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なにを食べるかではなく、誰と食べるか?妻とベランダで食べたブリトーの味

「最高やないかい」

妻はそう言うと、キャンピングチェアーに座って大きく伸びをした。

連休初日、午前11時。家の二階にある南向きのベランダにて。

ぼくらはポカポカと日のあたるベランダに、キャンプで使っているローチェアを引っ張り出し、手作りブリトーを口いっぱいに頬張った。

「これ、お店で食べたら1,000円くらいするよ?美味しいよ、これ」

妻にそう言ってもらえてすっかり嬉しくなったぼくは、きっとニヤニヤしているに違いない。

春の暖かな光に包まれて、ぼくは確かに存在する小さな幸せを感じていた。

なにを食べるかではなく、誰と食べるか?

結婚してしばらくの頃、ぼくら夫婦はエレベーターのない4階建ての古いマンションに住んでいました。

2Kの小さな部屋で二人で暮らしていたのですが、IKEAで買った二人用のこれまた小さなダイニングテーブルで、よく一緒にご飯を食べていました。

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(2012年11月18日 日曜日の朝ごはん)

その頃、よく妻と「なにを食べるかではなくて、誰と食べるかが大事だよね」という話をしていたんです。

社会人になって数年すると、接待でちょっといいお店にも行けるようになりますよね。

もしくは、会社の飲み会や食事会でも、上の方たちがいると、ランクの高いお店を選んだりします。

こういうお店の料理って、確かに美味しいのですが、妻と一緒にIKEAの小さなダイニングテーブルで食べた料理とは、まったく比べ物にならなかったなと思うのです。

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(2013年1月5日のお昼ご飯)

林伸次さんが著作「恋はいつもなにげなく始まってなにげなく終わる」の中でこんなことを書かれています。

ある広告代理店が『おいしいとなぜ感じるのか?』というのを調査したらしいんです。人が『おいしい』と感じる理由には、『①本来のおいしさ』『②その食べ物や飲み物が持っているブランドイメージ』『③それを味わう時の雰囲気』の三つがあると判明したそうです。(出典:「恋はいつもなにげなく始まってなにげなく終わる」

本来のおいしさは全体の3割で、ブランドイメージも3割、残りの4割が「それを味わう時の雰囲気」だったと、著作の中では書かれています。

レストランなどで食事をする時って、確かにこの三つのバランスのイメージだなって感じますよね。

ぼくの個人的な感覚では、「本来のおいしさ」が10点満点中10点であっても、一緒に食べる人がものすごく嫌いな人だったら、その食事の点数は0点に感じるなとも思うんです。

一方で、その食べ物の「本来のおいしさ」がたとえ10点満点中5点くらいだとしても、一緒に食べる人が自分が一番大好きな人ならば、その食事という「体験」は10点満点になると思うんですね。

食事は「体験」を楽しむもの

今年のゴールデンウィーク初日にぼくが作ったこのブリトーも、レストランで出されるようなレベルの美味しさではないし、テーブル代わりに椅子の上にお盆を載せていて、全然いい雰囲気もないけれど、だけど「妻と一緒に食べること」で、10点満点の食事になるんだと思います。

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妻が言ってくれた「最高やないかい」という言葉は、この「ブリトー」という食事に対する評価ではなく、ぼくら二人が、この時間、この空間を共有して、素敵なお昼ご飯を食べるという「体験」に対する評価だと思うのです。

子どもが生まれる前は、二人でちょっと凝った料理を作ったりしていて、その調理という過程も「体験」の一部でした。

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(2012年11月24日 土曜日のお昼ごはん)

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(2012年11月10日 土曜日のピクニックのために作ったお弁当)

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(2012年11月22日 DVDを観ながら楽しんだアボカドディップ)

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(9年前のゴールデンウィークの夜ご飯)

でも、子どもが生まれれば、そんな悠長に料理や食事を楽しむ余裕もなくなってきますよね。

育児や家事に追われて、単なる栄養摂取になってしまうし、なんならその栄養摂取すら満足に取れなかったりもする。

長男次男(双子)が1歳の頃は、コンビニで売っているチョコパンが家のいたるところにあって、妻とそれをかじりながら育児に追われていました。

彼らが6歳になった今では、「食事」と呼べるものを作れるようにはなりましたが、「食事を楽しむ」ことはなかなかできません。

だからこそ、たまの二人だけの時間だけは、そんな食事という二人だけの「体験」を、ささやかなものであっても、楽しみたいなと思うのです。

妻と二人で体験する「ささやかな食事」を通して、ぼくは妻との間に流れるあたたかな絆を感じることができるのです。

10年前と比べると、ぼくらを取り巻く環境も(子どもが3人も生まれるなんて想像もしなかった!)、ぼくら自身も大きく変化しているのだけど、自宅で小さなテーブルを囲んで二人で一緒に食べる食事の味は、その食事という体験の幸せは、今も昔も変わらずここにあるんだなと思うのです。

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