TikTokの1日利用は1時間47分!! 2022年のデジタル利用トレンドについて(Qustodio実施レポートより)
こんにちわ。
先日Qustodioが、2022年の子どものアプリ利用について、アメリカ、イギリス、スペイン、オーストラリアで調査した結果を発表しました。
実際のレポートをみると105ページに及ぶ膨大なものだったのですが、内容としてはとても興味深く、色々示唆に富むものだったので、結果を抜粋しまとめてみようと思いました。実際のWebサイトはこちら。
では、長文にはなりますがお付き合いください。
1 調査概要
Qustodio(「クストディオ」)はスペイン・バルセロナに本拠を置く会社で主に親が子供のスマートフォン利用を見守るためのアプリケーションを提供している会社です。2012年に設立され、現在はオーストラリアのFamily Zone Cyber Safety ( ASX:FZO ) のグループになっています。具体的なサービス内容としては、インターネットの安全性とデバイスの管理を行うペアレンタルコントロールソリューションを行なっています。
Qusotdioは、実際の子供の利用の状況を把握すべく2019年から、アメリカ、イギリス、スペイン、オーストラリアの4カ国で中心に調査を実施してきました。今回は、その2022年版です。
調査は主に、オンライン動画、ソーシャル メディア、ゲーム、教育、コミュニケーションの 5 つの一般的なカテゴリにおける子供のアプリの利用状況に焦点をあてています。それぞれの領域における使用アプリケーション、およびその利用時間、また親がどの程度ブロックしているかなどについてヒアリングしています。
調査対象は、世界中の 4 歳から 18 歳までの子供を持つ 400,000 を超える家族から提供された匿名の情報(アプリからの情報収集?)と、米国、英国、スペイン、オーストラリアの個々の市場動向に基づいています(※第3章記載パート)。
なお、そうしたデータとは別に、家族が日常生活でテクノロジー(アプリケーション)をどのように捉え、管理をしているかよりよく理解するために、上記市場の 1,617 人の親を対象に調査を行っています。親は 25 〜65 歳で、5 〜 15 歳の子供が少なくとも 1 人以上同居している世帯です。また、そのうち、 10 〜 13 歳までの 167 人の子供からの個々の洞察が含まれています(※第2章記載パート)。
子供たちが使用している特定のアプリやプラットフォームをよりよく把握するために、調査では、Epic Games Launcher や Steam などのゲーム ランチャー、Gmail などのメール プラットフォーム、電話 や FaceTime などの特定のデバイスにネイティブなアプリも除外しています。ギャンブル アプリケーションは年齢に不適切であるため、調査から完全に除外されています。
加えて、授業時間中に使用されるデバイスを可視化するために、米国、英国、スペイン、オーストラリアの 10,000 の学校にまたがる、ファミリーゾーングループからの洞察も含まれています。 教育の章では、家庭の個人用デバイスだけでなく、教室で使用される教育用アプリと Web サイトの人気を探っています。
2 携帯利用に対する考え方
この章での調査対象者は以下です。
左から調査対象国(オーストラリア、スペイン、イギリス、アメリカ)、親の男女(男性48.1%、女性51.9%)、そしてその親の年齢です。
2-1 携帯の利用時間管理と家族のコミュニケーション
まず最初に紹介されたのは、親がどのくらい自分自身での携帯利用時間を管理できているか、そして、そのことについてどのくらい支障になっているかです。
図をみると、全体では半数程度(47.6%)が問題があると答えています。年代別で比較すると年齢の高い層(50-65歳)は、自分自身の携帯利用について管理できていると感じています。しかし若い層になるにつれ、うまく管理できないと述べる人の割合が増えています。25-34歳では55.8%がYesとなっています。そして、下の円グラフをみると、約半数の人が、その利用によりときどき/頻繁に家庭での支障があると答えています。
一方、子供たちの利用についてどのように考えているかと聞くと、子供たちがどのようなものにアクセスするのかが不安であり、ほぼ8割の親層が管理したいと考えています(下図参照)。
子供たちの意見を聞くと、
などが挙げられます。親としては子供の時間を管理したいと望む反面、自由にしてほしいということも望んでいる葛藤がみられます。
次の表は子供の携帯利用管理における方法について聞いているアンケートです。
子供の携帯利用について親の約半数(51%)は、家庭のルールであったり、アプリなど含め合計2種類の方法を使って管理しているようです。そのうち最も割合の高いものが、「携帯利用の危険性についての会話(47%)」であり、次が「特別な時間での子供の携帯の利用禁止(食事や就寝時など・・)(40%)」が挙げられます。その他には、「利用時間の厳守やスケジュール設定」だったり「親によるアプリツールを使用した管理」などが上位になっています。
なお、親の年代によっても管理方法が変わっており、年齢の高い層になればなるほど「携帯利用の危険性についての会話」をしている割合が高くなり、若い層になればなるほど「利用時間の厳守やスケジュール設定」「親によるアプリツールを使用した管理」などが選ばれています(下図参照)。
ちなみに、子供の携帯利用を管理したいという親は、自分自身も半数が問題ありと考えておきながら、自身の利用時間の管理については何もしていません。
そして、携帯を見ることがどのくらい家族の時間/コミュニケーションに支障をきたしていると感じているかが下記のグラフです。
「はい、時々あります」(51.6%)「頻繁にあります」(18.2%)と、70%以上が問題ありと答えています。若い層になればなるほど一層顕著で、80%近い数字に伸びています。確かに、携帯を触っていると「人の話聞いてるの?」と言われるし、「この人は聞く気がないのか?」と感じますよね。深刻な問題です。
2-2 子供とのコミュニケーション
次に親がどのように子供たちのトレンドやデジタルホビー(触れているもの?)について把握しているかについて聞いています。
これをみると約半数(53%)の親が、「子供から直接聞く」と答えています。それ以外の方法をみていくと、「他の親からの口コミ」「SNSで知る」「Googleなどの検索エンジンで調べる」などが挙げられます。また、ほとんどの親がいくつかの方法を組み合わせて情報を入手していることが伺えます(右の表は分かりにくいですが、100%の内、2つ以上が67.9%、3つ以上が43.5%、4つ以上が19.9%というような読み方になります)。
2-3 教室でのテクノロジー
次に学校でのデバイスの使用状況とそれに対する考え方のアンケートです。最初の質問は、学校でも安全のためのモニタニングツールを使うことについてどのように思うかです。それについては、77.4%の親が前向きに考えています。
下は、学校で子供が何かデバイスを使用しているかどうかについてです。どこの国もデバイスの普及が見られます。特に顕著で高いのがアメリカで79%の子供がデバイスを使用しています(さらに、63%の子供は学校から支給されています)。一方で、最も低いのがスペイン(45%+18%=63%)でした。ただどちらにしても3人に2人の子供はすでに学校で電子機器を使いながら授業をしているということです。
また、授業で電子機器を使っていないのも当然スペイン(33%)でした。スペインはまだまだ普及がしていないことがわかります。日本はどの程度なのでしょうか・・。
さて、親の状況が整理できました、親自身も携帯についての利用時間に問題を感じていることに加え、子供がもつ携帯デバイスの管理についていろいろと課題や悩みがあると感じていることがわかりました。
ここからはいよいよ本題です。
3 2022年の子供のアプリの利用状況
SNSやwebサービスにおいて関心ある方が特に気になるパートだと思います。果たして子供はどんなサービスを利用しているのか・・。最初にハイライトを紹介します。
子供の(学校外の)平均的な個人デバイスの利用時間は4時間
毎日平均1時間47分 TikTok を利用している
毎日平均1時間7分 YouTube を視聴している(TikTokより60%少ない)
毎日平均3時間 Roblox をプレイしている
毎日平均1時間14分 Snapchat を利用している(2021年から31%アップ)
2021年に比べストリーミング動画サービスを利用する時間が18%アップ
Skype の利用時間が2021年に比べ37%減少
Twitter は、情報収集を目的として約7%の層に使われている
スペインの子供たちは平均29分、Smartick(デュオリンゴの数学版?/日本は未対応)をやっている。
なかなかインパクトのある数字です。
3-1 オンライン動画アプリ
まず最初のオンライン動画アプリです。2022 年を振り返るとNetflixが会員減少を発表したり、Disney+が躍進したりとストリーミング戦争が繰り広げられてきました。
しかしながら、子供たちの注目は、依然として長年の人気 YouTube のコンテンツに注がれていたようでした。 YouTube は 1 日の平均時間を昨年から 20% 伸ばし、本レポートの過去最高の 利用者における1 日 利用時間67 分に達したそうです。
もちろん、ストリーミングサービス全体でも増加し、子供たちの ビデオコンテンツ視聴時間は 18% 増加しました。結果、 平均して、世界中の子供たちは毎日 45 分の何らかのオンラインビデオを視聴しており、22 年をみると長年人気の YouTube を筆頭に、Netflix、Disney+ も上昇しています。
利用率の成長という点では、Netflix(32%→39%) と Amazon Prime Video (3%→13%)が勝者となり、それぞれ 7% と 10%と伸びました。
アプリの利用率
下記は、子供たちのアプリ利用率です。上図は2022年結果、下図は過去三か年の推移です。
YouTube の牙城が非常に高いことが伺えます。世界的の子供の 63% が YouTube を使用しており、スペインでは73% の子供が利用しています。3か年トレンドで見ても利用率はあまり変わっていないことが伺えます。
第2位につけているのは、Netflixです。世界で 39% の子供たちが利用しており、どの国でも同程度の利用率です。昨年対比で比較すると、オーストラリアの子供たちの利用率が大きく伸びました(21年27%→22年39%)。またNetflixの決算報告資料をみると、EUでも伸びているという結果が出ていましたが、実際にイギリスやスペインでも上昇傾向が伺えました。オーストラリアは、もしかしたらNetflixのアジア圏の会員増のドライバーにもなっているのかなと思いました。
また、昨年対比の利用率でみると、Disney+も上昇しました。これは2019年末にサービスが開始されているので、当然といえば当然の状況ですが、Netflix等に比べての伸び悩みが気になります。
さて、その他で特に注目すべきトレンドとしては、ライブストリーミング サービスの Twitch の凋落です。 Twitch は、2020年、21年では15%程度の子供が利用していたのにも関わらず、22年は世界で11%と下落しました。
アプリの利用時間
次の表は1日にどの程度アプリを利用しているのかです。
グローバルでは、2022年は昨年比、子供たちがオンライン動画コンテンツの視聴に費やした時間が 18% 増加したそうで、その中で牽引したのがYouTube でした。21年は56分と下落しましたが、22年は67分となりました。2020年(※コロナ禍なので多い)と比べても同程度か、それ以上の視聴時間を記録していることになります。
特に米国のYouTubeを観る子供たちは毎日 77 分間観ています。ただし、イギリス、オーストラリアでは、YouTube Kids という子供向け版が多く観られています。一方で、スペインの子供たちはあまり観ていません(言語的なも問題であまり人気がないのでしょうか・・?)。
Netflixの視聴時間も全体的に増加しましたが、全体での伸び分数は3分とわずかでした。この伸び分数は、イギリスやオーストラリアでの視聴時間増に支えられました。Netflix はキッズ向けコンテンツにも力を入れているのでそれが功を奏したのかもしれません。一方で Disney+ と Amazon Prime Video の利用時間は世界的に 15% 減少しました(Disney+においては参加者が増えたので、多少数字が平されたという考え方もできるかもしれません)。
結局NetflixとYouTubeで十分と思われている傾向が強そうです。
月毎にオンラインビデオの利用時間の平均も調査されています。
ストリーミング サービスの視聴に費やされた時間を月ごとでみると、グローバルでは、新学期の9月、10月でやや落ち込むものの、比較的一定のままでした。傾向でみると12月、1月もホリデーシーズンでもあるのか少し高めです。なお、スペインの子供たちは、他の国と比べてあまり利用していないこようです。また、三か年を年次で比較すると、横ばいという印象です。
なお、レポートの補足で書いてありましたが、The Streaming Generation によると、家族の 44% が、子供向けのコンテンツを一緒に視聴できることを軸にストリーミング サービスを選択しています。 親の 78% が家族で「一緒に話す何か」を提供する番組を探しており、さらに 73% が自分や子供たちにまだ知らなかったことを教える番組を探しているそうです。
3-2 ソーシャルメディアアプリ(SNS)
子供たちのソーシャルメディアアプリの使用は年間を通して増加し続け、世界全体で 12% 増加しました。イーロンマスクの買収のニュースで、話題となったTwitterは、若いユーザーの間でも人気が広がり、結果、世界中で 7% の上昇となりました。
TikTokの利用においては世界中で物議を醸しているものの、子供たちにとっては関係なく、22年度は昨年比18%増の107分の利用時間となりました。
ソーシャルメディアアプリの利用率
では、まず最初にSNSの利用率です(なお、親からの利用を制限されているものもあるので、それぞれの数値は思ったほど高くはないです)。
TikTokは昨年から3ポイント伸ばし、グローバルで44%の子供が利用しています。イギリスでは 2 人に 1 人、スペインではほぼ 3 人に 2 人の子供が利用しています。Facebookは盤石の2位で変わらずでした。 SnapchatもTiktok同様に割合を伸ばしており、3位をキープしました。Snapchatについては、決算でもあるようにアメリカ以外でのユーザーを伸ばしていると触れていましたが、その通りの結果となっています。また利用率ということにおいては、Pinterestも大きく伸ばしSnapchatと同率となりました。特にアメリカでの利用率上昇(30%→40%)が顕著です。子供たちはPinterestで何を調べているのでしょうか、気になります。
一方、Instagramは、アメリカ、オーストラリアでは圏外に落ち、スペインの子供たちのみが熱心に使っていることが伺えます。確かにInstagramは子供向けのコンテンツというイメージが湧かないですね。
その代わり、twitterが大きく伸ばし、全世界で6位にランクインしています。
ソーシャルメディアアプリの利用時間
続いて、SNSの利用時間についての調査結果です。
TikTokの1 日あたりの平均利用時間は 21 年の 91 分から 107 分に増加しました。これは 1 日平均約 2 時間です(ちょっと想像できないですね)。各国ごとでみるとイギリスの子供たちが一番長く114分、一番少ないスペインの子供たちでさえ96分です。 成長率ではオーストラリアが一番大きいです。
TikToK利用を1日60分までにするという機能を加えるというニュースがあ理ましたが、このニュースのインパクトがいかに大きいかわかります。つまり、子供たちがみる時間が半分程度まで下がるのですから、全体の盛り上がりも大きく下がってしまいます。また、広告収入も表示回数が減るという点ではマイナスになりそうです。
第2位のSnapchatも平均72分(スペインを除くと80-90分)と60分を超えているので、もしTikTokの施策に対して世間の賛同が大きくなっていくのであればそれに習って同様の施策を行うかもしれません。
子供たちにとっては現状SNSにおいては、TikTokとSnapchatの2強となっていることが伺えます(YouTubeはオンライン動画アプリ扱いなのでご注意ください)。Facebook、Instagramの利用時間は3か年でみると特に変わらず、何か定期的な需要があるのかもしれません。
なお、Twitterにおいては利用率は伸びましたが、利用時間は伸びていません。平均10分です。本当に情報収集をサラッとする程度にしか使われていないことがわかります。
次の表は1年間を通しての平均的な利用時間です。
この表を比較するとグローバルでみると全体的に月ごとでの大きな波がないことが伺えます。ただし、年次で比較すると、2020年で45分だったのが22年で56分と約11分伸びています。先ほどのオンライン動画アプリが平均45分だったので、子供たちはSNS=つながりの方により夢中になっている傾向が見て取れます。
このようなトレンドを鑑みると、アメリカでの議会のTikTok禁止法や、フランス等でのSNSの取り組みなどがよく理解できると思います。かなり極論的な言い方をすれば、データ漏洩の危険性だけではなく、子供たちの1日2時間が中国のアプリに時間を奪われてしまっていると考えると、そうした強気な姿勢も理解できます。
ちなみに、親による子供の保護という観点では、Instagram が先行しており、保護者による監視機能を22 年初頭に複数の国で展開しました。それに追随する形で、 Snapchat も8月にファミリーセンター機能を加えました(日本は10月にローンチ)。
3-3 ゲームアプリ
続いてゲームについての調査結果です。
モバイルゲーム業界は現在、ゲーム市場で最大の業界であり57% のプレイヤーがPCやコンソールではなくスマートフォンでお気に入りのゲームを楽しんでいます。 子供たちはモバイルゲームに慣れ親しんでおり、2022 年を通して、彼らは毎日平均 38 分間ゲームアプリを使用しました。
子供たちは、オンラインゲームの進行に必要な時間を喜んで削ぎ落としました。22 年を通して、子供たちはロールプレイング ゲームの「World of Warcraft (WoW)」とバトルアリーナでマルチプレイする 「Defense of the Ancients 2 (DOTA2)」で毎日 3 時間以上を記録しました(共にBlizzard Entertainment社が開発)。なお、利用率において、これら2つは低く、世界中の子供たちの 59% がプレイしている、チャンピオン「Roblox」と比較すると見劣りします。
ゲームアプリの利用率
まず最初にゲームアプリの利用率の調査です。
「Roblox」は、全体で約60%の利用率となり、どこの国でも1位でした。2位3位では約3分の1くらいの利用率で「クラッシュ・ロワイヤル」(24%)と「マインクラフト」(23%)が並びます。そして10%前後で、「クラッシュ・オブ・クラン (Clash of Clans) 」、「ブロスタ(Brawl Stars)」「Among Us」などのゲームが並びます(Supercell/スーパーセル(テンセント系)のゲームが多い)。イギリス、スペインでは今話題になっている「Subway Surfers」がランクインしています。
補足をしていくと、スペインは言語圏の違いもあってか、「Roblox」と「クラッシュ・ロワイヤル」が同程度の割合で並んでいます。
また「Among Us」の下落も印象的です。21年には24%あった利用率が22年にはランク外となってしまいました。あとは「What would..」というのも落ちていますが・・どのサービスのことを指しているかわからずです。どなたか、もしわかれば教えてください。
なお、こうしたゲームの人気は、ゲーム実況の方々に支えられていることが大きいです。そのため、落ちたゲームというのは、実況者の関心も薄れてきたのではないかと推測されます。
ゲームアプリの利用時間
続いてゲームの利用時間を見ていきます。
「Roblox」が強すぎますね・・。他の指標が小さくなってしまいました。昨年から7分増加の180分(3時間)です。もはや3時間から増えたら異常なレベルではないかと思うので、むしろ少なくならなかったことに驚きです。親から見れば、子供がはまってしまうと恐ろしいアプリです。
なお、その他のゲームをみていくと「Minecraft」 に費やす時間も2020年から復活し、 48 分になりました。アメリカでは利用者は減ったものの「Among Us」を熱狂的にやっていることが伺えます。
次の月間の利用時間と年次の傾向です。
全世界の利用時間平均は38分でした。年末年始は高くなりますが、新学期の季節(9月、10月)は少なくなります。なお、国別で比較するとスペインの子供たちが顕著に少なく1 日あたり平均 28 分です。20年から比較すると減ってきています(国民性の違いなのか、はたまたこの調査をしているQustodioのアプリ効果なのか・・)。
3-4 教育アプリ
2022年は、世界中のほとんどの学校で教室が完全に通常の状態に戻ったことで、教育および学習アプリの利用時間は 2 年連続で全体的に減少したそうです。これは、不安になった保護者がロックダウンの空き時間を教育コンテンツで埋める必要がなくなったためだそうです。
学校で使われている教育アプリ
国ごとによってかなり使われているものが違うので、ざっと紹介をしていきます。
まず、アメリカとオーストラリアです。第2部での結果の振り返りですが、アメリカでは79% の子供が学校でデバイスを使用しており、オーストラリアも76% の子供が学校支給のデバイスまたは BYOD (Bring Your Own Device) システムを使用しています。
これらの国ではデバイスの普及率が高いため、米国とオーストラリアの特定の教室管理アプリと Web サイトが上位 10 位以内にランクインしています。 米国では、学習プラットフォームの Google Classroom がトップとなり、デジタル教室プロバイダーである Clever がそれに続きました。 アメリカの 3 位となり、オーストラリアでトップとなったのは、仮想混合型学習管理システム (LMS) の GradPoint でした。
LMS Canvas も両国でトップ 10 にランクインしました。
そして、注目すべきは、オーストラリアで2位になった、ライティングアシスタント Grammarly (本社ウクライナ) でした。子供たちが 1 日を通してスペル、文法、句読点をチェックできるように支援します。自分も入れています。
その他のサービスとしては、教育ゲーム Web サイト ABCya! 、 ゲームベースのクイズプラットフォームKahoot!などがありました。
続いて、イギリス、スペインをみていきます。
英国の子供は 66% が、スペインの子供たちは63%が、自宅から学校にデバイスを持参するか、学校が提供するデバイスを利用しています。そのため、アメリカ・オーストラリアよりも少し遅れています。
その上で、イギリスの教育現場で最も選ばれたのは BBC でした。我々はニュースだけのイメージですが、それ以外にもスペルや語彙の練習などの学習リソースを提供しています。 また、スペインと英国の両方がウィキペディアを 2 位につけました。辞書がわりでしょうか。Google Docs はスペインで一位となりました。
イギリスでは、昔ながらのアプリが使われる傾向が強く、 Microsoft Word 、Powe Point、Excelなどのソフトがランクインしています。また、スペインでは3位にインタラクティブ サービスの Live Worksheets が入りました。
パーソナルデバイスで使用しているアプリ
続いてパーソナルデバイスで使用されているアプリです。
世界中の子供たちが Duolingo を毎日の語学練習に利用しています。(2020年から)3 年連続で学習アプリの王者に選ばれました。 第2位については各国ごとで異なりましたが、ゲームベースの学習サービス Kahoot! そして、数学の問題ヘルパーの Photomath が 2 位を争いました。
第3位となった WordReference Dictionary は、ボタンをタップするだけで単語の意味を提供するサービスで、人気の学習ツールであることが証明されました。 Quizlet は、スペインを除くすべての国のトップ 5 に掲載されました。
続いて利用時間を見ていきます。
クイズ形式で学習するアプリで、子供たちが 22 年を通してほとんどの時間を費やしたようです。特に多かったのが、 Kahoot! でした。世界的には毎日平均13分利用しています。一方、最も人気高い Duolingo は、全世界で10分でした。アメリカとオーストラリアでは12分とやや長めでした。
スペインの子供たちのが利用しているアプリの中で最も長く使用したのは、インタラクティブな数学と語彙のプラットフォームである Smartick でした。1日 29 分利用しており、昨年から3分増加しました。
次に月毎のの利用時間をみていきます
世界的な平均は7分と21年に比べると1分少なくなりました。全体の傾向をみると夏休み近辺である6月〜8月に若干伸びて、新学期がはじまる9月〜は利用時間が落ちるという傾向がみられます。なお、オーストラリアの子供のみ年末年始での利用時間が上がります。それにしても他のSNSやゲームと比べると短いですね。
3-5 コミュニケーションアプリ
22 年は昨年に比べ子供たちのコミュニケーションアプリの使用時間が世界的に24% 減少しました。結果、1 日平均わずか 35 分になりました。
WhatsApp や Messages などのテキストベースのアプリの人気が高まった一方で、2022 年はビデオ チャットの年ではありませんでした。Zoom を使用する子供の数は、世界全体、アメリカ、イギリスで 9% 減少しました。時間でみても世界中で、子供たちが Zoom に費やす時間が 21% 減少し、他にはSkype に費やす時間が 37% 減少しました。また、ビデオ会議アプリは 1 日平均 10 分しか使用できませんでした。
コミュニケーションアプリの利用率
では、まずは利用率をみていきたいと思います。
世界全体でみると、WhatsAppが3年連続でNo1でした。 とりわけ、スペインやイギリスで使われており、スペインでは63%の子供使用して、友人や家族とのつながりを維持しています。一方で、米国とオーストラリアでは、Discord が 1 位を獲得し、両国の子供の 34% がコミュニティベースのサーバーでメッセージング、ビデオ通話でコミュニケーションを行っています。Meta はアメリカ本国では苦戦している様子が伺えます。
22 年では、ほとんどの国で対面でのコミュニケーションがロックダウン前のレベルに戻ったこともあってか、ビデオ会議ツール Zoom は利用率が31%から22%にダウンし、世界ランキングも2 位から 4 位に落ちました。スペインではランク外となりました。一方で、Discord や Skype は、繰り上げ上昇し、それぞれ2位、3位になりました。なお、Discord はアプリの性質上、親世代からコミュニケーションアプリの中で最も優先的にブロックしたいアプリとされていることは注意ください。
ちなみに個人的に気になったのが、このリストの中に、MessagesやGoogle Duoなどのグーグルサービスがありますが、Google Meet は存在しません。ランク外なのか、gmail同様の調査対象外だったのかは不明です。また使われていないだけだと思いますが、日本や韓国でお馴染みのLINEもありません。そして、Meta が提供する Messenger もありません(Whatapps が別にあるのと、MessengerがFacebookやInstagram に含まるからか)。
コミュニケーションアプリの利用時間
続いて利用時間をみていきます。
当然といえば当然ですが、ビデオ会議ツール zoom が全世界で1位となりました。ただし、利用時間は少し減り20年と同程度の時間になりました。なお、22 年におけるその他のアプリをみても一様に2021年から減少しています。
WhatsApp の人気(利用率)が昨年から増えているにもかかわらず、利用時間が減っていることが気になりますが、これは対面でも会うことができるので、必然的にコミュニケーション量が減っただけかなと思います。
続いて月次で利用時間を見てみたいと思います。
子供たちがコミュニケーションアプリに費やす時間は平均35分で、年間を通じてゆっくりと減少していることがわかります。使わなくなってきていると言えそうです。例えば、アメリカの子供たちは、1 月に1 日平均 46 分だったものが12月にわずか 37 分にまで減少しました。 地域別で比較すると、アメリカ、オーストラリアの子供たちは コミュニケーションアプリに多くの時間を費やしていそうです。
また、7 月、 8 月に、スペインの子供たちがコミュニケーションアプリに費やした時間は、1 日わずか 20 分に減少しました。この理由としては、夏休み期間であるこの時期において、ビデオチャットやグループ通話の優先度が家族の休暇の時間のために脇に追いやられることが多いことが原因だそうです。
4 さいごに
以上、アメリカ、イギリス、スペイン、オーストラリアの子供のアプリケーション利用の実態調査でした。
全体のランキングをまとめると以下になります。
オンライン動画アプリ 45分
ソーシャルメディアアプリ 56分
ゲームアプリ 38分
教育アプリ 7分
コミュニケーションアプリ 35分
これらを足し上げると181分(=3時間)は、毎日携帯に触れているという結果になりました。
最初にも触れましたが、今回の調査では、Epic Games Launcher や Steam などのゲーム ランチャー、Gmail などのメール プラットフォーム、電話 や FaceTime などの特定のデバイスにネイティブなアプリも除外されています。そのため、実際においてはもっと携帯やゲームをしているのではないかと考えられます。
この調査自体は、こうした背景を踏まえ、子供のアプリ利用の実態と管理について把握すると共に、どのようにこの問題に向き合っていくか検討するために行われたものでした。そのため、noteには記載していませんが、子供の利用をブロックしたアプリのランキングも載っています。
利用率1位のアプリがブロック率1位となっていることが多く、親として、いかに子供がスマホ中毒にならないかどうかを懸念していることが伺えます。
ただ、個人的には今回の数字は結構驚いたというか・子供ってこんなにスマホ中毒になっているの?と疑問に思ってしまいました。仮にTikTok、YouTube、Roblox中毒の子供からそれらブロックすると1日5時間くらいの可処分時間が生まれます。月でいえば150時間・・。うまくコントロールすれば勉強なりもっと他のことにも挑戦できるのかもしれません。
加えて調査結果として気になった点としては、すでに子供たちが毎日3時間プレイしているRobloxは伸びる余地がどのくらいあるのだろうか?ということや、Duolingoがここまで子供に浸透しているという現状で伸び先はどこなのだろう?ということに加え、意外にも競合アプリサービスが多いということ。とりわけ、日本未上陸のSmartickが気になります。そしてZoomなどのビデオ会議アプリの明から利用頻度の減少です。市場自体は成熟しきっているのでは?とも思ってしまいます。
以上になります。改めてのご案内ですが、今回利用している調査レポートのDLリンクはこちら です。大体網羅していますが、この資料の62p以降のアペンディクス資料も参考になります(時間あればどうぞ・・)。
書き始めたら長文となってしまって、すみません、皆様のご参考にになれば幸いです。
ではご精読ありがとうございました!!
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