英語初心者が多読多聴だけを5ヶ月間続けたら、TOEICが440点から625点に上がった話
「君!そこの君!そう、君だよ。」
100人はゆうに入る大講堂で、英文法学の教授はたまたま前に座っていたぼくを指さした。
「副詞とはなにか、答えなさい」
高校で英文法をろくに勉強していなかった大学一年生のぼくは、冷や汗をかきながら適当な返事をした。ぼくの回答が終わるのを待たずに、教授はぼくの言葉をさえぎった。
「違う!副詞というのはだな〜」
当時、ぼくが何を言ったのか、教授がどんなレクチャーをしたのか今となってはさっぱり覚えていない。
でも、はっきり覚えていることは、その講義にぼくは二度と出席しなくなり、それ以降、英語が完全に嫌いになったということだ。
あれから20年が経ち、やっとぼくは英語嫌いを克服できそうになっている。
この記事では、英語アレルギー持ちのTOEIC440点だったぼくが、「多読多聴」のおかげで5ヶ月でTOEICの点数を625点まで上げることができた話と、多読多聴のおかげで「思いがけず手に入れることができたもの」について書こうと思います。
多読多聴との出会い
ぼくは「お勉強」のたぐいが本当に苦手で、今まで何度もTOEIC対策本とか英語文法書とか、何冊も買っては読まずに数年後に処分するというサイクルを繰り返していたんです。
本屋に並んでいる英語学習本を眺めていると、なんだかこの本を読めば英語ができるようになるのかという気持ちになって、つい買ってしまうんですが、勉強のための勉強をしているようでつまらなくなってしまうんですよね。
大学の「副詞事件」がきっかけで、ぼくは英語っていうのは文法やらなんやらの「お勉強」をしっかりやらないといけないのかぁ、辛いなぁと思ってたんです。
そういった「お勉強」が得意で好きな人もいると思うんです。まるでゲームのように勉強を攻略することに喜びを見出せる人もいますよね。ぼくの高校の同級生でもそういう友人がいました。
でも、ぼくはなんのためにするのかよく分からない無味乾燥な勉強が苦手で、高校の授業はしょっちゅうボイコットしては落ちこぼれ、大学のセンター試験は受験せずに途中で帰ってきてしまうほどでした。
英語学習もつまらない例文ばかりが並ぶ参考書を読む気にならず、かといって仕事で使う機会がこれから増えるのは間違いないので、どうしようかと悩んでいる時に、杉原健さんという英語コーチの方のnoteに出会いました。
杉原さんが毎日noteで書かれている、自分をさらけ出す感情あふれる文章がぼくは好きなのですが、それ以上に英語学習に対する執念に惹かれました。
杉原さんがおすすめしている「多読多聴」をさっそく試してみたのですが、これがぼくには合っていたみたいで、5ヶ月間でTOEICの点数を185点も上げることができたんです!(440点から625点に上がりました)
これは最初に受けた時の点数です。トータルで440点でした。
そして、5ヶ月後に受験した時の結果はこちらです。トータルで625点でした。
この点数の上がり具合がすごいのかすごくないのか分かりませんが、そんな人から見た評価はどうでもよくて、ぼくにとってはとっても大きな出来事だったんです。
英語学習中級者以上の方にはまったく参考にならないと思いますが、ぼくと同じ初心者の方には参考になることがあるかもしれないので、記事にしておこうと思います。
なにを読んだか?
多読多聴って、ネイティブがネイティブ向けに作った英語コンテンツを辞書を引かずに読んだり聴いたりすることなんですが、自分に合ったレベルのものを探すのが大変でした。
最初はラダーシリーズと呼ばれるレベル別に分かれている洋書を読みはじました。最初の頃はこれがそこそこ楽しくて続けられたんです。
ぼくはTOEIC440点の超初心者なので、素直にレベル1から始めることにしました。
レベル1とは言え、そこそこ面白い本もあるんですよね。完全に人によって趣味が分かれるとは思いますが、自分が好きそうなものは見つかると思います。
アインシュタインとかエジソンとか、誰でも知っている偉人の「はちゃめちゃなエピソード」がいっぱい出てくるので、素直に楽しめましたね。
あと、ガンジーの自伝は読んでいて涙が止まらなくなってしまうくらいハマりました。
インド独立を成し遂げるために彼が行った信じられない行動の数々や、最後に彼が殺されてしまう原因など、考えさせられるエピソードがめちゃくちゃ詰まっていて、本当にこの本は好きでしたね。
他にもいくつかレベル1とレベル2の本を合わせて10冊くらい読んだと思います。
そのあとは、杉原さんのnoteで紹介されていた「Nate the Great」という子ども向け推理小説にどっぷりとハマったのですが、これが大正解でした。
Nateという男の子が、身の回りの事件(友達の失くしものを探すとか)を解決していくというなんてことないお話なんですが、なんだか理由は分かりませんが、ぼくの好きな雰囲気にバチッとハマって今でも好きで読んでいます。
これも10冊くらい読んだと思いますが、数冊読み始めた頃からなぜかラダーシリーズがつまらなく感じ始めたんですよね。
杉原さんのnoteによると、ラダーシリーズは日本人が日本人に向けて分かりやすい英語に編集しているとのことだったので、このあたりが原因かもと思っています。
ネイティブの子ども向けにネイティブが作った本にハマったら、日本人が日本人向けに作った英語コンテンツがなんか面白くないと感じるようになったということなのかなぁと。
そのあとは「Who Was Steve Jobs?」を読みましたが、以前スティーブ・ジョブズの自伝を読んでいたことと、ぼくが個人的にスティーブ・ジョブズが好きなこともあって、この本はなんとか読み切ることができました。
ラダーシリーズと「Nate the Great」の多読で洋書に慣れたからっていうのもあるかもです。
次に読んだ「Who Is Bill Gates?」はまったくハマれなくて、途中で読むのをやめました。。。
ぼく、WindowsよりMacの方が好きなんですよね。あと、ビル・ゲイツの真面目そうな顔や服装が苦手だっていうのもあります。本人はかなり破天荒なんで、単なるぼくの偏見なんですが。
今のところ、「Nate the Great」が一番好きですが、自分に合ったレベルでなおかつ自分がハマれる洋書を探すって、かなり大変ですよね。
レベル別に洋書を紹介してくれて、なおかつ自分の好みにあったものを見つけやすいように幅広いラインナップを紹介して、それぞれのレビューなんかも書いてあるサイトが欲しいなと切実に思います。。。
何を聴いたか?
次に多聴ですが、最初の頃はYoutubeでひたすら「peppa pig」を見まくっていました。
ピンクのブタさんファミリーの癒しパワーなのか、仕事中も流しっぱなしにして、素直に楽しい気持ちで聴くことができました。
仕事以外の時間は3人の子どもたちの育児に追われて、ゆっくりYoutubeを見る時間なんてないので、子どもたちに見せる動画もpeppa pigに変えてしまいました。
子どもたちに見せつつ一緒に見ていたのですが、2ヶ月目あたりから「ウルトラマンがいい!」「仮面ライダーがいい!」と強く反対され、「子どもと一緒に英語動画作戦」は見事に失敗に終わりました。
「子どもと一緒に楽しく英語学習!」なんてのは、我が家では単なる幻想でしたね。
子どもと一緒に見ていた頃は、「おさるのジョージ」の英語版もYoutubeでよく見ていましたね。これは日本語版をすべて子どもと一緒に見ていたので、素直に楽しめました。
今は、これも杉原さんがnoteで紹介されていたイギリスのシェフ「Jamie Oliver」のYoutubeにハマっています。
Jamie Oliverは子どもが5人くらいいるんですよね。それで料理中もこの子どもたちがちょこまか入ってきて、「おしっこ!」と言って突然裏口のドアを開けて庭でおしっこをしてしまったり(笑)
子どもがいる父親としてかなり共感できるので、楽しめているんだと思います。テンションがナチュラルに(異常に?)高いJamieの人柄も好きですね。
今はこのYoutubeの更新が楽しみで仕方ない状況です。
Podcastは、本当はこのリンク先の記事で紹介されているものをじっくり聴けば英語力は上がると思うのですが、お勉強の匂いがするものにアレルギーがあるぼくはなかなか続けられないでいます。
でも!最近自分に合ったPodcastを見つけたんですよね。
英語レベルはめっちゃ高いので、そういう意味では合ってないんですが、趣味がばっちり合うので聴いていられるんです。これです。
「Second Date Update」という番組なんですが、誰かと最初のデートをしたのはいいけど、2回目のデートになかなかいけないことってありますよね?
この番組は「なんで、あの人が連絡をくれないのか?」を、ラジオDJが代わりに本人に電話して聞いてくれるという番組なんですが
お互いのどうしようもない言い訳合戦(彼女がいるのにデートに来ないでよ!君だってバスルームの使い方が汚かったぞ!)などの、男女の人間味溢れるリアルな雰囲気がすごく好きです。
すごく下世話な番組で嫌いな人もいると思いますが、ぼくは好きです。
ちなみに、この番組は「LISTEN――知性豊かで創造力がある人になれる」という下世話とは正反対の本で紹介されていました。
「お勉強の匂いがしないけど面白いPodcastを探せるサイト」も欲しいなと切実に思いますね。でも、そういうのを自分で見つけることも大事なんでしょうね。好みは人ぞれぞれなんで。
あと以前は、NETFLIXで好きなドラマ「Brooklyn 99」を字幕なしで見ようと挑戦しましたが、完全にレベル違いでまったく理解できませんでした。。。
自分のレベルに合って趣味も合うものを探すって本当に大変で、手当たり次第いろんなコンテンツをチェックしないと見つからないんですよね。
TOEICの長文問題を楽しめた自分に驚いた
5ヶ月ぶりのTOEIC試験で一番驚いたのは、以前は苦痛で仕方なかった長文読解問題を「楽しめた」ことです。
長文読解問題を楽しめた?
なにを言っているのか分からないと思うんですが、ぼくもどういうことかよく分からなかったんです。
ただ、5ヶ月前は単なる「問題集」にしか見えなかった長文読解問題が、5ヶ月後には「生活感のある文章」として感じられるようになったんです。
どこかのオフィスの社員同士のメールのやりとりが、どこかの商品のカスタマーサービスと消費者とのやりとりが、どこかの誰かのパーティの案内状が、そういったすべての文章の中に「匂い」を感じることができたんです。
英語の文章の中に、人が生活している匂いを感じることができたんです。
日本語の小説を読んでいると、その世界観の匂いを感じることってありますよね?あれと同じ感覚を感じることができたんです。
その途端、TOEICの試験が楽しくなってきたんです。
辛いはずの試験が、英語の中に「生活の匂い」を感じられた途端に、一気に「楽しいもの」に変わったんです。
これは、ぼくの中で大きな変化でした。
20年間ずっと「英語の勉強」に苦手意識を持っていたけれど、ぼくが苦手だったのは「お勉強」であって、「英語」ではなかったんだと思うんです。
これからも多読多聴で英語を「楽しみながら」伸ばしていこうと思っています。
多読多聴に関しては、杉原健さん、野本響子さん、松井博さんのnoteがおすすめです。特に、ぼくの今の英語学習はほとんど杉原健さんのnoteを参考にしています。
あと、ぼくが個人的に参考になった(なりそうな)英語学習の記事をマガジンでまとめているものも共有します。
「お勉強」は嫌いだけど「英語」は嫌いになれない。本当は好きになりたいんだ!という方の参考に少しでもなれたら嬉しいです。
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