する特許が出願されています。
これにより、睡眠時の健康データ収集の精度と快適性の向上が期待できるでしょう。
将来、AirPodsに新機能を搭載するにあたって、装着感はもっとも重要な要素です。特に、睡眠時のデータをAirPodsで測定するためには不可欠な技術となっていくでしょう。