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【Appleの特許から想像する未来 第2回】ユーザーを見守るレーダーシステム

iPhoneやApple Watchなどのスマートデバイスは、コミュニケーションやエンターテインメント、ビジネスやヘルスケア管理などさまざまな快適さを提供し、今や私たちの生活に欠かせないものとなっています。現在も新機能の開発が進められ、Appleはさまざまな新しい特許を出願しています。

この連載では、そうした特許の中から、今後Appleデバイスに搭載される可能性がある機能と、それらの機能が私たちの生活にもたらす影響を探ります。

第2回は、「レーダーシステム」の特許について、Techチームマネージャーの早川 輝が考察します。

今回取り上げる特許:米国特許商標庁(USPTO)で2023年3月23日に公開された「レーダーシステム」に関する特許

※本記事で取り上げるAppleの特許は公開情報に基づいていますが、実際の製品に搭載されることを保証するものではありません。技術的な可能性を検討するための参考情報としてお役立てください。

肌に触れずに心拍数や呼吸数を測定できるテクノロジー

 Apple Watchは、心拍数や呼吸数などを計測するために「光電式容積脈波記録法(PPG)」を使用しています。この技術は皮膚表面の生体信号を計測するもので、低コストで日常活動を妨げないことから、多くのウェアラブルデバイスで採用されています。

 一方、Appleが新たに出願したレーダーシステムの特許では、「非接触」で生体信号を解析し、心拍数や呼吸数を計測できる可能性が示されています。

 そのため、現在のApple Watchに限らず、他のデバイスでもこのセンシング技術の活用や、「HealthKit」やiCloudとの連携が考えられます。

 例えば、iPhone、MacBook、Apple TV、HomePodなどのデバイスで、レーダーシステムを用いて「非接触」で生体信号を解析し、心拍数や呼吸数を計測することで、ユーザーの生理学的情報をより多角的に捉えられる可能性も生まれるでしょう。

 この「非接触で生体信号を解析する技術」として、「ミリ波レーダー」を使用した研究が注目されています。これはすでに日本国内だけでなく世界中で研究されており、市場に出ている製品もあるようです。

「見守り」による生活の質向上に役立つ可能性

 レーダーシステムの特許に見られる非接触の解析技術は、「見守り」用途での応用が期待されています。例えば、Apple Watchだけでなく、HomePodやApple TV、iPadなどを使用してユーザーの健康状態をモニタリングできれば、より包括的なヘルスケアサポートをAppleデバイスで提供できるようになるかもしれません。

 私たちアツラエが開発した「Personal Aile」は、すでに介護施設などで利用されていますが、このようなユーザーフレンドリーな技術の発展により、さまざまな生活環境やニーズに合わせたAppleデバイスの選定や組み合わせがより提案しやすくなると期待しています。

 また、対応するAppleデバイスの種類が増えることにより、それらの性能を活用するさまざまなアプリケーションの提案や独自のシステム開発も可能になります。そして、ヘルスケア以外の分野でも「QOL(生活の質)」の維持や向上に寄与することができるのではないかと考えています。