オーストリア帰国・日本語への執着

一週間ほど前に滞在研究先のイギリス・ダラムから帰国した。イギリス滞在中は私生活も研究も色々あったので、本当は逐一細かい気持ちを記録しておきたかったが、結局四本ブログを書いただけで終わってしまった。

研究については、短期の滞在研究で場所に慣れるのにも時間がかかるだろうし、研究手法も自分にとっては新しい分野だったので、そもそも目標設定を低めにしていた。なので特にストレスを感じることもなく目標を達成し、最低限必要なデータは収集できたと思う。データ分析はウィーンに帰ってからする予定だったので、コロナ禍にも関わらず頑張ったなと思う。私が頑張ったと言うよりはちょうどいい時期にイギリスに滞在し、ロックダウン時のような制限がなかっただけなのだが、ともかくそれも自分の運の良さということで。

計画していた研究プロジェクト以上に、自分の所属大学とは違う研究の輪を広げることができたのが良かったと思う。受け入れになってくれた指導教員の先生との仲が深めれたのはもちろんだが、ラボミーティングや講演会を通じて他の音楽関係の研究者と知り合いになれたこと、そして縁あって地元の人と交流できたりなど、かなり充実した滞在生活を送れたと思う。ヨークで一年修士をしていた時とは比べものにならないぐらい自分も社交的になったなと思う。

前のブログにも書いたように私生活では大家さんとうまく行かなくて予想していたよりも倍ぐらいの家賃代を支払うことになり、大学はサポートしてくれないので自腹を切った出費は痛かったが、自分の行動には一切後悔していないし、むしろ早く決断した自分を褒めたいと思う(まぁそういう決断ができるぐらい周りがサポートしてくれていたことに感謝)。五年以上外国で暮らしていて、今まで何も起こらなかったのがむしろ運が良かっただけかもしれない。とはいえ似たようなことは今後一切起こって欲しくないので、今回の経験から学ぶことはたくさんあった。

今回の滞在研究で一番成長を感じたのは、英語力を含めた総合的なコミュニケーション力かなと思う。先ほども書いたように昔ヨークで一年も暮らしていたのにほとんど社会的交流には参加しなかったし、なるべく人を避けていたが故に語学力も上達しなかったのだが、今回は博士課程で少しずつ鍛えた英語力のおかげで、昔の自分だったら考えられない研究(英語でのインタビュー)ができるようになった。

もちろんネイティブのように喋れるわけでもなく、初歩的な文法間違いもいまだにするのだが(一生すると思うのだが)、しかしまぁここまでよく頑張ったなぁとは思う。英語に対する恐怖感もだいぶ薄れてきたし、日常生活でもほとんど英語しか使わなくなった。

元々このブログを書くモチベーションが、日本語で自分を表現したいからだったのだが、最近はそう言う欲求がなくなってきている。特にここ半年ほどまずブログを書こうと思うことが少なくなった。それがブログの本数に反映されていると思う。以前は日本語が自分の中に飽和して、どこかに吐き出さなきゃ(でも喋る相手がいない)という気持ちでただひたすら考えたことを書き続けていたが、最近は忙しくて考えが溜まっていないのか、日本語に依存しなくなってきたのか、ともかく日本語を書きたい欲求が薄い。

とはいえ毎日日本語の記事を読んたり、動画を見たり、ポッドキャストを聞いたりしている。たまに日本語で会話することもある。生まれてから25年間住んでたわけだから一生忘れない自信はあるが、しかし母国語とはいえ使っていないと思ったように表現が出てこなくなるし、たまに単語も出てこなくなる。そして喋りたいとも思わなくなってくる(多分波があるけど)。

ブログに関しては、何でも削除癖のある自分がここまで続けているのが奇跡的なことなので、本数はともかく少なくてもたまに何か細々と書き続けていればそれでいいのかもしれない。というか外国で生きると言うのはそう言うことかもしれない。住んでいる環境に順応するわけで、その環境にないものは必然的に生活から消えていく。五年以上日本からは離れると自分が予想もしていなかったような人間になる。まぁ日本にいても自分は変わるに違いないのだが、今あるような言語的な違和感を感じることはなかっただろう。

今は無事オーストリアについて住居を転々としつつも、無事に一月から単身用のアパートを発見し、近くには市場があって来年からの生活がとても楽しみである。ドイツ語もまた勉強しなおそうかなと思っている。

以前コロナは続いているし、オーストリアは中でも極端にルールが厳しく、二月以降は特別な理由がない限りはワクチン接種が義務になったし、今週の月曜日からは他国からオーストリアに入国する場合は、三回目の接種が終わっていなければPCR検査の陰性結果の提出か隔離しなければならないという状態である。今後どんどんきつくなる気がして、ワクチンがあっても去年と似たような状況といえばそうである(去年よりはもちろんマシである、クリスマスマーケットもやってるし)。

来年一年はとうとうWrite-up grantという博論執筆のためのお金で生きることになるので、いよいよ卒業が近いことになる。ということで執筆と同時に仕事も探さなくてはならない。ヨーロッパに残りたいのだが、仕事がないかもしれない。まぁとりあえず試してみるしかないのだが。厄年は今年で終わるので来年はより良い年になりますように。