見出し画像

【雑感】「デモ」は何のために 〜ポジティブな政治トークがしたい〜

安倍首相の退陣を求めるデモ

 今日は、東京で安倍首相の退陣を求めるデモが行われていたらしい。Twitterは普段から割と細かくチェックしているからデモをやるという話はなんとなく聞いていたが、かなり多くの人が安倍首相に対する怒りの声をぶつけていたようだ。「#AbeOut0608」というハッシュタグでもいくつか様子を見ることができた。

現政権への怒り

 つい先日、安倍首相の在職期間が歴代3位となったという報道があった。このまま行けば、今年中には歴代1位になるという。まぁ、こんなにもひどい政権が6年以上も続いているという事実には本当に驚かされる。振り返ってみた時にまともな実績が思い浮かばない。失態ならいくらでも思いつくのだが。だからこそ、今日は多くの人が怒りの声をあげたのだろう。

 ただ、自分が現政権に対して批判的だからそういう認識となっているのかもしれない。逆に、現政権の支持者ならば、きっと安倍政権の良かった点をたくさん知っているに違いない。ぜひ聞いてみたいものであるのだが、ネット上ではそうした安倍政権の良さについて語る人は少ない。野党のひどさを語る人ならたくさんいるのだが……

ポジティブな政治トークをしたい

 選挙になっても「今後の方針」ばかりが強調されている印象を持っているが、できれば日常的にどんな “公約” を達成できたのかについて知りたいし、アピールしてほしいなと思うのである。わたしは、夢しか語れない政治家よりも、夢をしっかりと実現できる政治家に投票したいなと思うのに、実績が不明なことも多いのである。もっと、ポジティブな成果についても示してほしいわけである。

 また、日常的な付き合いの中で政治の話題を持ち出すことはない。選挙が近くても、せいぜい「投票行くー?」くらいなものだ。その理由を考えてみれば、色々と思い浮かぶ。例えば、政治の話をするのは重苦しいなぁとか、雑談にしてはマジメすぎるなぁとか、違う意見の人と衝突したくないなぁとか。ここで、個人的には「ネガティブな話題になりやすい」のも一つだと思っている。

 というのは、菅官房長官が「令和おじさん」と話題になっているという報道を見た時に(なんて日本国民はチョロいんだと思った部分もあったが)「ポジティブで軽めの話題ならば、政治に関係してても語れるかも?」と思ったのである。

 政治について語ることの「タブー感」のようなものを払拭できる道を探してみたいなと思うことはかなり多い。そのための一助になるのが、こうした政治へのポジティブな視点なのではないかと思うのだ。

デモをすることの意義は

 話を戻そう。今回行われたデモ活動にはどのような意義があったのだろうか。私としては、今回のデモに対して応援の気持ちを持っているし、そんな中このような発言をするのは嫌な部分もあるが、大切なことだと思うのでしっかりと書いておきたい。そもそも、なぜ「デモ」が行われたのだろうか。

「安倍政権に怒りをぶつけるため」
「安倍政権のおかしさを訴えるため」
「安倍政権に退陣してもらうため」

 理由はいろいろと思い浮かぶ。ただ、「怒りをぶつける」ことだけが目的化してしまえば、デモが「分断」につながりかねないと思う。「おかしさを訴える」ことは本当にデモで実現できているのだろうか。「政権の退陣」はデモのみではどうにもならない部分も大きい。こうした理由では自己満足に終わってしまいやすく、不十分ではないかと思うのだ。

 問いを変えよう。いったい、デモを通して何を訴えるべきなのだろうか。一つの仮説を中心にこの問いを考えてみた。

デモで広げたい「ポジティブ」

 「国民の多くは安倍政権だろうとそうでなかろうとどうでもいいと思っている。誰が政治の実権を握っているかに興味はない。ただ、誰かが私たちの生活を良くしてくれればいいと思っている。」

 消費税の増税や、外交・経済政策をはじめ、基本的にほとんど政策は肯定されていないのに、どうして安倍政権は支持されるのかずっと疑問だった。これに一つの先ほどの仮説を立てた。それぞれの政策は困るが、ほかに首相として有力な候補を「聞いたことがないから」、消去法で安倍政権に支持が集まっている。つじつまは合うような気がする。

 素人の大学生が考えたことにすぎないが、この仮説を信じるならば、デモでやったほうがよいことは「対比」、もっと言えば「代案」の強調ではないだろうか。つまり、「安倍政権が悪い」から「〇〇政権の公約の方が良い」という方向にもっとシフトしたいのである。もちろん『野党は反対ばかり』というステレオタイプ的なイメージを払拭するためにも、こうした戦略が役に立つだろう。

 さらに、投票行動というものは、そこまで人間の合理的な思考によって行われているとは考えにくい。日常的な政治への「イメージ」を中心になんとなく選んでいる人の方が多いのではないだろうか。日頃から政治に興味を持っている人ならば、ある程度アタリをつけているだろうし、逆に日頃から興味を持っていない人が選挙直前のみ認知的負荷の高い思考判断を行うとも考えにくいからである。

 そして、デモ等を通して最もメッセージを共有しなければならない相手は、後者のような「なんとなく」判断する有権者ではないだろうか。

 だからこそ、イメージ戦略として吉本新喜劇や人気の俳優・女優、ジャニーズなどを自民党(現政権)は積極的に利用しているのかもしれない。それが良い行動とは思えないが、ダメだと批判しているだけでは野党は勝負にならない。

 「与党はダメだな」ではなく「野党いいな」をもっと増やさなければ、おそらく次の選挙でも負けるだろう。理由は簡単である。与党サイドは「与党いいな」と「野党ダメだな」をどちらもかなり強く押し出しているからである。安倍首相がしきりに言っていた「悪夢のような……」もその一例だろう。

 先ほどの問いに戻りたい。デモを通して何を訴えるべきなのだろうか。私は安倍政権の悪さよりも、「対立候補の良さ」ではないかと思っている。

 まぁ、異論はたくさんあるだろうが、個人としてもっとポジティブな政治の話ができる社会を望みたいと思っている。だからこそ、デモを単純な怒りの消費にとどめずに、真剣に選挙につなげていく道を模索できたらいいのかなぁと思う。

 おわり。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?