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【MEMO.12】あなたにもきっと、パンを分けてくれる人はいる

この間、大手町のコワーキングスペースで開かれた

読書会に参加してきました


課題図書は『夜と霧
第二次世界大戦の時、ドイツ軍によって

強制収容所に入れられたユダヤ人の医者、

ヴィクトール・フランクルによって書かれた本です


強制収容所に入れられた被害者の本は数多くあれど、

この本はとても不思議で、

中で見聞きしたことがとても淡々とした形で描かれています

また、初版と新版でテイストが違うのも特徴的で、

初版のものよりも新版の方が、

より著者が伝えたい形に落とし込まれているのだそうです


この本にはどんなことが書かれているかというと、

端的に言えば、体験記テイストの哲学書

と言ってもいいのではないかと思います


中での生活の悲惨さについて感情的につづるのではなく、

良いことも悪いこともありのままに記す


ただの被害者としての目線では冷静に描くことが難しい、

収容所の監視者たちの言動についても、ありのままに書いています


だから、ほかの本では書かれにくい、

監視者のおかげでピンチをしのげた収容者の話であったり、

病気に苦しむ収容者たちのために

自腹でこっそり薬を購入していた収容所の所長の話が

書かれてあったりもします


この本は発売当初、

著者の故郷であるオーストリアではまったく売れず、

重版されることもなく

そのまま本屋の片隅に置いてあるような本だったそうです


それが英訳されアメリカで出版されたことを機に広まり、

日本でも広がって今に至ったのです


この本が売れなかった理由の大きな理由は、

一言で言えば、「求められているものと違ったから」だそうで、

いかにドイツが、ナチスが悪いやつらなのか

ということを強調して書いていないため、

著者の地元では読まれても広がらなかったのです


なぜ、著者は被害者でありながらここまで収容所のことを

淡々と書くことができたのか、中での生活を描くことができたのか

おそらくそこにこの本が伝えたかった本当の思いがあるのだと思います


今回、この本について紹介しようと思ったのは、

ぼくのような若い世代が、

一度は読んでおいた方がいい本なのではないかと感じたからです


人間はどんな過酷な環境に置かれても、

夕日をきれいだと感じることができたり、

自分のパンをほかの人に分け与えたりすることができる生きもの


決して全員がそうであるわけではないけれど、

そういうことができる人が

ぼくらと同じように生きているということは、

とても希望を持てる話ではないでしょうか


どんなにつらいことがあっても、

苦しいことがあっても、

世の中ひどいことばかりじゃない


こんな自分にもパンを分け与えてくれる人がどこかにいる
そう信じられたら、それだけでちょっと気持ちが楽になると思うのです


この本に書いてあることの全てを

ちゃんと理解できたわけではないけれど、

同じ読書会に参加した人の言葉を借りるなら、

読む時読む時によって、

まったく心に残る言葉が変わるのがこの本なんだそうです。


だから、10年後とかに

もしこの本を読み返すことがあれば、

きっと今回とは違う部分が心に残るのでしょう


だからこそ、若いときに一度読んでおいたほうがいいのだと思います

これから長い人生を歩むうえで、ぼくたちが忘れちゃいけないこと、大切なことを思い出させてくれる本になるでしょうから

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