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サム・オブ・ザ・パーツ(SOPT)分析の概要

今回はサム・オブ・ザ・パーツ(Sum-of-the-Parts, SOTP)分析に関して概略を説明していきたい。

SOTP分析は投資銀行のアドバイザリーチームが実施することもあれば、最近はアクティビストファンドによるキャンペーンにおいて、バリュエーション分析の頁で示されていることも多い。
なお投資銀行がSOPT分析を行う際は、チームで必要と判断した場合、ないしはクライアントから依頼された場合であり、常にプラクティスとして実施するわけではない(手間もかかる上に、対象会社の実態を踏まえてSOTPを行うか否かを判断することが多いと思う)

以下は一般的なSOTPの概要、筆者の私見をもとにSOTP分析がワークする場合とそうでない場合、アクティビストが実施した実際の例を交えたものである。

Sum-of-the-Parts, SOTPとは

サム・オブ・ザ・パーツ(Sum-of-the-Parts)分析は、複数のセグメントを有するコングロマリット企業のバリュエーションにおいて、各セグメントの事業価値(Enterprise Value: EV)を計算、それらを合算し対象会社のネットデット(キャッシュ)および少数株主持分を差し引くことで株式価値を計算する手法である。式で示すと下記の通りである (⋆新株予約権等がある場合もあるが、その場合は株価を求める際のFully diluted shares outstanding, すなわち希薄化調整後発行済株式数の計算に反映させるので下記には含めていない)

各セグメントkのEV:Ek (k: 1,2,,,,n)
Net debt (cash): ND (debt like itemsも含んだ数値)
少数株主持分 (Minority Interest):MI
株式価値:EqV

EqV =(E1+E2+..En) - ND - MI

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