六月十二日@ブダペスト

朝ぐだぐだ寝てしまって九時ぐらいに起きる。十時からピアノのレッスンなので、急いで支度をしてバスに乗り込む。五分遅れで先生の家に到着する。ちなみに私の家から先生の家はバスに乗れば五分ほどの距離である。

今日はドビュッシーのベルガマスク組曲の第四番『パスピエ』の指使いを振ってもらう。まだプレリュードも弾けていないのにどんどん進んでいくのでついてくのが大変だ。別に先生がプレッシャーをかけてくるわけではないが、お金を払ってレッスンを受けているので効率よく技術を獲得したいという関西人根性である。少しだけアルペジオの練習曲も教えてもらって、この日は終了。

レッスン後、先生は犬二匹をつれてマーガレット島(ドナウ川に浮かぶ小さな島)に散歩に行くという。犬の名前はヘパとグレタ。時間があるなら一緒に来ない?と誘ってくれたので、ついていくことに。車で二十分ほどのところだが、道が混んでいて、先生は通る道を間違えた、ごめんと何度も謝ってくれた。別に予定があったわけじゃないから構わなかったのだが。

マーガレット島内の公園につくと、犬達は待ってましたとばかりに走り出す。おしっこをする。フンをする。自由だなと思う。先生は犬にボールを投げたりしながら、自分のピアノの話とか(先生はリスト音楽院の大学院生)、去年手術した病気のことなど話してくれる。あまり時間はなく、数十分歩いて車に戻る。ヘパはすぐに車に乗ったが、グレタは帰りたくなかったようで逃げ回っていた。

帰りの車の中でギリシャの移民問題やネオナチのことについて話す。先生はギリシャ人であり、この問題を身近に感じているからか、こういう話をよくしてくれる。私は聞くだけで何も答えることができない。日本ではこの問題にどう取り組んでいるのかなど聞かれないことを願う。

先生の家に戻った後、そのまま大学に行こうかと思ったが暑すぎて家に帰る。家に帰る前にマーケットによって野菜やお肉などを買う。今日は初めてお肉屋さんでお肉を買った。ハンガリー語が喋れないので、お肉屋さんで何かを買うのは結構ハードルが高いのだが、とりあえずどう見ても赤身の牛肉っぽいのを買う。500gって言ったけど「500kgか?」と聞かれて内心そんなわけないだろうとツッコむ。

帰ってから家でちょっと休憩した後、掃除機をかけ、床のフローリングのモップがけをする。ここのところ友人をずっと呼んでいたので中々掃除できなかったが久しぶりに心地よく綺麗に出来た。朝昼兼用でタイのイエローカレーを作る。ストウブでご飯を炊く。

そこから何をしたのが記憶がないが、おそらくひたすらマストドンで誰かと喋って夜になり、就寝というところだろうか。夜ご飯はフムス、きゅうり、カプレーゼ。カプレーゼの美味しさに目覚める。