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ジャパンゴルフツアー改革案(私案)

 今年で四半世紀を迎えたジャパンゴルフツアー。
 この25年間で世界のゴルフ界は相当な変化があったものの、ジャパンゴルフツアーではこれと言った変化が見られませんでした。
 特にこの2点について「本当に出来ないの」と思う点があります。
複数年シードの扱い
年間の成績やシード権の指標を、賞金ランキングからポイント制に移行


1.複数年シードの開始年を変更してみては

「日本で育ったし、日本でアメリカに挑戦する機会をもらったので、ファンの人にも自分が帰るところでも会いたいと思っている」。米ツアーの新シーズンは9月からすでに始まっている。あくまで米国をメインとしながらも、日本での出場権も死守したいと考えている。続けて「女子のように複数年シードが繰り越されるようになればありがたい。(男子ツアーは)出なくても消されていってしまう」という思いもある。

国内女子ツアーの規定では『複数年シード権は、条件に該当した翌年度より10年間のうち任意の年を行使開始年として選択可能』となっており、海外ツアーに参戦しても消費されず10年間の好きなタイミングで行使できる。それが男子ツアーの場合は、翌年度から適用されるため海外ツアーに参戦しているうちに複数年シードは消費されていく。どちらにしても複数年シードがあったほうが海外ツアーに挑戦しやすいのは間違いない
「いま若手の選手で海外に行きたいと思っている選手が多い。そういう子たちにも帰って来る場所があってほしいし、日本のファンの皆さんに技術を見せる機会も大事だと思う。そういうところは海外に挑戦しやすいような環境作りをしてもらいたいと、気持ち的には思います。自分がちょっとずつ声を出していければ」と私見を述べた。

米国帰りの小平に、小斉平優和や桂川有人など、将来は米ツアーを目指す選手たちが積極的に質問してくるようになった。「自分的にはアメリカとの違いだったり、情報をいろいろ教えてあげたいと思っている」とウェルカムな構え。しかし、若手が台頭する現在の日本ツアーでは知らない顔の選手が増え、「浦島太郎状態です」と笑う。「挨拶していただくんですけど、顔と名前がなかなか一致しない。調べて覚えるのに必死で頑張っています(笑)」。

自身はレベルの高い米ツアーで揉まれたことで、「前はいけいけどんどんだったけど、リスクマネジメントができるようになった。グリーン周りだったり、パターだったり自分のなかで成長した感じがある。先週(ZOZO)もそうですけど、きょうもボギーが多くないのはちゃんとデータに出ている。それはうれしいプラス材料です」と、レベルアップを実感している。その経験を若手に還元していく小平のような日米かけ持ちゴルファーが増えることで、日本全体のレベルアップにつながるかもしれない。

AlbaNet

〇複数年シードを持っている選手が、より海外へ目指せる環境に

 現在ジャパンゴルフツアーで、以下の条件を満たせば複数年のシード権を得ることができます。

1.5年のシード

 ・当該年の賞金王
 ・日本オープン選手権優勝
 ・日本プロゴルフ選手権優勝
 ・ジャパンゴルフツアー選手権優勝

2.3年のシード

 ・日本シリーズ優勝

3.2年のシード

 ・当該年のジャパンゴルフツアー公認競技に優勝
 ※当該年に2回以上優勝した場合、次の1勝ごとに1年間シードが延長される。ただし4年を最長とする。

 よく賞金王になったり、日本タイトルを優勝した選手が「これを元にして、海外へ挑戦したい」というのもこのためです。
 試合に出場できる権利が長く続けば、選手としてこの上ありません。

 ただしジャパンゴルフツアーでは、その複数年のシード権は翌年から行使されるので、いくら海外で活躍しようとも、シードの期限が切れたらそこまでといった現状です。
(たとえ長期シードが切れたとしても、海外のツアーに出場できる権利があれば、資格延長を申請し承認されれば1年分のシードが延長されるというのもあります)

 これに対し、JLPGAツアーではどうなっているでしょうか。

〇JLPGAツアーは複数年シードの開始年を自由に選べる

だが単年ではなく、数年間のシードが確定するケースもある。これがいわゆる『複数年シード』というもので、例えば今季からメルセデスランキングでシーズン1位になった選手には4年間のシードが付与される。このほか、ワールドレディス、日本女子プロ選手権、日本女子オープン、そしてツアーチャンピオンシップ優勝で3年シードなどの規定がある。

国内女子ツアーにおいて、この複数年シードの価値は非常に高い。というのも19年に規定が変わり、『シードの開始年度を、獲得翌年から10年のうちに選手の任意で選択できる』ようになったから。それ以前は獲得した翌年から自動的に発効されていたため、例えば賞金シード権を持っているにかかわらず、重複的に使用されるというケースがほとんどだった。

10年間であれば自分でスタートする年を決められることで、通常のシードを失った時の“保険”になったり、米国ツアー参戦への足掛かりになるなど、選手のキャリアに応じて使用できるのが大きい。

AlbaNet(改)

〇複数年シードの権利を”好きなときに使える”

 現在、JLPGAツアーでの複数年シードは以下の通りです。

1.4年のシード

 ・メルセデスランキング1位(年間女王)

2.3年のシード(公式戦優勝者)

 ・ワールドレディスチャンピオンシップサロンパスカップ
 ・ソニー日本女子プロゴルフ選手権大会
 ・日本女子オープンゴルフ選手権
 ・JLPGAツアーチャンピオンシップリコーカップ

 男子よりも短い期間になっています。
 ですが優勝した翌年から10年間、自分が好きなときに権利を行使できるように19年から制度が変わりました。
 例えば今年メルセデスランク1位で4年間の複数年シードを獲得し、翌年からはUSLPGAツアーに出場。ここで5年戦ってきたが日本に戻りたいといったときに、4年の複数年シード使用を行使することが可能です。

※1 東京五輪銀メダリストの稲見萌寧選手は、5年の複数年シードを保持しており、22年から10年の間(31年まで)使用できます。

※2 公式戦に複数優勝した、畑岡奈紗選手(19年2勝)と原英莉花選手(20年2勝)は5年間の複数シードを保持しており、畑岡選手は30年、原選手は31年まで使用可能です。

※3 公式戦に1勝(以上)しかつメルセデスランキング1位になった山下未有夢選手は5年間の複数年シードを保持しており、昨年から32年までの間に1度、そして今年から33年までの間でもう1度使用可能です。

 このように好きなときに複数年シードを使用できるメリットがあることで、USLPGAツアーに出場しやすくなった例が多く見受けられます。
 稲見選手を始めとして、西村優菜選手、吉田優利選手(ともにワールドレディス優勝)、勝みなみ選手(日本女子オープン優勝)などが複数年シードの恩恵を受けています。

 男子もこのような制度があれば、海外のツアーに出ても心配なくできると思いますが、どうでしょうか。

2.年間の成績を示す指標が賞金ランキングなのは、ジャパンゴルフツアーのみと言っても過言ではない

〇指標をポイント制にしたPGAツアー、これに追随してきた各ツアー

 07年からPGAツアーは、これまでの賞金ランキング制度を、試合ごとに定めたポイントを獲得していき、ポイント上位選手達で争うプレーオフ制度を導入しました。
 これまで終盤になるとゴルフファンの興味が薄れてしまうのを防ぐため、導入された制度です。
 最初のうち、ツアーカードの指標をポイント制と賞金ランクの並立制だったのですが、ポイント制に一本化しました。

フェデックスカップ(FedEx Cup)は男子ゴルフPGAツアーのシリーズトーナメントの名称。2005年11月に発表され、NASCARカップ・シリーズ同様、ポイントで年間の総合優勝を争う。フェデックスがスポンサーである。

Wikipedia「フェデックスカップ」

 PGAツアーに追随して09年からDPワールドツアー、14年からUSLPGAツアー、18年から欧州女子ツアーが年間成績の指標をポイント制に移行しました。
 日本もJLPGAツアーが20-21シーズンからポイント制に移行し(賞金ランクと並行)、22年から完全移行しました。
 韓国男子プロゴルフツアー、サンシャインツアー(南アフリカの男子プロゴルフツアー)、オーストラレイジアツアー(オーストラリアとニュージーランドの男子プロゴルフツアー)でも近年ポイント制が採用されています。

 なのにジャパンゴルフツアーはまだポイント制を採用せず従来通り賞金ランク制を頑なに守り通してしているのが現状です。

〇賞金ランク制では”不公平”が起きる

 毎年日本で開催されるPGAツアー、ZOZOチャンピオンシップ。
 ジャパンゴルフツアーとPGAツアーの共催です。
 開催初年の19年は、優勝賞金が175万ドル(当時で約2億円)ということもあり、ジャパンゴルフツアーから出場した選手は、獲得賞金の半分が賞金ランクに加算されるシステムを採用していました。
ジャパンゴルフツアーの選手が優勝した場合に、この大会だけで賞金王になる懸念があること」が主な理由です。
 翌20年(20年はパンデミックのため、アメリカで開催)からは賞金ランク対象外の試合になってしまいました。

 日本ゴルフツアー機構(JGTO)は24日、都内で来季日程と開催要項を発表した。10月に初開催し、賞金総額975万ドル(約10億7250万円)、タイガー・ウッズの優勝で盛り上がったZOZOチャンピオンシップは、来季も米ツアーと共催するが、JGTOの来季日程には組み込まれず、賞金加算対象から外れた。極端に高額な賞金を日本人選手が手にした場合、賞金王争いが事実上決着しかねないため、終盤戦のスポンサーらに配慮した。
 来季のJGTO開催日程一覧に「ZOZOチャンピオンシップ」の大会名はなかった。日米ツアーが来季も共催することは決まったが、賞金加算対象大会から外れた。ウッズが米ツアー歴代最多に並ぶ82勝目を挙げ、初開催でゴルフ史に名が残った大会。だが賞金は総額で約10億7300万円、優勝は1億9300万円という他の大会の約10倍。
 突出して高額な賞金が、シーズンを通じた賞金王争いにおいては、ファンの興味を失わせかねないと判断した。
 JGTO競技運営部の浦山部長は「巨額の賞金であり、日本人が優勝すると、それ以降も大会はありますが、賞金王争いがほぼ決まってしまう」と説明した。選手からも意見を募り、ZOZOチャンピオンシップ以降に開催する大会のスポンサーにも配慮し「総合的に判断した」(浦山部長)という。
 同大会は今年、2週前に行われるブリヂストン・オープンまでの賞金ランキング上位など、日本人選手13人に出場資格があったが来季も同様。出場資格が限られた中、賞金王争いが事実上、決定してしまうことも賞金加算対象から外れる要因となった。
 大会は来年10月22~25日の4日間で開催することが決まっている。浦山部長は「その週に別の大会は入れないという契約になっている」と、米ツアーと交わした契約内容を明かした。
 JGTOは大会運営に関わり、賞金王を争うトッププロが出場しながら、来季日程から除外。ZOZOチャンピオンシップを日本人選手が制した場合、実際の来季獲得賞金最高の選手が、賞金王ではないという特殊な現象が起きる可能性がある。
 冠スポンサーのZOZOは「いろいろなご意見があるとは思いますが、弊社としては純粋に、世界中の選手やゴルフファンの皆さんに楽しんでいただけるような最高の環境を提供できるよう、来年度も取り組みたい」とコメントするなど、JGTOの決定を受け入れている。

日刊スポーツ 2019年12月25日付記事(改)

ZOZOチャンピオンシップ1試合優勝しただけで、賞金王レースが決まってしまい、それ以降の大会主催者に迷惑がかかる」という日本ゴルフツアー機構(JGTO)の判断でした。
 もしこれが、ポイント制で行っていたらどうなったことでしょう。

3.ポイント制を導入するなら、自分はこうしたい

 まず、フェデックスカップのポイント配分を、そっくりそのままマネします(優勝者500ポイント)。
 これを普段の試合で用いることとします。

 優勝 500ポイント
 2位 300ポイント
 3位 190ポイント
 4位 135ポイント
 5位 110ポイント
 6位 100ポイント
 7位  90ポイント
 8位  85ポイント
 9位  80ポイント
10位  75ポイント
11位  70ポイント
12位  65ポイント
13位  60ポイント
 
 あとは上にあるブログの表にある通りです。14位の57ポイント以降は、順位が1下がるごとに1ポイントずつ減っていきます。
 タイが出た場合は、タイがでた順位分のポイントの合計を、タイの人数で割った値がポイントとなります。

(例)
 2位タイが3人出た場合、2位、3位、4位それぞれのポイントを足して3で割った値が、1人あたりのポイントとなる。
(300+190+135)÷3=208.3≒208
※小数点以下は四捨五入
 よって3選手には、それぞれ208ポイントが入る。

 そして、特殊な試合に関しては以下の通りにします。

・”日本”が付く試合
 通常試合の1.5倍(優勝  750ポイント)

・共催試合(PGAツアー、DPワールドツアー)
 通常試合の  2倍(優勝 1000ポイント)

・4大メジャー
 通常試合の  4倍(優勝 2000ポイント)

・VISA太平洋、ダンロップフェニックス、カシオワールド
 通常試合の1.2倍(優勝  600ポイント)

 これで順位に応じたポイントを各大会の成績ごとに与え、積み重ねたポイントで順位やシード権を決めていくのがいいと考えます。
(毎年試行錯誤を繰り返すことにはなると思いますが)

4.ポイント制にすれば、1試合1試合が大事になる

 賞金ランクで決めていたときは、賞金額の少ない試合は選手から”敬遠”されがちです。
 大きな試合が続く中で賞金額の試合がポツンとあれば、有力選手達は”スキップ”をするのが常套手段です。
 しかしポイント制に移行すれば、賞金額の大小に関係なく、通常の試合は優勝してもポイントは一律なので、より公平に1年間の戦いが見られるのではと考えます。
 年間を通した計画が求められそうです。

5.今こそ”変革”の時期では

 今年からJGTOの新会長が、諸星裕さんになりました。
 ゴルフ関係者以外からの人選は、海老沢勝二さん以来8年ぶり3人目の登用です。
 今までの常識を打破するためには、これくらいの改革をしていかなければならないでしょう。
 四半世紀もの間、このままでいいという”思考停止”状態を続けてきたのですから。
 それと選手の中にも、海外のツアーを経験した選手もいるはずです。
 なぜこのような”改革”を言わなかったのか不思議です

 このような私案を出してみましたが、どうでしょうか?
 変革する気になってくれればいいのですが、それでも二の足を踏むようなことがあれば、こちらから質問させてください。

賞金ランクで決めることのメリットを、ファンに教えてください」。 




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