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”癒しと信頼”の小さなサイクルがふたりを変えていく。

既婚男性の30%、既婚女性の18%。

この数字、なんだと思いますか?

これは、浮気した経験のある既婚者の割合だそうです。

男性の場合、3〜4人にひとりだから結構多いですよね。

こんなに多いから、パートナーの不倫によって夫婦関係にヒビが入ってしまった人もたくさんいるわけです。

ぼくのところには、パートナーから浮気された方からの悩み相談がくることがあるのですが、こういったケースの場合、どうすれば夫婦関係を改善できるのか、ずっとわからなかったんです。

ご相談者さんのお話を聞いても分からないし、ひとりで考えても分からない。

ネットで調べても、離婚弁護士のサイトや、よく分からないアフィリエイトサイトに誘導されるだけ。(これは本当にやめて欲しい)

本を読んでも不倫をする理由は書いてあるけど、不倫体験をした夫婦がどうやって関係改善すればいいのかは書いていない。

どうしたらいいんだろうと、ずっと悩んでいました。

なので、専門家にお話を聞いてみることにしました。

今回のアツの夫婦関係学ラジオでは、「パートナーが浮気したけど夫婦関係を立て直したい。だけど、どうすればいいの?」と言う疑問にお答えします。

インタビューのお相手は、臨床歴25年のベテラン臨床心理士である上遠文恵さんです。

この記事ではポッドキャストの簡単なまとめと、お話を聞いて感じたぼくの気づきを書いています。

ポッドキャストと合わせて聞いていただけると、より理解しやすいと思いますので、ぜひ番組の方も聴いてみてください。

(そして、ポッドキャスト『アツの夫婦関係学ラジオ』もフォローしていただけると嬉しいです)

前回と前々回の放送はこちらです。

不倫のように、夫婦に大きな影響を与えるものを、”愛着の怪我(attachment injury)”と呼ぶそうです。

夫婦の浮気って、よくある話で済まされることが多いけど、実は怪我と呼べるほどの大きな出来事ってことなんですよね。

ふたりの間にある信頼関係が、粉々に砕け散るような体験ですから。

本人たちにとっては、とっても大きな出来事で、心に大きな傷を負う出来事なわけです。

浮気発覚後は、”された”側は、ちょっとしたこと(パートナーがスマホを見ている、一人で外出するなど)でも取り乱してしまって、当時の辛い出来事がフラッシュバックすることが多いんです。

ぼくもそういう話を本人たちからよく聞いています。

命に関わることではないけど、これは立派なトラウマ体験なんです。

不倫体験をした夫婦が関係性を立て直すには、まず、”した”側が自分の過ちを振り返り、失ってしまった信頼を取り戻そうとする必要があると、上遠さんはおっしゃいます。

不倫関係を清算したから、それで終わりというわけじゃないんですよね。

これは、された側の当事者ならきっと共感できると思います。

謝ってもらったから終わりなんじゃなくて、むしろそこからなんですよね。関係改善のスタートは。

した側は、「過去のことを言ってもしかたない。前を向こう」とか、「もうしないって言ってるでしょ」と思ってしまうんですが、された側としてはトラウマになるほど傷ついているわけです。

だから、簡単に前は向けないわけです。

そこで必要になるのが、した側に対する心理教育だそうです。

不倫されるということは、トラウマになるような強烈な傷つきの体験であること。

日常生活のなかでフラッシュバックが起こり、辛い出来事を思い出してしまうこと。

どうして、そのことばかりを考えてしまう侵入思考という状態になってしまうこと。

そういった知識を小出しにしながら、した側もされた側も自分たちで気づきを得ていくようにカウンセリングを進めていくそうです。

「よくある浮気」で済ますんじゃなくて、これがいかに”された側”にとって、大きなショックであったか、それが心理的にどれだけダメージを与えているかを、お互いに理解していくというプロセスです。

このプロセスがものすごく大切で、時には”した”側”がされた側”の辛い気持ちを聞くのに耐えられないこともあるのですが、その”した側”の苦しみを”された側”が見ることも癒しにつながるそうです。

した側が「過去のことを言ってもしかたない。前を向こう」と思ってしまうのは、された側の気持ちを受け止めるのが辛いからなんですね。

パートナーの感情を受け止めることを拒否していて、頭で考えて解決策を出しているわけです。自分が辛くなってしまうから。だから、相手に対して防衛的になっているんです。

された側が家庭でパートナに感情の共有をしようとしても、うまくいかないことが多いですよね。

言い合いになってしまったり、自分の辛さを聞いてもらえなかったり、聞いてもらっても気持ちが落ち着かなかったり。

そこで必要になるのが、カウンセラーなどの第三者だそうです。

友人や親戚に相談すると、ついどちらかの肩を持ってしまいますが、関係ない他人だったらどちらの肩を持つことなく、冷静に間に入れますよね。

ぼく、臨床心理士さんと話をするようになって思いましたが、カウンセラーの利点って、熱くなっている夫婦の間に冷静に入り、お互いの心に眠る柔らかな気持ちを引き出してくれることだなって思うんです。

妻がぼくにって特別な存在であること。ぼくが妻にとって特別な存在であること。

だからこそ、お互いに強い影響を与え合っているということ。

これって、普段の生活ではなかなか意識しにくいと思うんです。

心の奥に眠っている感情だから、自分でも気がついてない人はたくさんいると思うんです。ぼくもそうでした。

ちょっと脱線しましたが、した側がされた側の感情を受け止めない(もしくは、辛くて受け止められない)ことが多いので、カウンセラーなどの第三者が間に入り、お互いの感情の橋渡しをすることになります。

パートナーの浮気がどれだけ心を傷つけたのか、その話をカウンセラーが聞き出し、その場にいる”した側”の方にも、その話を聞いてもらうわけです。

すると、した側はされた側の感情をきちんと聞くことができ、少しづつ、下側の感情を受け止められるようになっていきます。

すぐには無理ですし、同じことを家庭でやろうとしても失敗することが多いですが、カウンセリングの場で、”柔らかな気持ち”を出すこと、受け止めることの訓練をしていくんです。

半年や一年など、時間はかかりますが、徐々に感情の共有ができるようになっていき、気がつけば家庭でもできるようになっていきます。

でも、だからといってトラウマが消えてなくなるわけではないそうです。

トラウマはやわらいではいくけど、完全に消えることはない。

だから、した側はされた側の感情にずっと寄り添っていくことになるんです。

わたしの気持ちを受け止めてくれた。
大切に扱ってくれていると感じられる。

その積み重ねのなかで、された側は心を癒やしていき、した側は失った信頼を取り戻していく。

癒しと信頼の小さな繰り返しのなかで、ふたりの愛着の怪我は修復されていく。

上遠さんのお話を聞いていて、そう強く感じました。

ポッドキャストでは、より詳しく、より深く、お話をしていますので、ご興味あるかたはぜひお聴きください。

次回の放送では、トラウマ治療専門の臨床心理士さんへのインタビューを公開します。

浮気によって傷ついてしまった心の傷の具体的な治療方法をお聞きしました。

夫婦の心の傷の癒し方のヒントになるかと思いますので、ぜひ次回も聴いていただければと思います。

最後に……。

noteやポッドキャストのご感想をコメント欄やTwitterでいただけると、番組作りの参考になるので、めちゃめちゃ嬉しいです。どんなことでもけっこうです。

ポッドキャストのご感想をツイートしていただける際は、#夫婦関係学ラジオとハッシュタグをつけていただければ、ぼくがすべてチェックします。必ずチェックして、いいねを押しにいきます。

コメント、ご感想、お待ちしています。

アツの夫婦関係学ラジオ

#441 不倫体験をした夫婦が関係を立て直す方法とは?【ゲスト回:臨床歴25年上遠文恵さん】

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※「アツの夫婦関係学ラジオ」は毎週月曜木曜の朝5時配信です。

ご出演いただいた上遠さんのカウンセリングルーム(オフィスY)のホームページはこちらです。






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