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大人になりきれない夫たち。

夫が家庭より自分の都合ばかり優先する。

気がつけば好きなことばかりしている。

気持ちをはっきり言ってくれない。

そう感じたことはありませんか?

いろいろな方のお話を聞く中で、大人になりきれない夫の特徴が見えてきました。ぼくにもその素養はあります。

単純に彼らが悪いという話ではなく、「なぜ?」という好奇心のライトをあてて深掘りしてみたいと思います。

「うちの夫、大きい子どもなのよね」と思っている女性や、妻からそう言われた方にはヒントが見つかるかもです。

強い優性意識が彼らの成熟を止める。

まず「大人の定義」ですが、下の記事に書いたように他者をケアできる人間とします。そのうえで話を進めますね。

授乳し、うんちで汚れたオムツを替え、ご飯を作り、寝かしつけをし、妻と保活をし、「家庭」にどっぷりつかるうちに、ぼくはあることに気がついた。

それは、家庭は論理ではなく、感情で回っているということだ。

ギャン泣きする0歳児に「うるさい!」と言っても静かにならない。赤ちゃんが心地よいと思うゆすり方を見つけないといけない。

うんちを漏らす1才の子に「もう漏らすなよ」と言っても意味がない。一人でトイレに行けるようになる4~5才まで待たないとならない。

怖くて寝れない2歳の子どもに「早く寝なさい」と言っても聞きやしない。しばらく添い寝をして気持ちを落ち着かせないといけない。

育児はままならないことの連続で、論理なんてこれっぽちも役に立たなかった。

夫婦関係もそう。

お互いに疲れ切っているから、「あなたがやるべき」だとか、「本来はこうあるべき」だなんて理屈はまったく通用しなかった。

それよりも、お互いの感情に寄り添うことで、前を向くエネルギーを充電する必要があったんだ。

育児も夫婦も、その根底にはケアという概念が存在した。

大人になりきれない夫の特徴の一つは、「自分は優遇されてあたりまえ」という強い優性意識です。

小学生数人が集まると、それぞれ違う遊びをしたくてケンカになるときってありますよね。

鬼ごっこがしたい!人狼がしたい!いや、switchでスマブラだ!いや、マイクラだ!

なかなか決まらないですよね。

すでに成人し、子どもがいる男性にもこういう方がいます。

飲みにいきたい!ゲームがしたい!ソロキャンプにいきたい!仲間とサウナにいきたい!仕事に没頭したい!

こういった場合、妻に報告することはあっても相談はなく勝手に出かけてしまいます。

なぜなのか?

彼らは両親に優遇された子ども時代をいまだに生きているんです。

自分は好きなことをしてもいい。好き勝手ができる人間だ。そんな優性意識がデフォルト設定されており、その感覚を疑うことがありません。

こういった男性の特徴として、経済的に恵まれた子ども時代を過ごしたこと、大人になってからも親の援助(自宅購入時の費用負担など)があること、などがあげられます。

学業や他の分野において優秀な成績を出した経験もあります。それらが強い自尊心と同時に、歪んだ優性意識(オレは特別なんだ)も植え付けるんじゃないかと思うのです。

強い自尊心と優性意識はビジネスには優位に働くので、仕事では成功しやすくなります。

ですが、他者との感情的なつながりが必要とされる家庭ではひどい結果しか生みません。

彼らは強い優性意識ゆえにみずからの過ちを認められず、家庭内別居、浮気、モラハラといった泥沼にハマっていきます。

自分がやりたい遊びができず駄々をこねる子どものように、彼らは自分の世界に閉じこもり、他者を不機嫌でコントロールしようとするのです。

また、別のパターンも存在します。それが、「第一優先となった現状脱出」です。

ここから抜け出してやる。

中学一年生のとき、ぼくは別の小学校から上がってきた同級生に唾を吐きかけられました。それも顔面に。

ショックと怒りに取りつかれたぼくは彼に馬乗りになり、大泣きしながらボコボコに殴りつけました。

友人たちによって引きはがされ、2人とも大怪我はしなかったですが、その後も北関東のヤンキー予備軍どもとたびたび衝突がありました。

その頃はいつも苛立っており、両親との関係もギクシャクしていました。

また、20代の頃、日雇いの肉体労働で食いつなぎながら転職活動し、今にもつぶれそうな会社に転職したことがありました。

前職をクビになったので条件のいい企業に再就職できなかったのです。取引先の一部上場企業に営業に行くと、同い年の連中が高い給料を稼いでいる。

今年はボーナスが12ヶ月分だとか景気のいい話も耳に入っている。こちとら、売上を10倍に増やしたってボーナスは0.5か月分しかもらえない。先輩たちは子どもを作るどころか、結婚する余裕すらない。

とんでもなくみじめだった。こんな底辺から抜け出してやる。そんな思いで知り合いが通っていたグロービスビジネススクールの門を叩いたのです。

そこにいたのは企業派遣でやってくるエリートサラリーマンたち。ぼくのような墨田区の零細企業で働くヤツなんて1人もいません。

港区のタワマンに住む彼らに混ざり、クリティカルシンキングやマーケティング、そして経営戦略を学びました。

お前らのような恵まれたヤツらなんかに負けたくない。そんな怨嗟のようや熱意と、ビジネスに対する好奇心がぼくをドライブさせ続けました。(ケーススタディはとてつもなく面白かった!)

誰よりもリサーチも重ね、積極的に発言し、プレゼンでは一位を取ったこともありました。

ただ、その頃ぼくは結婚したばかりだったのですが、土日は課題作成や通学に追われ、妻と一緒に過ごすことができませんでした。

その後、転職を重ね、グロービスの同級生たちが働くような大企業で働けるようになりました。おかげで年収は3倍になりましたが、生まれたばかりの双子の生活のために必死で働き続けました。

ぼくは抜け出したかったのです。

顔に唾を吐かれた12歳のあの日から、ぼくのスタンスは変わっていません。

ここから抜け出してやる。

みじめさという泥に包まれた底辺から抜け出してやる。それは、思春期のケンカの話だけでなく、働くことについても同じことなのです。

ただ、その一方で失うものもあります。

妻との時間、子どもたちとの関わり。犠牲にしたものは大きかったと思います。

こんな経験をされた方はぼくだけではありません。多くの男性が家族を養うため、みじめな現状から抜け出すため、血を吐きながら働いている。

しかし、そういった真意を妻に明かすことはないため、理解されることもないのです。

必死で働いたのに妻との距離は圧倒的に広がってしまった。そんな人は少なくありません。

そして、最後の特徴。それは傷つくことへの恐れです。

傷つくことへの恐れ

妻に心を開くということは、情けない自分と向き合うことでもあります。

ぼくは長男次男が生まれた数ヶ月後に1週間の社員旅行にでかけました。ほぼ初めての社員旅行!しかも海外!

それまでは、社員旅行といえば呉服屋時代の下呂温泉しかありません。それも年配女性先輩にタバコの煙を吹きかけられながら、一晩中説教されるという悲惨なものでした。

大企業の太っ腹な福利厚生に大感激したぼくは迷わず参加を決めたのです。あとに残された妻とのことを考えることこともなく。

当時、ぼくは家庭から逃げ出したかったのかもしれません。逃げるとまではいかずとも、永遠に続く双子育児に疲れ果て、どこか遠くに行きたかったのだと思います。妻はどこにも行けないのに。

2回目の社員旅行では、ぼくがあまりに楽しすぎて妻への連絡を忘れるという大失態をやらかしました。

ぼくは出張などで家にいないとき、妻のインスタで子供たちの写真を見ることが習慣でした。ですが、どれだけ検索しても妻のアカウントが出てきません。妻からブロックされていたのです……。

急いで妻に電話して平謝りしましたが、今思い出しても情けなくなります。

ぼくは自分さえ楽になれればいいと思っていた。

そんな情けない自分と向き合うことは本当にしんどいものです。だけど、そんな傷つきの体験を重ねれば重ねるほど、妻に対する誠実レベルが上がっていくんです。

大人になるってことは、誠実になることだと思うんです。誠実になるには情けない自分に向き合う必要がある。そして、情けなさを思い知るたびに傷が刻まれていく。

今でもぼくは傷つきが怖くて、妻への本音のシェアをためらうことがあります。

”自分のことを否定されたらどうしよう……?

傷つきそうだな。話すのをやめようかな”

妻がぼくのことを意図して傷つけることなんかないのですが、疲れている時はどうしても誰だって人の話を真剣に聴けなくなります。

それに、ぼくらは心理的にとても距離が近いので、相手の言葉や表情ひとつで簡単に傷を負わせることができる。

妻との関係における「傷つきへの恐怖」は、妻への愛情と表裏一体です。

愛しているから傷つく。傷つきたくないから本音を話したくない。そんな悪循環におちいったことがぼくにもありました。

だけど、妻の心身が安定しているタイミングを選び、ゆっくりと、冷静に、自分の気持ちを深堀りし、それを丁寧に伝えた時、妻はぼくを否定しませんでした。

ぼくは今でも自分の素直な気持ちを話そうとすると涙が出てくる。それは恐怖を乗り終えようとしているから。もっとも大切な存在である妻から傷つけられるかもしれないという恐怖と戦っているから。

恐怖への向き合いにはセルフ・コンパッションも役立ちました。自分に思いやりを持てると、傷つきにも向き合いやすくなるからです。

自身の傷つきに対して、恐れではなく思いやりを持てるようになったとき、ぼくらは大人になったといえるのかもしれません。



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